3月10日 コロナ対策保険プラン支援
Source :Pandemic Aid Package Includes Some Relief From High Health Plan Premiums (NPR)
先に紹介したコロナ経済対策法案上院修正版には、医療保険関係の補助金が含まれている(「Topics2021年3月8日 コロナ経済対策法案上院修正可決」参照)。
  1. COBRA保険料補助:補助期間は6ヵ月(2021年4月1日~9月30日)、補助率は100%である。下院案の85%よりも引き上げられている(「Topics2021年3月3日 COBRA補助の意味」参照)。

  2. Medicaidを拡充していない州に対する連邦負担分を増額する。(「Topics2020年8月6日 MO州:Medicaid拡充可決」参照)

  3. Exchangeで保険プランを購入する際、保険料負担が所得の8.5%を超えないよう補助する。所得が$12,760~$51,040の場合に限る。
いずれも低中所得層に対する支援であり、全体にPPACAを強化する内容である。

これは想像だが、下院民主党リベラル派(サンダース氏、ウォーレン氏など)が、「最低賃金引き上げの除外に同意する代わりにこうした低中所得層への配慮策を入れてくれ」と要求したのではないだろうか。でなければ、下院よりもジェネラスな案に仕上がる理由が見当たらない。

※ 参考テーマ「医療保険プラン」、「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル全般

3月8日 コロナ経済対策法案上院修正可決
Source :Senate Passes $1.9 Trillion Coronavirus Relief Package (NPR)
3月6日、連邦議会上院は、$1.9Tコロナ経済対策法案(H.R.1319)を修正、可決した。投票結果は、共和党議員が親類葬式参列のために欠席したため、賛成50、反対49であった。

主な修正項目は次の3点(「Topics2021年2月28日(1) コロナ経済対策法案下院可決」参照)。
  1. 給付金の対象となる家計の所得上限額引き下げ(「Topics2021年3月4日 上院民主党が給付金制限」参照)

  2. 失業保険給付上乗せ:週$300(←$400)を今年9月6日(←8月29日)まで

  3. 連邦最低賃金$15/hへの引上げ:削除(「Topics2021年2月8日 最低賃金引上げは一時お預け」参照)
下院民主党幹部は、修正項目について3月9日に投票すると表明した。

※ 参考テーマ「政治・外交」、「解雇事情/失業対策」、「最低賃金

3月7日(1) 雇用増・失業率低下
Source :A Sign Of Hope After 'Winter Hibernation': Employers Add 379,000 Jobs (NPR)
3月5日、雇用統計が公表された。

雇用増は37.9万人と、市場の予想よりもおおっきな雇用増となった。レストラン、バー、小売業で雇用が増えた一方、建設、地方自治体が雇用減となった。コロナ感染症拡大以前と較べて、依然として950万人分の雇用が失われたままとなっている。
また、失業率は0.1%ポイント低下して6.2%となった。
大量の失業が出ていながら失業率が低下するのは、労働市場参加率が低下しているためである。
加えて、失業者の中の長期失業者の割合が上昇し続けているのも課題だ。これまでの景気後退期に較べて高い水準に達している。労働移動が進んでいないことを示している。


※ 参考テーマ「労働市場

3月7日(2) ゲリマンダリング防止法案
Source :House passes landmark election bill as parties war over voting rights (Los Angeles Times)
3月3日、連邦議会下院は、"For the People Act of 2021"(H.R.1)を賛成多数で可決した。投票結果は、220 vs 210

公正な選挙が実施できるよう、様々な方策が盛り込まれているが、当websiteとしては、敢えて「ゲリマンダリング防止法案」と名付けたい。各州議会、州知事が、自党に有利になるような選挙区割りを行なうことを止めさせるため、各州に独立した選挙区割り委員会を設置するよう義務付けているのである。

民主党がこうした法案に拘るのは、ゲリマンダリングにより共和党が実力以上の議席、票を獲得していると感じているからである。上記sourceで挙げられている例は次の通り。 これまで、州にこうした独立委員会を設置して、実質的に選挙区割りを行なっているいるのは、CA州をはじめとして14州ある(NCSL)。

ファリード・ザカリアは、パンデミック後も都市化は進むと予言している。人間は社会的な動物だからだ。(「パンデミック後の世界 10の教訓」)そして、都市ではリベラルの指向が強く、中長期的には民主党に有利に働く。 共和党は必死の抵抗を試みるだろう。仮にこの法案が可決され、成立したとしても、必ず州の独立性を侵すという主張のもとに、訴訟が行なわれる。そうなった時こそ、これまでの共和党/保守派の努力が報われる時である。

ゲリマンダリングの合憲性については、2019年6月に、連邦最高裁は「司法判断は不能。解決策は政治の課題」として判断を下さなかった(「Topics2019年6月29日 最高裁:ゲリマンダリング判断不能」参照)。しかし、その時の判事の構成は、Roberts長官と保守・リベラルがそれぞれ4人ずつと均衡がとれていた。しかし、現在は、保守派6、リベラル派3と、圧倒的に保守派が有利で、再度審理要求が上がってくれば、積極的に取り上げて違憲判決を下すだろう(「Topics2020年10月28日 Barrett判事承認」参照)。

