3月20日 下院:2つの移民法案可決
Source :House passes ‘Dreamers’ bill as immigration debate intensifies - at the border and in Congressr (Los Angeles Times)
3月18日、連邦議会下院は、2つの移民法案を可決した。 共和党議員にとっては厳しい選択を迫られている。若い不法移民に対して国民は寛容である。また、南部の農業経営者は共和党の支持基盤だが、ゲストワーカー不足を嘆いている(「Topics2020年11月15日 農業ゲストワーカーの賃金」参照)。トランプ大統領時代と同じように移民政策に厳しい態度で臨めば、折角2020年の選挙でヒスパニックからの支持を増やしたのに、みすみすそれを失う可能性がある。共和党下院議員の投票行動に、その苦悩が表れている。

一方、バイデン大統領が目指す抜本的な移民政策改革に関する議論の開始には、まだ少し時間がかかるようで、上記sourceでは春になってから下院で議論されるとの見通しを示している(「Topics2021年2月20日(1) 移民法改革法案提出」参照)。

※ 参考テーマ「不法移民/外国人労働者

3月19日 新規失業急増
Source :Jobless claims unexpectedly jump despite relaxed economic restrictions (CNBC)
3月18日、労働省は新規失業保険申請数を公表した。今週は77.0万人、前週から4.5万人の増加となった(「Topics2021年3月13日 新規失業減少傾向」参照)。52週間で累計8,188万人となった(新規失業保険申請件数data)。

雇用保険被保険者の中の失業者数は412.4万人と、こちらはも1.8万人の減少となった。
また、COVID-19対策で導入された追加失業給付(「Topics2020年3月30日 2兆ドル対策(COVID-19)」参照)の新規申請数は28.2万人と、19.7万人の大幅減となった。

一方、COVID-19感染状況を見ると、波は確実に収まりつつあるが、下げ止まりの傾向が見え始めている。

Johns Hopkins University Health
また、感染リスクレベルはわずかに改善している印象だ。

Brown School of Public Health
※ 参考テーマ「労働市場

3月18日 遠隔就労希望は限定的
Source :How Has the Pandemic Affected U.S. Work Life? (GALLUP)
COVID-19拡大からほぼ一年が経過した。この感染症拡大が働く人の心境にどのような影響をもたらしているか、上記sourceは調査している。当websiteの関心事項は次の通り。
  1. 感染症拡大の中、何らかの形でリモートワークを実施している従業員の割合は、当初は7割に達したが、徐々に低下して、今年に入ってからは6割弱となっている。
  2. その中で、感染症収束後、選択肢としてリモートワークが可能であればずっとリモートワークを行ないたいと考える従業員の割合が徐々に上昇している。ただ、それでも3割弱にとどまっている。
  3. 企業、上司とのコミュニケーションが充分だと感じている割合は、緩やかに低下していて、約4割前後にとどまっている。
おそらく、仕事を進めていくうえで、充分なコミュニケーションが取れていないとの実感から、実際に出社する必要があるとの認識が広まっているのではないだろうか。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「Flexible Work

3月17日 LGBTQ差別禁止法案上院へ
Source :Equality Act is creating a historic face-off between religious exemptions and LGBTQ rights (Washington Post)
連邦議会下院は、2月25日、Equality Act (H.R.5)に関する採決を行ない、224対206で可決した(Roll Call 39)(「Topics2021年2月25日 LGBTQ差別禁止法案」参照)。下院共和党議員からは3人が賛成票を投じた。

上院での審議は、3月17日より始まる。それに先立ち、共和党中道派のCollins上院議員は、宗教的免責事項を修正すべきだと主張している。まさにLGBTQの権利と宗教の自由との折り合いをどこでつけるかが、大きな課題となる。

ただ、上記sourceによると、今回の法案はちょうどよいバランスを図っており、既存の宗教的免責事項はを守るようになっているという。なので、the Mormon Church、Seventh-day Adventists、the Council of Christian Colleges and Universitiesなどの組織が法案に対する支持を表明している。

どちらも相手の立場を尊重するという「礼」の心があれば、大きな争いは表面化しない。ルールベースの社会では難しい課題なのだろう。

なお、3月17日、日本では、『同性どうしの結婚を認めないことについて法の下の平等を定めた憲法に違反する』との判決が初めて示された(NHK)。

※ 参考テーマ「LGBTQ

3月16日 大都市から転出
Source :Why America Is Moving: Money, Space, Family, Lifestyle ... (NPR)
コロナ感染症拡大の影響で、アメリカ大都市の住人が郊外に引っ越している。その理由は、リモートワークの普及、失業に伴う親元への移動、孤独回避、子育て環境の改善、等々。

NY市からの引っ越しは前年比5倍、SF市は3倍近くと、かなり目立つ。D.C.も2.5倍以上だ。
東京からの転出など、ものの数にも入らない(日経)。

※ 参考テーマ「人口/結婚/家庭/生活

3月15日 独立契約者・共同経営者の定義変更
Source :DOL Proposes Withdrawal of Independent Contractor, Joint Employer Rules (SHRM)
3月11日、労働省は2つの定義を取り下げることを提案した(News Release)。
  1. 独立契約者の定義:今年1月7日に公表し、まだ発効していない(「Topics2020年9月23日 労働省:独立契約者定義案」参照)。

  2. 共同経営者の定義:2020年3月に発効したものの、9月に連邦地裁で無効判決を受けた(「Topics2020年9月11日(2) 共同経営者解釈に違反判決」参照)。
どちらも労働者の権利を強めようとするもので、政権交代に伴うものである。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制

