1月20日 NE州:就労義務規定申請
Source :Nebraska could pave the way forward for Medicaid work requirements (Modern Healthcare)
昨年12月、Nebraska州(NE)は、CMSに対して、就労義務規定を含むMedicaid対象者拡大の申請を行った。ポイントは次の通り。
  1. 2018年11月に実施されたNE州民投票で、Medicaid対象者を拡大することが承認された。対象者は、19〜64歳でFPL138%以下である。

    Health Reform's Medicaid Expansion (Center on Budget and Policy Priorities)
  2. Medicaid拡大に伴う加入者の給付内容は次の2段階に分かれる。

    1. "Prime":就労義務規定を満たした加入者に、従来のMedicaid加入者と同様の給付を行なう。

    2. "Basic":就労義務規定を満たしていない加入者には、歯科、眼科、店頭販売医薬品などの保険給付を除く。

  3. 州政府は、就労義務規定を満たしているかどうかを6ヵ月毎に確認する。

  4. 就労義務規定を満たしていないことが判明した場合、その後1年間は"Prime"に加入できない。
2段階の給付内容にすることで、就労義務規定を否定する司法判断を回避しようとの意図があり、ここに注目が集まっている。つまり、就労義務規定を満たさなくても基本的な給付は約束する形になるからだ。

Kaiser Family Foundation
※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル全般」、「無保険者対策/その他州

1月18日 高額所得者も所得分配に賛成
Source :Is There Hope For The American Dream? What Americans Think About Income Inequality (NPR)
National Public Radio(NPR)が、シンクタンクと共にユニークな世論調査を実施した。調査対象は1,885人の成人だが、所得階層別に意識を調べられるよう、年収50万ドル以上の家計収入がある250人を対象に含めたことだ。

以下、所得区分は次のようになっている。 関心を持った事項は次の通り。
  1. 所得格差が深刻な問題になっていると考える人は全体の半分に達しないが、Top 1%層の半分近くが裕福な者はもっと税金を負担すべきと考えている。

  2. どの所得層でも、経済的に成功するにはがむしゃらに働くことが重要と考えている人の割合が9割近くに達している。

  3. どの所得層も、アメリカ国民全員が保険に加入すべきと考えている人が過半となっている。
  4. 費用負担がとても重いと感じた経験があるのは、所得に関わらず、医療と教育である。
※ 参考テーマ「人口/結婚/家庭/生活」、「無保険者対策/連邦レベル」、「医療保険プラン」、「教 育

1月17日 パートタイマー権利法案
Source :What Is the Part-Time Worker Bill of Rights Act? (HR Daily Advisor)
民主党大統領選候補であるWarren上院議員らが、パートタイマー権利法案(Part-Time Worker Bill of Rights Act)を提出した。主な柱は次の3点。
  1. 新たなパートタイマーを雇ったり、新たな委託契約をする前に、既に雇っているパートタイマーに追加の労働時間を打診することを義務付ける。対象は、従業員500人超の企業。

  2. フルタイマーに企業年金プランを提供している企業に、一定の条件を満たしたパートタイマーへの企業年金プラン提供を義務付ける。

  3. 一定の条件を満たしたパートタイマーにFamily Leaveを認める。現行法では年間1,250時間以上勤務している者に付与される。
1点目は、パートタイマーからフルタイマーへの転換を促すことが目的である。

詳細は今後示されるようだが、徹底的に大企業への規制を強めようとするWarren議員の考え方がよく出ている。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制

1月16日 連邦政府:テレワーク抑制
Source :As remote work rises at U.S. companies, Trump is calling federal employees back to the office (Washington Post)
民間企業では、テレワークの割合が高まっている。企業側には、 といった意向があるようだ。

一方、連邦政府機関では、テレワークを制限したり、パイロットプロジェクトを廃止したりする例が相次いでいる。背景には、生産性に疑問が出されたり、長官が 会いたいと言ったタイミングでテレワークしていた、つまり役所にいなかった、といったエピソードもあるそうだ。

そうした世の中に逆行しているとも思われる動きが目立つようになったのは、 といった思惑があるのではないかと見られている。確かに連邦政府では労組の組織率が高く、テレワークが進めば組合活動にも時間を割けるかもしれない。しかし、それは真面目に働こうとしている連邦職員にとっては迷惑な話だろう。

※ 参考テーマ「Flexible Work」、「労働組合

1月15日 共同経営者解釈案
Source :Labor Dept. Rule to Curb Lawsuits by Franchise Workers (New York Times)
1月12日、労働省は、共同経営者(Joint Employer)に関する解釈についての最終案をまとめると公表した

内容としては、「共同経営者」については、次の4つの要因の有無による判断する。
  1. Hires or fires the employee;

  2. Supervises and controls the employee’s work schedule or conditions of employment to a substantial degree;

  3. Determines the employee’s rate and method of payment; and

  4. Maintains the employee’s employment records.
ここまで具体的な労働管理をフランチャイズ本社側でしているケースは稀だ。フランチャイジー側で残業代の不払い、最低賃金法違反などがあったとしても、本社側が責任を問われることはまずない。

この方向性は、最近のNRLBの方向性と軌を一にしている(「Topics2018年9月19日 共同雇用者定義の規則化」「Topics2019年12月16日 マック本社は無関係」参照)。

数週間内に正式な解釈案が公表され、その60日後、3月以内には施行される見込みだ。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「労働組合

1月14日 女性雇用者が過半数
Source :Women Now Outnumber Men On U.S. Payrolls (NPR)
昨年12月の雇用者増加数は14.5万人であった。そのうち、95%が女性だったそうだ。そのおかげで、というのも変だが、雇用者のうちの女性の割合が50%を超えたそうだ。これは2回目の出来事で、1回目はリーマンショック後、男性が大量にレイオフされたために一時的に女性が過半数となった。

Women Are Edging Ahead Of Men In The Workplace Again

For the second time since 1980, women currently make up just over half of nonfarm payrolls.

Notes

Numbers are seasonally adjusted and from the end of each year.

Source: U.S. Bureau of Labor Statistics

Credit: Connie Hanzhang Jin/NPR

今回は、雇用増の中で起きた事象で、今後この傾向は強まる可能性がある。第1に、hospitality industriesをはじめとするサービス産業が伸びている。第2に、教育の面では随分と以前から女性の方が男性を上回っている。 ベネフィットの世界でもFlexの世界を広げていかざるを得なくなる。

※ 参考テーマ「労働市場」、「ベネフィット」、「Flexible Work

1月11日 最低賃金引き上げの効果
Source :Minimum Wage Hikes Fuel Higher Pay Growth For Those At The Bottom (NPR)
上記sourceは、最低賃金が引き上げられたことにより低所得層の所得増が実現できているとの調査結果を紹介している。ポイントは次の通り。
  1. 今年1月1日付で、21州で最低賃金が引き上げられた(「Topics2019年12月11日 州最低賃金引上げラッシュ」参照)。これにより、全米で約680万人の賃金が引き上げられたと推計される。
  2. 所得の第1三分位の賃金上昇率は、2018〜2019年の2年間で4.1%。

  3. 一方、第3三分位の上昇率は3.6%、全体では3.9%。低所得層の方が上昇率は高かった。

  4. そうなった要因としては、@最低賃金の引き上げ、Aタイトな労働市場が挙げられる。

  5. 最低賃金の引き上げは解雇増につながるとの指摘もあるが、労働の需給がひっ迫している中ではそうした事象は限られる。
※ 参考テーマ「最低賃金」、「労働市場