9月19日(1) Ginsburg判事逝去
Source :Ruth Bader Ginsburg, liberal lioness of the Supreme Court, dies (Los Angeles Times)
大変だ。連邦最高裁のGinsburg判事が逝去された。トランプ大統領にとっては大チャンス。民主党にとっては大ピンチ(「Topics2020年7月5日 Roberts最高裁長官」参照)。

大統領選目前に控えて、大きな政治的課題が発生した。

※ 参考テーマ「司 法

9月19日(2) 共和党 後継指名に走る
Source :Justice Ginsburg's Death Sets Up Political Battle In The Senate (NPR)
連邦最高裁判事の指名、承認について、McConnell共和党院内総務は、日程こそ明確にしていないが、後任選びを進めるために、トランプ大統領が指名すれば上院での承認投票を行うと明言した

2016年の大統領選挙年にも、2月に連邦裁判事が死亡した(「Topics2016年2月16日 連邦最高裁判事の指名問題」参照)。この時、死亡した判事は保守派、大統領はオバマ、上院は共和党が多数を握っていた。当時の上院共和党は、次の判事は次の大統領が指名すべきと強硬に主張した。そして、結局、オバマ大統領の任期中には候補指名が行なわれず、大統領選でトランプ氏が勝利した後、翌2017年1月に候補指名(「Topics2017年2月1日 連邦最高裁判事指名」参照)、同年4月に上院承認で保守系判事が就任した(「Topics2017年4月10日 連邦最高裁判事就任」参照)。結局、共和党が保守派の椅子を維持したのである。

一方、今回は、大統領選まで46日しかない。それでも共和党が後任の就任を急ぐのには訳がある。連邦最高裁判事の保守派:リベラル派の構成が、5対4から6対3になる絶好のチャンスなのだ。

Current Justices of the US Supreme Court (as of September 19, 2020)

Name Born Appt. by First day University
John G. Roberts
(Chief Justice)
01955-01-27 January 27, 1955 George W. Bush 02005-09-29 September 29, 2005 Harvard
Clarence Thomas 01948-06-23 June 23, 1948 George H. W. Bush 01991-10-23 October 23, 1991 Yale
(Ruth Bader Ginsburg) 01933-03-15 March 15, 1933 Bill Clinton 01993-08-10 August 10, 1993 Harvard
Stephen Breyer 01938-08-15 August 15, 1938 Bill Clinton 01994-08-03 August 3, 1994 Harvard
Samuel Alito 01950-04-01 April 1, 1950 George W. Bush 02006-01-31 January 31, 2006 Yale
Sonia Sotomayor 01954-06-25 June 25, 1954 Barack Obama 02009-08-08 August 8, 2009 Yale
Elena Kagan 01960-04-28 April 28, 1960 Barack Obama 02010-08-07 August 7, 2010 Harvard
Neil McGill Gorsuch 01967-08-29 August 29, 1967 Donald Trump 02017-04-10 April 10, 2017 Harvard
Brett Kavanaugh 01965-02-12 February 12, 1965 Donald Trump October 6, 2018 Yale
McConnell院内総務は、2016年の場合との違いを説明している。
  1. 2016年のScalia判事死亡前の中間選挙(2014年)で、民主党大統領のもとで共和党は上院の過半数を勝ち取った(「Topics2014年11月6日 中間選挙後の政策動向」参照)。

  2. 1880年代以降、連邦議会上院は、大統領選挙の年に対抗する政党の大統領の指名を承認したことはない。

  3. しかし、2016年、2018年の選挙で、共和党は上院の過半数を維持した。

  4. これは、上院共和党が、トランプ大統領のもとでアメリカ国民から信任を得たからだ。
※ 参考テーマ「司 法」、「大統領選(2020年)

9月18日 新規失業は減少傾向
Source :860,000 Americans filed jobless claims last week (ABC News)
9月17日、労働省は新規失業保険申請数を公表した。今週は86.0万人と、前週から3.3万人減少となった(「Topics2020年9月11日(1) 新規失業横ばい」参照)。26週間で累計6,100万人を超えた(新規失業保険申請件数data)。

雇用保険被保険者の中の失業者数は1,263万人と、91.6万人の大幅減少となった。
また、COVID-19対策で導入された追加失業給付(「Topics2020年3月30日 2兆ドル対策(COVID-19)」参照)の新規申請数は、
5/30: 79.9万人
6/ 6: 70.0万人
6/13: 77.4万人
6/20: 88.1万人
6/27: 99.7万人
7/ 4:104.6万人
7/11: 95.5万人
7/18: 96.0万人
7/25: 90.9万人
8/ 1: 65.6万人
8/ 8: 49.0万人
8/15: 52.5万人
8/22: 60.8万人
8/29: 75.1万人
9/ 5: 86.8万人
9/12: 65.9万人
と、一旦、増加は止まった。

※ 参考テーマ「労働市場

9月17日 両陣営とも基盤固め
Source :2020 Electoral Map Ratings: Landscape Tightens Some, But Biden Is Still Ahead (NPR)
大統領選占いの定点観測である。前回(「Topics2020年8月4日 バイデン氏有利か?」参照)との比較でみていくと、バイデン氏の優勢度合いが縮小してきているようだ。

