8月29日 ペット・ベネフィット
Source :Benefits You May Not Have Considered: Pet-Related Employee Benefits (HR Daily Advisor)
上記sourceでは、まだ導入していないなら、こんなペット関連ベネフィットはどうですか、と紹介している。 休暇や金銭補助は理解できるが、オンサイトのサービスはアメリカならではの発想だと思う。日本の企業でもいずれ入ってくるのかな?

※ 参考テーマ「ベネフィット」、「人口/結婚/家庭/生活

8月28日 E-Verifyの致命的欠陥
Source :E-Verify is intended to detect workers without legal status. How do immigrants get around it? (Los Angeles Times)
今月初め、MS州で不法就労者の一斉摘発が行われた(「Topics2019年8月9日 不法移民一斉摘発」参照)。

そのMS州は、すべての雇い主(官民とも)にE-Verifyの利用を義務付けている。にもかかわらず、不法移民を雇用する慣習は広く共有されている。そもそもE-Verifyの厳格な執行は、政治的には好まれていない(「Topics2018年8月27日 執行されないE-Verify法」参照)。そうした背景をうけて、MS州では、ここ数年間でE-Verifyの情報が正しいかどうかを確認した被用者の数は、全体の半分に満たないそうだ。

そして、何よりも、E-Verifyには致命的な欠陥があるという。上記sourceでは、MS州で実際に就労していた不法移民に取材し、 といった事例を紹介している。

連邦政府は、SSN不突合通知を今年4月から再開しているが、盗まれたり貸与されたSSC記載の名前を利用すれば、SSN不突合は起きない(「Topics2019年4月15日 SSN不突合通知」参照)。

また、2017年8月からは、雇用主がE-Verifyを利用して、被用者が提出した運転免許証が本物かどうかを確認できるシステム(Records and Information from DMVs for E-Verify, RIDE)が導入されており、MS州はこのシステムに参加している(Employment Screening Resources)。にもかかわらず、不法就労のチェックができないのは、不法就労者が他人の身分証明書を利用しているからである。雇い主の方も、労働力を失いたくないことから、積極的にSocial Security Cardや身分証明書の真偽を確認しようとはしない。よって、E-Verifyを利用していても不法就労が見逃されてしまう。

雇用主、不法就労者ともに雇用関係を維持したいという中で、いくらシステムを構築しても実効はあがらない。

※ 参考テーマ「移民/外国人労働者

8月27日 不法移民の就労実態
Source :Employers Struggle With Hiring Undocumented Workers: 'You Cannot Hire American Here' (NPR)
上記sourceは、MO州のとあるレストランでの不法移民の就労実態をルポしている。当該レストランの主力は不法移民だそうだ。アメリカ人を雇おうとしても、決して応募はなく、不法移民の従業員なしではやっていけない、と経営者は訴えている。ちなみに、この経営者は、不法移民従業員に最低賃金以上の給与を支払っている。

少しだけ実態のわかる数字をまとめておく。 このように、不法移民が一掃されてしまえばアメリカ社会が困ることは誰もが分かっている。実際、上述のレストラン経営者は、先のMS州での不法移民就労者一斉摘発により、鶏肉の値段が高騰するのではないかと懸念している(「Topics2019年8月9日 不法移民一斉摘発」参照)。

※ 参考テーマ「移民/外国人労働者

8月26日 個人保険加入者数の推移
Source :Changes in Enrollment in the Individual Health Insurance Market through Early 2019 (Kaiser Family Foundation)
上記sourceは、個人保険市場の加入者数の推移を推計、分析している。主なポイントは次の通り。
  1. 個人保険加入者総数は、2013年の10.6Mから2015年の17.4Mまで増加し、その後減少して2018年には13.8Mとなっている。
  2. 2016年から2018年にかけての加入者数減少は、その大部分がExchange外での減少となっている。Exchange外では保険料補助金は受けられず、2017年、2018年の保険料急騰の影響をまともに受けたものとみられる。
  3. 加入者数の減少傾向は、2019年も続く模様である。
  4. 加えて、2019年の個人保険プランの『新規』加入者数も、3.2M人から2.7M人に減少している。これには様々な理由が考えられるが、保険加入義務の実質無効化もその一つである。

  5. 個人保険市場における補助金受取加入者の割合は、どんどん上昇しており、2019年第1四半期は約2/3を占めている。


※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル全般

8月23日 NLRB:従業員投票促進策を提案
Source :NLRB Proposes Changes to Union Election Procedures (SHRM)
8月12日、NLRBは、労働組合否認投票における従業員の投票を促進する方策を提案した。同提案については、現在、60日間のパブリックコメント募集が行われている。

主な改正提案は次の2点。
  1. 労働組合による投票中止要請中の投票

    現行、従業員が労働組合を従業員代表と認めたくない場合、当該労働組合を否認することができる。労働組合員の30%以上が署名、要請した場合、NLRBは、労働組合が過半数の同意を失っているかどうかを確認する否認投票を実施する。その際、労働組合は、企業側が不当な介入を行なっているとして投票の中止を求めることができ、中止申請が行なわれると、NLRBは投票プロセスを止めることになる。プロセス中止の期間は、数か月から数年に及ぶこともあるそうだ。

