8月31日 職場での録音の悪影響
Source :'If You Don't Think You're Being Recorded At Work, You Are Naive' (NPR)
当webisteでは、つい先日、社内での録音禁止規定に関する法的効力について紹介した(「Topics2018年8月10日 録音禁止規定の障害」参照)。ところが、上記sourceのタイトルは、『録音されていないと思っていたら、相当なお人好し』だ。職場では常に録音されているのが当たり前になっているという。

専門家は、職場内での信頼関係を築くことが難しくなり、健全な職場環境は確保できなくなるだろう、と述べている。

先日話を聞いたマスコミ関係者(日本)は、「財務省事務次官の発言を録音し、公開したことは、(我々記者に対する)営業妨害だ」と述べていた。取材する側とされる側との間の信頼関係が崩れるからだ。本当にその通りだと思う。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制

8月28日 公的年金:つけは全国民に
Source :The Time Bomb Inside Public Pension Plans (Knowledge@Wharton)
上記sourceは、地方政府年金、連邦公的年金(Social Security)の財政危機が深刻であることを紹介している。 これだけ深刻な状況に陥っていながら、政治問題化しないのは、国民/住民に実態が伝わっていないことに加え、政治が対応策を先送りしてきているからと指摘している。まったく積立金のない医療費への対応が当面の課題になっている中、地方政府年金への対応策は、給付削減または増税を伴わざるを得ない。政治的に厄介であることは間違いない。

上記sourceで、専門家は、先ずは正確な情報を開示し、実態を国民/住民に理解してもらうことが大切だと主張している。また、対応策は一つで足りるということはなく、合わせ技で行くしかないことも主張している。

※ 参考テーマ「地方政府年金」、「公的年金改革

8月27日 執行されないE-Verify法
Source :E-Verify Laws Across Southern Red States Are Barely Enforced (Bloomberg)
不法移民の就労を防ぐ切り札として、E-Verifyが導入されている。特に、南部の州などでは、民間企業に利用を義務付けているところが多い。
民間企業の間でも、義務付けを支持する声が大きい(「Topics2017年3月30日 E-Verify義務化の課題」参照)。

ところが、州政府が同法をまじめに執行している様子はないと、上記sourceは伝えている。本当に利用しているかどうかの確認をするところはあるものの、担当部局がはっきりしていなかったり、利用していなくてもペナルティが課されたケースは稀だったりするためだ。

なぜ、州政府が同法の執行に及び腰かというと、実際に企業に利用を義務付け、不法移民の就労を一掃してしまったりしたら、地元企業の大きな不評を買うからだ。州政府関係の政治家達は、このことをよく分かっていて、決して州政府の怠慢を追及したりしない。また、企業も総論賛成、各論反対の立場なのだ。

トランプ政権は、国勢調査に変更を加えることにより、不法移民の炙り出しを企図しているが、本当に実施してしまうと、南部・中西部の支持層も失うことになりかねない(「Topics2018年3月30日 不法移民の炙り出し」参照)。

※ 参考テーマ「移民/外国人労働者

8月24日 ME州最高裁:Medicaid拡充を指令
Source :Maine Supreme Court orders Medicaid expansion to go forward (Modern Healthcare)
Maine州(ME州)は、昨年11月の州民投票で、Medicaid対象者の拡充を決定した(「Topics2017年11月13日 ME州:州民投票でMedicaid拡充」参照)。ところが、Paul LePage州知事は、必要な財源が州議会で確保されない限り、Medicaidの拡充は行わないと主張し続けた。

州民投票の結果通りであれば、本来、今年の7月2日から、新たな対象者のMedicaid加入が開始されていなければならなかったが、州政府はまったく動かなかった。そこで、州裁判所に提訴が行われ、さる8月23日、州最高裁で『Medicaid拡充を実行する』よう指令する判決が下された。

