2月9日 Paycard手数料負担
Source :Thinking About Using Payroll Debit Cards? Read This First (SHRM)
当websiteで"paycard"を紹介したのが2010年(「Topics2010年12月1日 "Paycards"」参照)。そこからだいぶ普及したようである。

法整備も連邦レベル(Electronic Fund Transfer Act, EFTA)、州レベルで進んでいるが、いずれも従業員に対して強制的に発行することはできない。いずれも従業員の同意が必要としている。このため、paycard以外の給与の支払い方法、例えばチェック、銀行振り込み、現金などの代替手段を確保しておく必要がある。なかなかすっきりと全部カードという訳にはいかない。

一方で、課題も明らかになっているようだ。

ある調査(2015年実施)によると、次のような問題が寄せられている。 手数料負担に関するトラブルが多い。これに関しては、多くの州法で規制を加えている。月額給与であれば、月に最低1回は手数料負担なしに給与を引き出すことができるようにしている場合が多い。

いずれにしても、給与の支払い手段が統一できないというのは、企業側にとっては無駄なコストを要する。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制

2月8日 若い不法移民には寛容
Source :NPR Poll: 2 In 3 Support Legal Status For DREAMers; Majority Oppose Building A Wall (NPR)
DACAの期限切れまであと1ヵ月を切った。大統領と議会の間で合意に向けた協議があまり進んでいない。大統領は連邦政府機関が閉鎖になっても構わないとの強硬姿勢を示している。

そのような情勢の中で、NPRが実施した移民に関する世論調査の結果が公表された。
  1. 移民はアメリカ人の重要なアイデンティティーの一つである:75%

  2. 文化の多様性はアメリカ社会を住みやすくする:74%

  3. DREAMers(子供の時にアメリカに連れてこられた不法移民)に法的地位を賦与することに賛成:65%

  4. メキシコ国境に壁を建設することに反対:56%

  5. 壁の建設は国民の税金の無駄遣い:60%

  6. 家族・親戚の呼び寄せ範囲については、配偶者、18歳未満の子供、兄弟、祖父母、18歳以上の子供については、ほぼ半数以上が賛成。叔父叔母、従兄弟まで認めるべきとの人は少ない(「Topics2018年1月31日(1) トランプ初の一般教書演説」参照)。

  7. 移民の数を減らすべきとの意見は4割になる。
既に国内にいる若い不法移民に対しては寛容だが、今後の移民については制限を加えるべきとの風潮が強そうだ。

※ 参考テーマ「移民/外国人労働者

2月7日 健康管理策の間接効果
Source :Are Workplace Wellness Programs a Waste of Time and Money? (HR Daily Advisor)
企業が実施する健康管理プログラムについて、大学の研究者達がその効果を調査、公表した(NBER Paper)。

そのポイントは次の通り。
  1. 従業員規模12,000人以上の企業に、総合的な健康管理プログラムを導入し、その従業員個人に対して、ランダムに加入資格と金銭的なインセンティブを提供した。

  2. 加入資格を賦与された従業員のうち、56%がプログラムに参加した。

  3. プログラム参加者の前年の医療費は低く、健康志向が強かった。

  4. しかし、プログラム開始初年度の企業全体の医療費、従業員全体の健康志向、生産性、自己診断について、目立った改善は見られなかった。

  5. こうした結果から、次のような結論が導かれる。
    • 健康管理プログラムは、健康志向の強い人を選別するメカニズムを持っている可能性がある。

    • 直接的な経費節減はないとしても、健康管理プログラムがあれば、医療費のかからない人を雇用、引き留めることにつながる。

    • そうなれば、結果として企業にとっても経費節減効果を得られることになる。
少し遠回りかもしれないが、健康管理プログラムを導入した方がよさそうだ。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「医療保険プラン

2月5日 副業は学生ローンのため
Source :When A Full-Time Job Isn't Enough To Make It (NPR)
上記sourceによると、フルタイマーのうち3割が副業を持っている。また、本業のほかに副業に就いている理由の一つとして、学生ローン返済が指摘されている。本業(フルタイム就労)だけでは生活費+学生ローン返済が賄えないというのだ。

学生ローンの残高は、近年増え続けており、2017年9月30日時点で$1.36Tとなっている(the Federal Reserve Bank of New York)。これは、自動車ローン、クレジットカードローンいずれの残高よりも多い。
これではワークライフバランスのとれた生活も結婚も見通しがつかない。アメリカの若者たちは厳しい人生スタートを迎えているのかもしれない。

※ 参考テーマ「教育」、「労働市場」、「人口/結婚/家庭/生活

2月3日 押しの強さが仇にも
Source :33% of HR Hiring Managers Have Turned Down a Candidate for Being ‘Too Pushy’ After an Interview (HR Daily Advisor)
雇用市場の改善が続く中、アメリカの労働者達は強気になっている。約3割の従業員が、12ヵ月以内に転職しようと考えている。そして、転職先として人気のある都市は次のようになっている。 なんとテキサス州の都市が3つも入っている。余程の好景気なのだろう。

その他にも興味深い調査結果が示されている。 この33%を多いとみるか、逆に67%は歓迎しているとみるのか、評価は難しいところだが、アメリカ人でも押しの強さがマイナスに評価される場合があるのだということがわかってよかった。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「労働市場

2月2日 Dating Policyの見直し
Source :Review Your Company Dating Policy in Light of #MeToo Movement (SHRM)
バレンタインデーが近づくと、鉄板ネタとして、社内の男女の付き合い方に関する記事が出てくる。ただし、今年は『#Me Too』運動の広がりを受けて、人事部門が社内規定の見直しを進めているそうだ(「Topics2017年12月29日 セクハラの定義」参照)。
  1. Dating Policy

    ある調査によると、
    • 職場の同僚とのデート経験がある:36%
    • 上役とのデート経験がある:30%
    • 上司との恋愛経験がある:22%
    と、従業員の間では同じ職場同士の付き合いは一般的となっている。

    企業においては、特に上司と部下の関係での付き合いについては、将来の訴訟リスクを考えながらルールを定めておくことが求められている。また、ハラスメント防止と同様の配慮が必要となることから、職務規定の中で近い場所に並べておくことが望ましいとされている。

  2. Love Contracts

    上司と部下の間で恋愛関係になった場合には、"Love Contracts"の提出が求められる場合がある(「Topics2007年2月14日(2) Love Contract」参照)。これについてもより慎重な配慮が必要とされている。

    • 部下の方が署名を拒む場合は、既に危険信号である。プライバシーに充分配慮しながら、拒む理由をよく確かめる必要がある。

    • 双方が合意のうえであっても、管理職と非管理職の間の恋愛を禁止する企業が増えている。

    • 上司と部下の場合だけでなく、同僚同士の場合についても積極的に検討しておいた方がよい。
しかし、人事政策の専門家の中には、こうした社内規定はばかばかしくて無意味だ、という意見もある。いくら書面にしておいても、当事者がその約束を守るかどうかはまったくわからないので、訴訟リスクを軽減することにはならないという考えだ。こうした意見も専門家は、企業文化と訴訟リスクのバランスをどう考えるかによって、社内規定の在り方は様々になるとみている。この点については同意見だ(「Topics2016年2月17日 バレンタインデーの掟」参照)。

※ 参考テーマ「社内恋愛」、「人事政策/労働法制