8月31日(1) 労組支持率更に上昇
Source :U.S. Approval of Labor Unions at Highest Point Since 1965 (GALLUP)
上記sourceのタイトルは、1年前の記事とほぼ同じだ(「Topics2022年5月2日 労組を巡る環境の変化」参照)。

ポイントは次の通り。
  1. アメリカ社会の労組支持率は71%と、改善が続いている。
  2. 本人または身近な家族が労組加入者となっているのは16%。労組の活動を支持するものの、身近な存在ではない。
  3. 労組加入者の中では、労組の重要性を認識する割合は高い。
  4. 労組に加入する理由としては、報酬、ベネフィットを重視する割合が高い。他方、社会的意義については認識が低い。
  5. 労組非加入者の間では、労組に対する関心は極めて低い。
  6. 仕事に対する情熱、やる気の面で見ると、労組非加入者の方が積極的とみられる。
労組についても分断が進んでいるといってよいだろう。他方、社会全体が労組の活動を否定しているわけではない。政治的な活動よりも、職場の条件改善を優先していれば、こうした傾向は続くのだろう。

それにしても、労組加入者の方が熱意が低いというのでは、経営者としては忌避したくなるのも当然だろう。

※ 参考テーマ「労働組合

8月31日(2) 失業者数/求人数は横這い続く
Source :Job Openings and Labor Turnover Summary (BLS)
8月30日、BLSが、7月末の求人数を発表した。7月末の求人数は1,120万人で微増となった(「Topics2022年8月3日 失業者数/求人数は反転」参照)。
労働力人口に占める求人数の割合は6.9%と、こちらも微増となった。
新規雇用数は638万人となり、6月が上方修正されたため、5ヵ月連続の減少が続いている。
失業者数/求人数は、6月が下方修正されたため、4ヵ月連続の0.5となった。
6月の自発的失業(Quits)は417.9万人と、依然として高水準ながらも4ヵ月連続の減少となった。
Quits level, Total nonfarm - 2019~2022年

Quits level, Total nonfarm - 2007~2022年
こうした中、7月の時間給は、6月と同様、前年比6.7%増と大幅上昇が続いている。転職した人達の賃金はさらに上昇し、前年比8.5%増となった。一方、職に留まった人たちの時間給は6月の6.1%増から5.9%増に転じた。

Federal Reserve Bank of Atlanta's Wage Growth Tracker
まだまだ労働市場の熱は冷めていないようだ。

※ 参考テーマ「労働市場

8月26日(1) Medicare Advantge隆盛
Source :Medicare Advantage Is Close to Becoming the Predominant Way That Medicare Beneficiaries Get Their Health Coverage and Care (Kaiser Family Foundation)
上記sourceは、Medicare Advantageの現状分析を紹介している(「Topics2019年6月9日 Medicare Advantage」参照)。概要は次の通り。
  1. Medicare Advantage(MA)加入者は、2022年で2,800万人。2007年の800万人から3.5倍増。
  2. MA加入者のMedicare加入者に占める割合は、2022年で48%。2007年の19%から2.5倍。
  3. CBOの推計によれば、この割合は2032年に61%にまで上昇する。
  4. MA加入者の2/3は、保険会社から一般のプランを購入している。
  5. 企業または組合が提供するMAに加入している割合はの18%、加入者数は510万人。
  6. MA加入者のMedicare加入者に占める割合を、州別にみると、かなり大きな差がある。ちなみに、最低はAK州の1%、最高はHI州の59%。総体では50~60%のレンジに入っている州が多い。
  7. 郡別にみると、もっと大きな差が見て取れる。
  8. MA加入者の46%が、UnitedHealthcare、Humanaの2社のプランに加入している。
※ 参考テーマ「Medicare

8月26日(2) "Self-insured"は6割弱
Source :Self-Insured Health Plans Since the ACA: Trends Remain Unclear (EBRI)
上記sourceは、PPACA成立(2010年3月)以降の"self-insured" planの傾向に関するまとめである(「Topics2010年1月21日(2) 2つの企業提供保険プラン」「Topics2010年3月26日 医療保険改革法の成立」参照)。ポイントは次の通り。
  1. 2013~2016年にかけて、"self-insured" planを提供する中小企業の割合は高まったが、その後は増減を繰り返している。

  2. 2013~2017年にかけて、"self-insured" planを提供する大企業の割合は低下した。2018年から増加に転じたが、2020年は伸びが止まっている。

  3. 2013年以降、"self-insured" planに加入する従業員の割合は、58~60%の間で上下している。

  4. 従業員加入率の最も低い州はHI州(33.6%)、最も高い州はNE州(75.5%)。
※ 参考テーマ「医療保険プラン

8月25日 学生ローン返済免除
Sources : Biden is canceling up to $10K in student loans, $20K for Pell Grant recipients (NPR)
Biden-Harris Administration Announces Final Student Loan Pause Extension Through December 31 and Targeted Debt Cancellation to Smooth Transition to Repayment (U.S. Department of Education)
8月24日、バイデン政権は、学生ローン救済策について公表した。バイデン政権としては、ようやく公約実現にこぎつけられたということになる(「Topics2022年4月27日(3) 学生ローン返済免除への期待」参照)。待っていましたという借入者は相当たくさんいると思われる。情報を提供しているFederal Student Aidのサイトは、とてもつながり辛くなっている。

救済策は、次の3つの施策が柱となる(Federal Student Aid)。
  1. 学生ローン返済停止再延長

    現在の措置は、期限が8月末となっている(「Topics2022年4月7日(2) 学生ローン返済停止再延長」参照)。これを今年12月31日まで延長する。2023年1月から、返済開始となる。

