11月8日 大統領選速報
Sources : 2020 ELECTION LIVE UPDATES (NPR)
List of United States state legislatures (Wikipedia)
大統領選は、バイデン氏が勝利となったが、トランプ大統領が敗北宣言をしそうにない。何時になったら政権移行ができるのか。

連邦議会もなかなか決着がつかない。いずれも過半数は決まっていない。上院は残り4席となったが、GA州が決選投票となり、決着は来年に入ってからになりそうだ。下院は、残り25席もある。

一方、知事選はすべて決着した。Montana州で、共和党がひっくり返して知事数を増やした。 その結果を踏まえて、州知事と州議会の党派関係をみると、次のようになっている。
州知事
民主党共和党独立系
州議会民主党14州4州
共和党8州22州
ねじれ1州1州
4年前に較べると、民主党の健闘が目立つ(「Topics2016年12月3日 2016年秋選挙の総括」参照)。そして、この構図が今後10年の政治動向を左右する。センサス結果を踏まえて選挙区の見直しが行われるからだ(「Topics2010年12月23日 Redistricting開始」参照)。

※ 参考テーマ「大統領選(2020年)」、「政治/外交」、「人口/結婚/家庭/生活

11月7日 失業率改善
Source :Unemployment Drops To 6.9%, But Pandemic Surge Clouds Recovery (NPR)
11月6日、労働統計が発表された。雇用者数は63.8万人の増加だった。4ヵ月連続で増加はしているものの、増加幅は狭まっている。毎週70万人以上の新規失業が出ているのだから、致し方ないのかもしれない。(「Topics2020年11月6日 新規失業は微減」参照)
一方、失業率は6.9%と前月の7.9%から1%も低下した。しかも、70万人以上が労働市場に戻っているそうだ。
COVID-19感染症が急速に拡大している中で、新規失業が一定規模で発生している一方で、雇用者の増加、失業率の顕著な低下が見られるということは、労働移動が順調に進んでいることの証左だろう。これがアメリカ労働市場の強みである。

※ 参考テーマ「労働市場

11月6日 新規失業は微減
Source :Jobless claims edge lower but are still well above pre-pandemic levels (CNBC)
11月5日、労働省は新規失業保険申請数を公表した。今週は75.1万人と、前週から0.7万人の微減となった(「Topics2020年10月31日(1) 新規失業は減少続く」参照)。33週間で累計6,669万人となった(新規失業保険申請件数data)。

雇用保険被保険者の中の失業者数は728.5万人と、53.8万人の減少で、こちらは順調に減少している。
また、COVID-19対策で導入された追加失業給付(「Topics2020年3月30日 2兆ドル対策(COVID-19)」参照)の新規申請数は、
5/30: 79.9万人
6/ 6: 70.0万人
6/13: 77.4万人
6/20: 88.1万人
6/27: 99.7万人
7/ 4:104.6万人
7/11: 95.5万人
7/18: 96.0万人
7/25: 90.9万人
8/ 1: 65.6万人
8/ 8: 49.0万人
8/15: 52.5万人
8/22: 60.8万人
8/29: 75.1万人
9/ 5: 86.8万人
9/12: 67.5万人
9/19: 61.6万人
9/26: 50.8万人
10/3: 37.9万人
10/10:33.7万人
10/17:34.5万人
10/24:35.9万人
10/31:36.3万人
と、若干の増加が続いている。

一方、COVID-19感染状況を見ると、第2波のピークを超えて一日10万人ペースになってしまっている。

Johns Hopkins University Health
また、10月28日時点で手が付けられない状況に陥っている州は39州と、さらに拡大してしまっている。

COVID Exit Strategy
※ 参考テーマ「労働市場

11月5日 CA州:Prop.22可決
Source :California voters approve Prop. 22, allowing Uber and Lyft drivers to remain independent contractors (Los Angeles Times)
11月3日のCA州民投票で、Proposition 22が可決された(「Topics2020年8月15日 Uberの戦略」参照)。しかも、58対52の大差であった。

Prop.22のポイントは次の通り。
  1. Uber/Lyftドライバーを従業員として認定しない例外措置を講じる。

  2. 時間給を最低賃金(自治体または州)の120%に設定する。

  3. 週労働時間が15時間を超える場合、医療保険プラン購入のための手当てを支給する。手当額は週労働時間(上限は25時間)に応じて増額する。

  4. ただし、労働時間にカウントするのは、オーダーを受けてから目的地に到着するまでの時間。待機時間は含まれない。
この州民投票結果は、大変な意味を持つ。時系列で整理すると次のようになる。 CA州最高裁の判決を基に成立した法律(AB5)に、州民がノーを突きつけたことになるのだ。州最高裁に対する事実上の不信任である。今後、どのような動きになるのだろうか。おそらく全米が注目している。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制

11月3日 "Georgia Access"認可
Source :CMS approves Georgia's reinsurance program eliminating healthcare.gov on the first day of enrollment (Political Daze)
11月1日、CMSはGeorgia州(GA)の申請"Georgia Access"を認可した。全体では2段階に分かれている。
  1. 2022年:州独自の再保険制度を導入する。

  2. 2023年:"Georgia Access"を施行する。(「Topics2019年12月25日 "Georgia Access"」参照)
1.の再保険制度では、対象が$20,000~$500,000の診療報酬となる。これにより、通常の保険料が13%程度低下するとみられている。

ただ、GA州は現在でも無保険者割合が13.7%と高く、個人が保険会社から直接保険プランを購入する形になると、さらに無保険者割合が高まるとの懸念がある。

※ 参考テーマ「無保険者対策/GA州

11月2日 年金/Medicareの余命短縮
Source :The Outlook for Major Federal Trust Funds: 2020 to 2030 (CBO)
9月2日、CBOが、連邦政府基金の財政推計を公表した。そのポイントは次の通り。

Table 1. CBO’s Baseline Projections of Trust Fund Balances

Billions of Dollars

Source: Congressional Budget Office.