3月14日 AZ州:不法移民州内授業料を審議
Source :Opinion:Arizona’s GOP-led Senate just granted a surprising win to undocumented residents (Washington Post)
Arizona州の州議会上院は、3月4日、不法移民の大学生に関して、州民授業料を認める法案(SCR 1044)を可決した。それも、共和党議員による法案提出で、共和党が多数を占める上院で可決されたのである。

これまで、AZ州では、不法移民は、州立大学では州民授業料の1.5倍、コミュニティ・カレッジでは州外学生授業料を支払わなければならなかった。州税を費消するサービスについて恩恵を被ることができなかったのである。2006年の州民投票で圧倒的多数で可決されたものだ。

今後は、州議会下院(多数派共和党)で審議され、可決されれば、2022年の州民投票にかけられる。成立すれば、年間約2,000人の不法移民高校卒業生に門戸が開かれる。

このテーマは、久し振りに触れたので、ここで状況を確認しておきたい(「Topics2012年11月21日 若年不法移民政策でコラボ:MA州」参照)。最新情報は、NCSL"Tuition Benefits for Immigrants"に準拠している。

不法移民子弟に州内授業料を提供することを法定
州 名法定年備 考
Texas2001
California2001-2
Utah2001-2
New York2001-2
Washington2003
Oklahoma2007
Illinois2003
Kansas2004
New Mexico2005
Nebraska2006
Maryland20112012/11州民投票で承認
Connecticut2011
Massachusetts2012国外退去猶予者に限定
Colorado2013
Minnesota2013
New Jersey2013
Oregon2013
Florida2014

高等教育委員会の決定により不法移民子弟に州内授業料を提供することが可能
州 名法定年備 考
Rhode Island2011
Hawaii2013
Michigan2013
Maine2017

不法移民子弟に州内授業料を提供することを法定で禁止
州 名法定年備 考
Arizona2006
Georgia2008
South Carolina2008
Indiana2011
Alabama2011
Missouri2015

Source:NCSL"Tuition Benefits for Immigrants"
過去の情報と比較してみると、Colorado州が、州内授業料禁止から州内授業料提供に移行している。保守派が根強いArizona州で、不法移民に優しい州への第一歩を踏み出すことになるのだろうか(「Topics2015年5月30日 不法移民に優しい州」参照)。

※ 参考テーマ「移民/外国人労働者

3月13日 新規失業減少傾向
Source :Weekly jobless claims rise less than expected with Biden set to sign $1.9 trillion Covid package (CNBC)
3月11日、労働省は新規失業保険申請数を公表した。今週は71.2万人、前週から4.2万人の減少となった(「Topics2021年3月6日 新規失業減少傾向か」参照)。先週の見込みは正しかったようだ。51週間で累計8,110万人となった(新規失業保険申請件数data)。

雇用保険被保険者の中の失業者数は414.4万人と、こちらも19.3万人の減少となった。
また、COVID-19対策で導入された追加失業給付(「Topics2020年3月30日 2兆ドル対策(COVID-19)」参照)の新規申請数は47.8万人と、4.2万人の増加となった。こちらは、2週連続の増加となった。

一方、COVID-19感染状況を見ると、波は確実に収まりつつある。首位の座もブラジルに譲った。

Johns Hopkins University Health
また、感染リスクレベルは改善しているものの、グリーン地域の広がりが止まってしまっているようにみえる。

Brown School of Public Health
※ 参考テーマ「労働市場

3月12日 "PRO Act"下院可決
Source :House Democrats Pass Bill That Would Protect Worker Organizing Efforts (NPR)
3月9日、連邦議会下院は、Protecting the Right to Organize Act (PRO Act)(H.R.842)を可決した。投票結果は、225対206で、共和党議員から5人の賛成票があった。(Roll Call 70

労働組合結成に対する保護を強化することが目的で、バイデン大統領も支持を表明し、連邦議会に可決を求めている(Statement)。バイデン大統領は、アラバマ州におけるアマゾン従業員による労組結成も支持(CBS)しており、労働組合への肩入れを強調している。(「Topics2020年12月23日 Amazon労組結成の行方」参照)

この法案の中で、最も注目すべきは、州が法定した"Right to Work"条項を上書きして、労組に加入しないことを選択した従業員からも組合費を徴収できるようにするという点である(「Topics2012年1月27日 "Right to Work" State」参照)。これには、2つの課題がある。

  1. "Right to Work"条項を法定した州は、27州にのぼる(「Topics2017年1月13日 KY州:27番目のRight to Work州に」参照)。既に半数を超える州が導入しているという現実がある。

    National Right to Work Legal Defense Foundation
  2. 労働組合加入率は、長期的には低下の一途を辿っている。(「Topics2021年1月24日 労組加入率/組織率上昇」参照)
1.は保守派の強い州、2.は若者からの反発が強いものと思われる。

上記sourceによれば、上院での法案可決の可能性は低い。ということは、ここまでがバイデン政権、民主党のアピール演出ということなのかもしれない。

※ 参考テーマ「労働組合

3月11日 $1.9Tコロナ経済対策法案成立へ
Source :House Gives Final Approval To $1.9 Trillion COVID-19 Relief Package (NPR)
3月10日、連邦議会下院は、$1.9Tコロナ経済対策法案(H.R.1319)上院修正案を可決した(「Topics2021年3月8日 コロナ経済対策法案上院修正可決」参照)。投票結果は220対211で、共和党議員からの賛成票はなかった(Roll Call 72)。

バイデン大統領は、連邦議会の可決を歓迎し、3月12日に署名すると表明した(Statement)。

(3/12追記)

3月11日、バイデン大統領が署名し、同法案は成立した(The White House)。

※ 参考テーマ「政治・外交」、「解雇事情/失業対策」、「最低賃金」、「医療保険プラン」、「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル全般