8月9日 不法移民一斉摘発
Source :Mississippi Immigration Raids Lead To Arrests Of Hundreds Of Workers (NPR)
8月7日、Mississippi州で、ICEが不法移民の一斉摘発を行なった。対象は、州内の農場、食品加工工場など7か所であった。この結果、680人が不法就労の疑いで拘束され、雇い主である企業から関係書類が押収された。

いよいよトランプ大統領の宣言通りに不法移民の強制退去が始まったと思われる(「Topics2019年6月20日 不法移民強制退去 」参照)。ただし、一度の拘束人数を見ると、2008年にIowa州で行われた400人以上の拘束以来の規模という。

これが全米でとこまで広がっていくのかが注目点である。今月3〜4日に起きた銃乱射事件で、トランプ大統領の人種差別的な発言が事件を呼び込んだとの批判がある(NHK)。ここでラテン系を中心とした不法移民の強制退去が大量に行われれば、「トランプ大統領は人種差別主義者」との批判がますます強まる可能性がある。

※ 参考テーマ「移民/外国人労働者

8月7日 地方政府年金のガバナンス
Source :Does Public Pnesion Board Composition Impact Returns? (Center for Retirement Research at Boston College)
上記sourceでは、地方政府年金の運営委員会の実態を調査するとともに、運営委員会の実態と運用実績の連関性について調査している。ポイントは次の通り。
  1. 地方政府年金の場合、運営委員会のタイプは3つに分かれる。数から言うと、タイプiが3/4近くを占める。
    1. 投資と管理の両方に責任を持つ単独の運営委員会
    2. 投資と管理を別々に責任を持つ分離型の運営委員会
    3. 個人が年金運営全体の責任を持つ形態。多くの場合は、投票権を持たない運営委員を伴う。
  2. 運営委員会の委員構成を見ると、プラン加入者の代表が半分以上を占めている。
  3. 運営委員会の委員数では、8〜10人が最も多い。
  4. 一方、委員就任年数を見ると、7年未満で辞めてしまうケースが2/3近くを占めている。
  5. 専門家の意見を聞きながら、本調査では理想的な運営委員会の姿を定めてみた。
    1. 単独型の運営委員会

    2. 委員数は6〜10人

    3. 州政府職員の宛職は最低一人いるものとして、プラン加入者が20〜70%を占めている。

    4. 金融の専門家(財務、数理)が最低二人は入っている。

    5. 運営委員の在任期間が平均8〜10年

  6. 上記の各要素を満たしていれば1ポイントを付与することにしてプラン毎に評価してみると、次のような分布となった。
  7. 前項の各プランのスコアと投資実績を回帰分析してみると、有意であるとの結果が得られた。スコアが1ポイント上昇する毎に、投資収益率は24ベーシス上昇する。
形式を整えれば投資収益が必ず上昇するという訳ではないだろうが、少なくとも投資収益率が高いプランは形式要件を満たしていることが多いのだろう。

※ 参考テーマ「地方政府年金

8月6日 EEOCの委員構成
Source :Senate Confirms EEOC Commissioner and General Counsel (SHRM)
8月1日、連邦議会上院は、EEOCの委員としてBurrows氏の再任(PN968)、Gustafson氏の事務局長就任(PN174)を承認した。

これにより、現在のEEOCの委員構成は次の通りとなる。
【2019年8月6日時点】
役 職氏 名政 党指名者任 期
ChairmanJanet DhillonRPresident Trump2019.5.15〜2022.7.1
MemberVictoria A. LipnicRPresident Obama@2010.12.22〜2015
A2015〜2020.7.1
MemberCharlotte A. BurrowsDPresident Obama@2014.9.12〜2019.7.1
A〜2023.7.1
MemberR
MemberD
事務局長Sharon Fast GustafsonPresident Trump〜2023.7
EEOC委員は、大統領の党派から3人、野党派から2人と決まっている。

委員長のDhillon氏は、トランプ大統領から2017年6月29日に指名を受けていたが、上院で承認されたのは2019年5月8日である。2年近く承認が受けられなかった理由の一つは、LGBTQに対する差別に関してEEOCの立場を変更してしまうのではないか、との懸念があったためとされている。

上表の通り、共和党系、民主党系ともにあと一人委員として就任できる。

ちなみに、上記メンバーはいずれも女性である。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「LGBTQ

8月2日 処方薬輸入プラン
Source :Azar unveils plan to import prescription drugs (Modern HealthCare)
7月31日、HHSFDAは、処方薬価格抑制を目的に、処方薬輸入のための2つのプランを公表した。今後のタイムスケジュールは示されていないものの、可能な限り早く実現したいとしている。

2つのプランの骨子は次の通り。
  1. 州政府、薬品卸、薬局が行っている「FDA承認薬のカナダ製造版を輸入するパイロット・プログラム」を連邦政府として公認する(「Topics2018年6月8日 州の薬価抑制策」参照)。

  2. 製薬会社に、外国で製造している廉価版をアメリカ国内で販売することを認める。
いずれも課題が多いことは分かっているが、トランプ大統領が2020年選挙に突き進む中で、行政の成果が求められているのだろう。

※ 参考テーマ「医薬品」、「大統領選(2020年)

8月1日 Medicare for Allの財源
Source :The Democratic Debate Over 'Medicare For All' And Middle-Class Taxes, Explained (NPR)
民主党大統領候補者選びが活況に入っている。その中で、リベラル急進派が推す"Medicare for All"の財源について骨格が見えてきた(「Topics2019年3月1日 Medicare for All法案」参照)。基本的な考え方は、『高額所得者、企業に思い切り課税する。中間層にも課税するが、トータルの負担(従来の保険料負担その他)は減少する』というもの。

中でも、Sanders上院議員が提唱する財源案リストのうち、注目を集めているのが「所得ベースの保険料」で、 まあ、日本や欧州では当たり前のような保険料システムだが、アメリカ社会にとってはびっくり仰天のアイディアと捉えられているのだろう。

いずれにしても、民主党候補としてリベラル急進派が選ばれるようなら、大統領選では苦戦するだろう。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「大統領選(2020年)