まずは、支持率の動き(Five Thirty Eight)だが、9月15日時点でバイデン氏50.3%、トランプ大統領43.4%と、バイデン氏が6.9%ポイント上回っている。この両氏の差は、8月初旬時点(8.1%ポイント)よりも縮小している。

一方、上記sourceの選挙人投票予測では、前回に較べてバイデン氏の有利な状況が後退している。特に、民主党に傾いていたと思われるところが中立に転じたところが多い。そうした変化が最も大きく表れたのが、フロリダ州だという。
トランプ大統領の選挙人投票予測を見ると、ほとんど変化していない。これらの州は、トランプ大統領の岩盤支持層と思われる。また、バイデン氏の方も、確実視されている州は増えており、こちらも順調な基盤固めが進んでいる。

争点は、やはりスウィングステーツということか。

※ 参考テーマ「大統領選(2020年)

9月16日 PBGC財政状況の変化
Source :FY2019 Projections Report (PBGC)
PBGCから、2019年度の財政レポートが公表された。以前のレポートと較べると、複数事業主プランは僅かばかり改善、単独事業主プランは財政状況の好転が明確になった(「Topics2018年6月1日 複数事業主プランが急速に悪化」参照)。

複数事業主プランは、2026年度には基金が枯渇し、2027年度には確実に財政破綻に陥る。昨年の推計よりも若干改善したのは、法律改正に伴い炭鉱労働者向けの年金制度に対する補助金が支給されたためだ。

一方、単独事業主プランは、財政黒字が明確になり、今後も順調に財政状況が改善していく見通しだ。
※ 参考テーマ「PBGC/Chapter 11

9月15日 Medicare処方薬大統領令
Source :Trump Signs New Executive Order On Prescription Drug Prices (NPR)
9月13日、トランプ大統領は、Medicare処方薬買取価格を先進国で最も低くするような仕組みを作るよう、大統領令に署名した。

これは7月24日に署名された大統領令のうちの4つ目と同じ内容である。その際は、これから製薬会社と交渉するのだとして内容は公表されなかった(「Topics2020年7月27日 医薬品価格抑制大統領令」参照)。

それから約1ヵ月半の交渉は成果を上げられず、今回の署名となった。大統領令は、HHSに対して仕組みを作るように指令しただけで、実質的な作業はこれから始まる。つまり、即効性は見込めない。

※ 参考テーマ「医薬品

9月12日 センサス大統領令 違法判決
Sources : Court Blocks Trump's Attempt To Change Who Counts For Allocating House Seats (NPR)
Judges block Trump order to exclude those in the country illegally from 2020 census (Los Angeles Times)
7月21日、トランプ大統領は、ロス商務長官に対し、センサス結果から不法移民の数を除いた数値を提出するよう命じるメモランダムを発した(「Topics2020年7月25日 センサスから不法移民除外」参照)。 これに対して、9月10日、NY連邦地方裁3判事法廷は、「大統領にその権限はなく、違法である」との判決を下し、商務長官に対して不法移民を除いたセンサス調査結果を提出することを禁じた。ただし、憲法違反とまでの判断はなかった。

本件はNY州その他が提訴したもので、同様の訴えは全部で8件あるそうだ。

本件は、連邦控訴裁判所での審理をとばして、直接、連邦最高裁に上訴することが認められるそうで、そうなる可能性が高い。

※ 参考テーマ「人口/結婚/家庭/生活」、「政治/外交」、「大統領選(2020年)

9月11日(1) 新規失業横ばい
Source :Weekly jobless claims miss estimates as employment gains taper (CNBC)
9月10日、労働省は新規失業保険申請数を公表した。今週は88.4万人と、前週と同水準となった(「Topics2020年9月4日 新規失業減少」参照)。24週間で累計6,000万人を超えた(新規失業保険申請件数data)。

雇用保険被保険者の中の失業者数は1,339万人と、9.3万人の増加となった。

季節調整前の数値で見ると、新規失業保険申請数は2週連続で増加となっている。雇用保険被保険者の中の失業者数も増加に転じた。
また、COVID-19対策で導入された追加失業給付(「Topics2020年3月30日 2兆ドル対策(COVID-19)」参照)の新規申請数は、
5/30: 79.9万人
6/ 6: 70.0万人
6/13: 77.4万人
6/20: 88.1万人
6/27: 99.7万人
7/ 4:104.6万人
7/11: 95.5万人
7/18: 96.0万人
7/25: 90.9万人
8/ 1: 65.6万人
8/ 8: 49.0万人
8/15: 52.5万人
8/22: 60.8万人
8/29: 74.8万人
9/ 5: 83.9万人
と、4週連続の増加となった。

新型コロナの感染はだいぶ収まってきた感がある。


※ 参考テーマ「労働市場

9月11日(2) 共同経営者解釈に違反判決
Source :Federal Judge Strikes Down Major Parts of DOL’s Joint-Employer Rule (SHRM)
今年1月、労働省は共同経営者に関する解釈の最終ルールを公表した(「Topics2020年1月15日 共同経営者解釈案」参照)。そこでは、共同経営者の範囲を縮小する方向性が明確に示された。これに対して、州政府司法長官達が職場の保護を弱めるとして差し止め訴訟を起こしている。

9月8日、NY州連邦地裁は州政府司法長官の主張をほぼ認める判決を下した。労働省の解釈ルールは、労働者に関係するコストを考慮しない、一方的な判断であるとの理由である。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制