    今回の提案では、労働組合からの不当介入告発があったとしても、投票自体は継続する一方、開票は行わない。不当介入がなかったと判断された場合には、そのまま開票し、不当介入が行われたと判断された場合には開票せず、投票は無効とする。

    労働組合の告発に関わらず、従業員の投票は進めようというものである。

  2. 企業による労組認定

    労働組合が充分に過半数の支持を得ているとの証拠があれば、NLRBによる選挙執行を行わずに企業が自ら交渉相手として当該労組を認定することがある。その場合、従業員が当該労組を代表として認めたくないと考えても、一定期間(最大4年間)は否認申請ができないことになっている。これは、企業と労組の関係がうまくいくかどうかを判断するための経過期間となっている。

    今回の提案では、企業側が労働組合を自主的に認定した場合、当該労組の従業員に対して、45日間否認申請を行なえる旨通知しなければならないこととしている。従業員の意思表示が直ちにできるようにすることを目的としている。

上記sourceによると、NLRB委員のうち、共和党系3人が賛成、民主党系1人が反対の意見を表明している(「Topics2018年9月19日 共同雇用者定義の規則化」参照)。

※ 参考テーマ「労働組合

8月22日 年金改革法案目白押し
Source :Congress is considering big changes to the way you retire. Here's what could make the cut (CNBC)
退職後所得確保に関する法案が連邦議会で審議されている。可決されれば、いずれも大きな影響をもたらすことになる。
  1. The SECURE Act

    & 退職後所得プランに参加できる労働者を増やすことが目的。具体的には次の通り。

    • 小規模企業が一体となってDCプランを提供できるようにする。

    • パートタイマーも退職後所得プランに参加できるようにする。

    • IRAへの拠出ができる上限年齢(70.5歳)を撤廃する。同時に、給付開始上限年齢を70.5歳から72歳に引き上げる。

    • 401(k)プランで年金給付を選択できるようにする。

    5月23日、下院で417-3の圧倒的多数で可決され、現在は上院に送られている。

  2. Social Security 2100 Act

    今のままでは、公的年金は2035年に財政破綻し、約束した水準の80%しか給付できない(「Topics2019年6月12日 公的年金財政への危機感 」参照)。そうした事態を回避し、21世紀中の制度持続性確保を目的としている。具体的には、給付は一切カットせず、高額所得者の年金保険料負担を高める。

    • 平均給付額の2%相当を増額給付する。

    • 最低給付額を、連邦Poverty Lineの25%増に設定する。

    • 公的年金が非課税となる場合の公的年金以外の所得の最低限を引き上げる。単身の場合は$25,000から$50,000、家族の場合は$32,000から$100,000へ。

    • 公的年金保険料が課される所得の上限を$132,900から$400,000に引き上げる。

    • 2020年から2043年にかけて、公的年金保険料率を6.2%から7.4%に段階的に引き上げていく。

    今年1月に提出され、共同提案者は210人にのぼっているが、審議は進んでいない。

  3. Rehabilitation for Multiemployer Pnesions Act

    危機に瀕している複数事業主プランを救済するためのもの。主な内容は、既に紹介済み(「Topics2019年1月13日 複数事業主プラン救済法案」参照)。7月24日、下院で264-169で可決されている。

  4. Health Savings for Seniors Act

    Medicare加入者でもHSAsへの拠出を継続できるようにする。現在は拠出が認められていない。下院で審議中。

  5. Equal Treatment of Public Servants Act

    公務員の公的年金給付額を、現在よりも増やすことを求めている。下院で審議中。
ご覧の通り、いずれも下院主導で審議が行われている。つまりは民主党主導の法案で、それに上院共和党議員達がどれだけ乗ってくるかが法案の帰趨を決める。もっとも、その後にはトランプ大統領の拒否権発動が待っているのかもしれない。

※ 参考テーマ「DB/DCプラン」、「企業年金関連法制」、「公的年金改革」、「PBGC/Chapter 11」、「HSA」、「Medicare

8月21日 ARPs規則決定
Source :DOL’s Final Rule on Association Retirement Plans: What It Means for the Retirement Industry (Drinker Biddle)
7月29日、DOLは、Association Retirement Plans (ARPs)に関する規則を決定した。これは、2018年9月のトランプ大統領令に基づく制度設計規則である(「Topics2018年9月10日 DC規制緩和大統領令」参照)。

新規則の骨格は次の通り。
  1. AHPsと同様(「Topics2018年6月20日 AHPs規制緩和」参照)、共通性に関する定義を大幅に緩和して、

    • 同業種
    • 同地域

    で協同組合を結成し、DCプランを運営できるようにする。

  2. プラン運営主体は、正式な組合組織を持たなければならない。

  3. また、運営主体は、事業主達によって運営されなければならない。

  4. 協同組合員以外の従業員は参加できない。
小規模事業主にとっては、ありがたい規制緩和である。いまさら複数事業主DBプランなど利用できない(「Topics2018年6月1日 複数事業主プランが急速に悪化 」参照)。

※ 参考テーマ「DB/DCプラン