※ 参考テーマ「政治/外交」、「司 法

3月6日 新規失業減少傾向か
Source :Weekly jobless claims rise less than expected despite weather impact (CNBC)
3月4日、労働省は新規失業保険申請数を公表した。今週は74.5万人、前週から0.9万人の微増となった(「Topics2021年2月27日 新規失業大幅減」参照)。先週の数値が寒波の影響とすると、今回の微増は、傾向としては下方トレンドとみていいかもしれない。50週間で累計8,000万人超となった(新規失業保険申請件数data)。

雇用保険被保険者の中の失業者数は429.5万人と、こちらは12.4万人の減少となった。

また、COVID-19対策で導入された追加失業給付(「Topics2020年3月30日 2兆ドル対策(COVID-19)」参照)の新規申請数は43.7万人と、0.9万人の増加となった。

一方、COVID-19感染状況を見ると、波は確実に収まりつつある。

Johns Hopkins University Health
また、感染リスクレベルは改善し、グリーンの地域が広がり始めた。

Brown School of Public Health
※ 参考テーマ「労働市場

3月5日 LGBTQ自認は5.6%
Source :What Percentage of Americans Are LGBT? (GALLUP)
GALLUP社の調査によれば、LGBTQを自認するアメリカ人の割合は、2012年の3.5%から着実に増加し、2020年は5.6%であった。先に紹介した同性婚増加を推計するための基礎的数字である(「Topics2021年2月26日 同性婚増加」参照)。
※ 参考テーマ「LGBTQ

3月4日 上院民主党が給付金制限
Source :Senate Democrats, White House Agree To Tighter Income Limits For Stimulus Checks (NPR)
連邦議会上院民主党幹部とバイデン大統領は、中低所得層への給付金について、所得上限額を引き下げることで合意した。上院民主党中道派の要望、つまりは財政赤字懸念派への配慮だ。

これまでの給付金の経緯を確認しておこう。 こうしてみると、所得上限額が大きく絞られていることがわかる。

この合意には、2つの関門が待っている。上院民主党左派の賛成が得られるか、得られたとして下院民主党の賛成が得られるか、だ。民主党が一致団結できるかどうかのリトマス紙になる。

※ 参考テーマ「政治/外交

3月3日 COBRA補助の意味
Source :COBRA Subsidy Passes House (Segal)
2月26日に連邦議会下院で可決された$1.9Tコロナ経済対策法案(H.R.1319)には、COBRA補助金が含まれている。補助期間は6ヵ月(2021年4月1日~9月30日)、補助率は85%である。

COBRA補助金は、リーマンショックの際の経済対策にも盛り込まれていた(「Topics2009年2月14日 アメリカ復興再投資法」参照)。その際の、補助期間は9ヵ月、補助率は65%であった(「Topics2009年2月17日(1) COBRA-65%補助」参照)。その後、補助期間は延長され、トータルで1年9ヵ月(2008年9月1日~2010年5月31日)に及んだ(「Topics2010年8月22日 COBRA補助終了」参照)。

当時と比較して、今回のCOBRA補助案は、補助率こそ高めているものの、短期間しか用意されていない。これは、PPACAによりExchangeが整備され、COBRAの制度的重要性が低下したことを反映しているものと考える。加えて、リーマンショック時のCOBRA補助の政策効果は低かったと評価されていた(「Topics2010年10月17日 COBRA保険料補助の政策効果」参照)。

※ 参考テーマ「解雇事情/失業対策」、「無保険者対策/連邦レベル」、「政治・外交

3月1日 NLRB本格始動は9月以降
Source :New NLRB Chair Gives Roadmap for Possible Actions Under Biden (Daily Labor Report)
2月24日に開催されたバーチャル公開討論会で、NLRB新議長は、現在のNLRB保守派メンバ-が労働組合の権限を限定してきたと批判した。中でも、2019年1月に決定した独立契約者の定義拡張を見直さなければならないと強調した(「Topics2019年1月31日 独立契約者の定義拡張」参照)。

しかし、新議長が具体的な行動に移せるのは、早くとも今年9月以降となる。リベラル派は新議長のみで、他の3人のメンバーは皆保守派だからだ(「Topics2021年2月12日(2) EEOC/NLRB委員」参照)。
【2021年2月28日時点】
役 職氏 名政 党指名者任 期
Chairman
2021.1.20~
Lauren McFerranDPresident Obama①2014.12.17~2019.12.16
②2020.7.29~2024.12.16
MemberJohn RingRPresident Trump2018.4.16~2022.12.16
MemberMarvin E. KaplanRPresident Trump①2017.8.10~2020.8.27
②~2025.8.27
MemberWilliam J. EmanuelRPresident Trump2017.9.26~2021.8.27
Acting General CounselPeter Sung OhrDPresident Biden2021.1.25~2025.1.24(?)
NLRBでリベラル派が多数となるためには、バイデン大統領が、現在の空席を一人埋めることに加え、William J. Emanuel氏の後任を指名することが必要となる。この分野でスタートダッシュは望めない。

※ 参考テーマ「労働組合