These balances are for the end of the fiscal year and include securities invested in Treasury holdings.

* = between zero and $500 million.

a. In keeping with the rules in section 257 of the Balanced Budget and Emergency Deficit Control Act of 1985, CBO’s baseline incorporates the assumption that scheduled payments will continue to be made in full after the trust fund has been exhausted, although there is no legal authority to make such payments. Because the manner in which those payments continued would depend on future legislation, the table shows zero rather than a cumulative negative balance in the trust fund after the exhaustion date.

b. Includes Civil Service Retirement, Foreign Service Retirement, and several smaller retirement funds.

c. The Railroad Retirement and Survivors’ Improvement Act of 2001 established an entity, the National Railroad Retirement Investment Trust, that is allowed to invest in non-Treasury securities, such as stocks and corporate bonds.

d. Consists mainly of trust funds for federal employees’ health and life insurance, the Superfund program, and various insurance programs for veterans.

昨年4月にTrusteeが公表した財政推計では、公的年金(OASI)は2034年に基金が枯渇、Medicare(HI)は2026年に基金が枯渇、としていた(「Topics2019年4月25日 年金/Medicareの余命」参照)。いずれも2~3年早まっている。

これは、COVID-19感染症の拡大に伴い、失業、賃金低下が起こっていることに加え、年金保険料の支払い猶予が認められたことも影響している(「Topics2020年9月2日 年金保険料徴収の猶予」参照)。

トランプ大統領は自分が再選されれば、年金保険料の従業員分を廃止すると主張している。そうなれば、両基金の枯渇は一層早まる。

一方のバイデン氏は、高額所得層の負担増を主張している(New York Times)。しかし、これだけでは大きな改善をもたらすことはできない。既に小手先の制度改正では間に合わない状況となっている。基金枯渇を回避するためには、総合的、抜本的な改革に取り組まざるを得ない(「Topics2019年8月22日 年金改革法案目白押し」「Topics2019年9月24日 公的年金改革法案の将来推計」参照)。

連邦議会は、この一年、無言を続けている。

※ 参考テーマ「公的年金改革」、「Medicare

11月1日(1) 地方政府年金の社会的投資(2)
Source :ESG Investing and Public Pensions: An Update (Center for Retirement Research at Boston College)
世界的にESG投資がもてはやされているが、地方政府年金での社会的投資は適切ではないとの結論は、4年前のレポートの結論と変わらない(「Topics2016年11月29日 地方政府年金の社会的投資」参照)。

※ 参考テーマ「地方政府年金」、「受託者責任

11月1日(2) 企業プラン保険料の負担割合
Source :Employers paid 67 percent of premiums for family medical care coverage in 2020 (U.S. Bureau of Labor Statistics)
2020年3月時点で、企業提供医療保険プランの家族保険料について、企業が67%、従業員が33%負担している。これを賃金階層別に見てみると、下位25%で企業負担割合は59%、上位25%では71%となっている。賃金水準が高い企業ほど、企業負担割合が高くなっている。
※ 参考テーマ「医療保険プラン

11月1日(3) ヒスパニック女性の退出
Source :'My Family Needs Me': Latinas Drop Out Of Workforce At Alarming Rates (NPR)
以前、女性の労働市場退出が増えていることを紹介した(「Topics2020年10月4日 失業率低下の背景」参照)。上記sourceでは、その中でもヒスパニックの女性の退出が突出しているそうだ。
上図を見ると、ヒスパニック女性の退出率が高い一方、ヒスパニック男性は新たに参入していることが目立つ。上記sourceを読んでいると、子供たちの学校授業の関係でキャリアを諦めた事例が数多くあるようだ。

※ 参考テーマ「労働市場

11月1日(4) 疲れから怒りへ
Source :Stuck-At-Home Moms: The Pandemic's Devastating Toll On Women (NPR)
COVID-19感染症拡大の中で、女性の労働市場退出が大きな話題になっている。

女性の間では、疲れから怒りへと気持ちが変化しているという。上記sourceをじっくり読んでいただきたい。

※ 参考テーマ「労働市場」、「人口/結婚/家庭/生活

11月1日(5) HSA & FSA上限額
Source : 2021 Health FSA Limit Will Remain at $2,750 (ABD Insurance & Financial Services)
Health savings accounts limits for 2021 (Nixon Peabody Blog)
2021年のベネフィット関連税制の改定値が公表されている。 上記HSA、FSAの税額変更を反映したて、医療貯蓄勘定の比較表を更新した。

※ 参考テーマ「HSA」、「ベネフィット」、「DB/DCプラン」、「無保険者対策/連邦レベル