さて、州知事はどのような対応を取るのか。現知事の任期は、2019年1月までであり、再選はない。

※ 参考テーマ「無保険者対策/ME州

8月23日 学生ローンベネフィット2類型
Sources : Student loan debt: should employers focus on prevention or the cure? (Voya Insights)
IRS Weighs In on 401(k) “Match” to Student Loan Repayments (E is for ERISA)
人事政策・採用政策の中で、学生ローンベネフィットはホットイシューになっているという(「Topics2018年6月13日 学生ローンベネフィットの潮流」参照)。様々な方策が考えられているが、上記sourceによれば、2つの類型に分類できるという。
  1. 予防型(prevention):学費を積み立てるための支援策や授業料の一部肩代わりにより、学生ローンが積み上がらないようにする。
    • 529 plansへの拠出金の給与天引き
    • 学生が支払った授業料の一部償還 等々


  2. 負担軽減型(the cure):学生ローン返済の負担を軽減する。
    • 毎月の返済金の一部企業負担
    • 残高の一部を企業負担  等々
そうした中、IRSは、401(k)プランを通じた学生ローン返済支援を認めるとの見解(Private Letter Ruling (PLR 201833012))を公表した。

具体的には、学生ローンを抱えた従業員が報酬の2%以上を拠出した場合、企業は学生ローン返済を目的として401(k)プランに報酬の5%をマッチング拠出できる。既存のベネフィットツールを利用することができるため、今後、急速に普及するものと思う。

※ 参考テーマ「教 育」、「ベネフィット

8月22日 H-1B厳格化の証拠
Source :H-1B Visa Denials, Requests for Evidence Increase (SHRM)
トランプ大統領は、2017年4月、H-1Bビザの発給の厳格化を命じた。その際、当websiteでは、大統領令の効果は2018年になってから出てくると思っていた(「Topics2017年4月19日 H-1Bビザの見直し」参照)。

ところが、上記sourceによると、2017年7-9月期には、実務面での効果が表面化していた。 こうした傾向は、2018年も続くとみられており、外国人技能者の獲得はどんどん厳しくなっている。特に、これまで大量に受給を受けていたインド人への打撃が大きいようだ。

※ 参考テーマ「移民/外国人労働者

8月21日 続く医療費の高騰
Source :For 2019, Employers Adjust Health Benefits as Costs Near $15,000 per Employee (SHRM)
大企業が提供する医療保険プランでは、2019年の従業員一人当たり医療費は$14,800と見込まれている。これは2018年の$14,099から約5%の増加率となる。上記sourceによれば、賃金上昇率の2倍、物価上昇率の3倍のスピードだ。

大企業は、この医療費を、70%企業負担、30%個人負担で分担しようとしている。

一方で、大企業が医療費抑制のために取ろうとしている対策は、主に次のようなものとなっている。
1番に挙がっているTelehealthは、ほとんどの大企業が選択肢として用意しており、2019年はその中の対象医療の拡充を図ろうとしている。
2番目の高額医療受診者については、大企業の中の約3/4が、コスト増の最大の要因の一つと認識している。

3番目と6番目は、医療機関(ネットワーク)の選別である。


ACOs are groups of doctors, hospitals and other providers that come together voluntarily to give coordinated, high-quality care to their patients.

High-performance networks limit in-network doctors, clinics and hospitals to providers that are highly rated for cost and quality of care.

Similarly, COEs (centers of excellence) are highly rated facilities shown to offer high-quality, cost-effective care, often focused on specific diseases or conditions.
ところで、上記sourceでは、意外な調査結果として、大企業では『高免責額制CDプラン(CDHP)』を見直す動きが出ていると紹介している。CDHPプランのみを提供する企業は、2018年の39%から、2019年には30%と、9pptも減少する。当websiteでは、この傾向については既に紹介済み(「Topics2018年6月27日 高免責額プラン見直しへ」参照)だが、上記sourceでは、新たな要因として、"Cadillac Tax"の施行延期を挙げている(「Topics2018年1月24日 Cadillac Tax 2年延期」参照)。今年1月に、施行を2022年まで延期したのだが、多くの企業が、再々延期、または廃止されるのではないか、と見込んでいる。CDHPは、"Cadillac Tax"を回避するための手段として考えられていたが、その必要性が低下したということだ(「Topics2014年10月16日 Cadillac Taxへの備え」参照)。

さらに、大企業は、慢性病への対応や特殊専門病院での診療などを、免責対象外でCDHPのメニューに加えて、CDHPの柔軟性を高めようとしている。

政策や環境の変化に対応して、不断に医療保険プランを見直そうとする企業努力が、その進化を後押ししている。

※ 参考テーマ「医療保険プラン