4月30日 採用面接後の礼状
Source :No Thank-You Note? No Job (SHRM)
ある出版社の編集者が『採用面接後に礼状を送ってこないような人は一切雇わない』とツイートして、炎上しているそうだ。

主な反論は次の4パターン。
  1. 礼状やお礼メールは、採用担当者にとっては媚びているように思えるし、そんなメールや手紙が一杯来たら処理しきれず却って迷惑。

  2. この採用難の時代に礼状を要求するのは不遜であり、厚かましい。

  3. そもそも採用担当者は、そのような礼状を期待していない。実際、99%の候補者は礼状を送ってこない。

  4. 礼状を送るという習慣を持った候補者であることを認識するだけでよく、採用のためのポイントは他にもいくつもある。
こうしたマナーに関する議論は、正解というものがなく、時代とともに変化する。例えば、ある人に講演を依頼する際、就職した当時は、先ずは電話で意向を伺い、了承を得れば依頼状を送付する、といった手順を踏んでいた。今でもそうした手順を要求する人も確かにいる。ただ、自分の同世代の人達の多くは、電話で仕事を中断されるよりも、メールで依頼内容を送ってもらい、自分の都合の良いタイミングで検討、判断する方が好ましいと思っている。今や、若い企業のトップの名刺には、電話番号が書いていない場合(メールアドレスのみ)も結構ある。

そうした中で、個人の習慣として礼状を送るということが自然ならばそれで結構、ぐらいのコンセプトで考えておく方がよいのだろう。こうしなければいけない、という発想で他人の行動を律しようとするのは難しい。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「人口/結婚/家庭/生活

4月29日 MI州:ゲリマンダリング違憲判決
Source :Federal Court Rules That Michigan's Congressional Map Was Unfairly Gerrymandered (NPR)
Michigan州(MI)の選挙区は、州議会が定め、州知事が承認する形を採っている。2010年の国勢調査に基づく選挙区見直しは、州議会両院、州知事とも共和党のもとで行われた(「Topics2010年12月23日 Redistricting開始」参照)。

その選挙区見直しは不適切であったとして、MI州女性団体が連邦裁判所に訴えた。今回の判決は、 というものであった。確かに、ある民間の試算では、MI州の選挙区は憲法違反である可能性が高いとされていた(「Topics2019年6月25日 ゲリマンダリングの合憲性」参照)。

今回の判決では、州議会に対して、選挙区見直しをやり直し、今年8月1日までに州知事の署名を得るよう命じている。もし、州議会が命令通りにしなければ、裁判所自身が選挙区を設定する、としている。

現在、州議会両院とも共和党が多数を握っているが、民主党の州知事が署名してくれるような内容にすることはできない。むしろ、連邦最高裁まで持っていき、執行停止の仮処分を得たいと考えている。

連邦最高裁は、これまでゲリマンダリングの合憲性について判断を示したことはない(「Topics2018年6月19日 ゲリマンダリング:判断先送り 」参照)。連邦最高裁判事の構成を見ても、共和党が不利になるような判決は下すまい(「Topics2018年10月7日 Kavanaugh判事就任」参照)。

MI州のゲリマンダリングが司法の場で決着することはないとみられるものの、民主党出身の州知事は今年1月に就任したばかりである。ということは、2020年の国勢調査を終えた後の選挙区見直しでは、存分に拒否権を発揮できるということになる。そこまで待つしかないだろう。

※ 参考テーマ「政治/外交」、「司 法

4月27日 国勢調査の変遷
Source :See 200 Years Of Twists And Turns Of Census Citizenship Questions (NPR)
国勢調査で「市民権の有無」を問う質問を含めるかどうかの審理が連邦最高裁で行われている(「Topics2019年1月16日 国勢調査初判決」参照)。マスコミの報道振りでは、党派色がはっきり分かれる形の5対4で、商務省の質問案を認める方向のようだ(NPR)。

今まで知らなかったのだが、アメリカの国勢調査における市民権の有無に関する問いは、この200年間に色々と変わってきている。
今回の質問項目案のインパクトは、調査対象が抽出された家庭(約1/6)から全家庭に変わることにあるようだ(2000年⇒2020年)。

※ 参考テーマ「移民/外国人労働者」、「人口/結婚/家庭/生活

4月26日 健康管理策の効果に疑問
Source :How Well Do Workplace Wellness Programs Work? (NPR)
企業が従業員に対して提供する健康管理プログラムは、従業員自身(特に健康への関心が高い従業員)から要望されているし、政府からも後押しをされている(「Topics2016年5月19日 健康管理策ルール決定」参照)。ところが上記sourceが紹介している調査結果によると、健康管理プログラムが医療費の削減、健康状態の向上、従業員の生産性向上に貢献しているとは証明しがたい、となっている。

健康状態の向上につながるにはかなりの時間がかかる。自分の例を見ても体重が気になりだして運動を始めて間もなく15年になるが、ちっとも減量できなくて、理想的体重には程遠い。長期的な視点に基づく調査が必要だろう(「Topics2018年2月7日 健康管理策の間接効果」参照)。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「医療保険プラン

4月25日 年金/Medicareの余命
Source :Fact Sheet: 2019 Social Security and Medicare Trustees Reports (U.S. Department of the Treasury)
今年も公的年金とMedicareの財政見通しが公表された。二大社会保障制度の基金が枯渇する時期に変化はない(「Topics2019年6月7日 Medicare枯渇が早まる」参照)。 ということは、「余命」という意味では両制度とも1年短くなったということになる。

※ 参考テーマ「公的年金改革」、「Medicare

4月24日 小さく産んで…
Source :2018年9月度 退職金・年金に関する実態調査結果 (経団連)
確定拠出企業年金の制度設計について政府と協議をしていて、なかなか思うような姿にならなかった。企業年金の重鎮から叱られながらも『小さく産んで大きく育てます』と約束してようやく法案成立にまで漕ぎつけた。ここまで来れば、本望である。
※ 参考テーマ「日本関連

4月22日 CO州:地域医療保険組合
Source :Unique collective has ambitious plan to lower healthcare costs (Modern Healthcare)
CO州Summit Countyは、風光明媚な土地だそうだが、Denver都市部に較べて医療費が圧倒的に高くなっているそうだ。そこで、医療費、さらには保険料を引き下げるため、同Countyの企業、個人が集まって、ユニークな共同体を創設したとのことである。
  1. 名称は、Peak Health Alliance(ここでは、勝手に『Peak地域医療保険組合』と訳しておく)。

  2. 加入者は企業及び個人。今のところ、加入者は6,000人程度。ちなみに、同郡人口は3万人程度(2015年)。2020年1月1日より、同郡住民・企業なら誰でも加入できるようにする予定。

  3. 現在は、同郡唯一の総合病院Centuraと、診療報酬について直接交渉中。

  4. 交渉の結果決まった診療報酬については、組合加入者が他の地域のCenturaを利用した場合にも適用される。

  5. また、同郡にある他の医療機関に対しても、同様の契約を結びたいと考えている。

  6. Centuraとの間で契約した診療報酬について、保険会社にも照会して、さらによいプランが作れないか、検討を依頼している。正式ではないが、Aetnaが提案を行う予定と公言している。

  7. CO州の保険長官が、この試みを支援している。
CO州議会は、州運営医療保険プランの創設を検討するよう、州政府に指示を出している(「Topics2019年4月18日 CO州:州立医療保険プラン案 」参照)。州議会、地域の住民ともに、安い保険プランを模索しようとしている。

※ 参考テーマ「無保険者対策/CO州