  2. 学生ローン返済免除

    1. Pell Grantの借入については、最大$20,000の債務を免除する。(※ Pell Grantは、低所得層の学生を対象にしている。)

    2. Pell Grant以外の借入については、最大$10,000の債務を免除する。ただし、個人所得が$125,000未満(家計所得の場合は$250,000未満)の場合に限る。

    3. 連邦・州政府、適格非営利団体、軍などに就職している場合には、全債務を免除する(Public Service Loan Forgiveness (PSLF))。ただし、申込期限は今年10月31日までである。

    4. Parent PLUSの借入も、債務免除の対象となる。

    既に所得情報を登録している借入人(現時点では800万人近く)については、自動的に債務が抹消される。所得情報が未登録の場合には、今年12月31日までに登録する必要がある。

  3. 学生ローンの管理をより現実的なものに変更し、毎月の返済額を制限する(※ 提案のみ)。
全体で約4,300万人が恩恵を受けると見込まれている。そのうち、2,000万人については、債務全額が免除されることになる。

この救済策に対する批判は、主に次の3つにまとめられる。 バイデン政権は、これでやっと手形を落とした形になる。しかし、今回のような返済免除措置を、連邦議会の議決なしに連邦政府が独自に執行できるのか、という課題が残っている。今後、様々な形での法廷闘争が続くことになるだろう。

※ 参考テーマ「教 育

8月24日 在宅勤務はベネフィットか
Source :You may soon be asked to take a pay cut to keep working from home (Los Angeles Times)
コロナ禍に伴う社会活動制約の緩和に伴い、在宅勤務(リモートワーク)の位置づけが関心を呼んでいる。

まずは、在宅勤務の利用状況並びに今後の見通しである。The Working From Home Research Projectが、在宅勤務のトレンドを調査している。現時点での状況(2022年7月)は次の通り。
  1. 在宅勤務日は、週のうち30%程度。約1.5日にあたる。
  2. フルタイマーの勤務形態は、出勤が6割弱、ハイブリッドが30%、完全リモートが15%弱。
  3. コロナ禍収束後、企業側が計画している在宅勤務割合は、全従業員で週1.6日程度、在宅勤務を認めている従業員で週2.4日となっている。
  4. 在宅勤務が認められている従業員が、コロナ禍収束後に希望する在宅勤務割合は週3日弱となっており、企業側の計画を上回っている。
  5. 全従業員の中の在宅勤務割合を業種別にみると、情報産業、金融保険、高度専門サービスが週2日以上で群を抜いている。
こうした現状のもと、上記sourceで焦点を当てているのが、『在宅勤務はベネフィットか?』という問いかけである。

パンデミック直後は、感染防止の中で企業活動を継続するために、企業側も従業員側も在宅勤務を増やさざるを得なかった。従業員側は長時間通勤を回避できる、WLBを高められるといったメリットを享受している感覚だったと思う。

そこで、『在宅勤務=ベネフィット』であるとの認識が広がり、在宅勤務については報酬を制度上減額する企業も出てきた(「Topics2021年8月21日(1) Google:在宅勤務給与減額」参照)。従業員側でも、減額されても得られるメリットは大きいとして、在宅勤務を続けたいという人たちは一定割合存在していた。

ただし、『在宅勤務=ベネフィット』と考えて報酬を減額するのは、あくまでも慣習(practice)である。

一方で、出勤だろうが在宅だろうが、同じ仕事を同じパフォーマンスで仕上げるならば、報酬が同一でなければ公正ではない、という考え方も成立する。また、在宅勤務に伴って削減できたコスト(オフィス賃料など)を一方的に企業側が享受することで良いのか、という疑問も残る。

在宅勤務はベネフィットなのか、という問いかけは、出勤/在宅はトレードオフなのかという問いの一部を構成する(「Topics2022年8月19日(4) 出勤/在宅はtrade-off?」参照)。企業側も従業員側も悩みながら直面せざるを得ない課題である。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「ベネフィット」、「Flexible Work

8月23日 コロナ禍と企業保険プラン
Source :Changes in Employment and Employer-Sponsored Health Insurance Levels During the COVID-19 Pandemic Summary(CRS)
コロナ禍で企業提供医療保険プランの状況にどのような変化があったのか、CRSが分析している。ポイントは次の通り。
  1. 労働者数の推移は次の図表の通り(「Topics2022年8月6日(1) 労働需給は軟化か」参照)。
  2. 2019年3月と2021年3月の時点で、企業提供医療保険プランが提供されていた労働者、提供されていなかった労働者の数は次の通り。
  3. これを主な業種別に減少幅を見ると、企業提供医療保険プランを失った労働者数が多いのは、レジャー・ホスピタリティ、製造業となっている。
  4. 企業保険プランのカバー率を見ると、総体では1.0%ポイント上昇した。
  5. 男女別の影響を見ると、企業保険プランが提供されていなかった労働者で失職した者のうち、女性が3/4近くを占めている。ところが、企業保険プランカバー率では、女性の方が大きく改善している。求人が厳しい環境の中で、企業は保険プランを提供して女性を獲得していったことがうかがわれる。
  6. 19~64歳の人口数の中で、企業保険プランに加入している人の割合は0.6%ポイント低下した。
雇用者の中では企業提供プランの役割は上昇したが、全勤労世代の中では低下した、というのが結論だ。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「医療保険プラン

8月22日 越境移民:NY市にも
Source :Texas sends migrants to New York. They get a warm welcome, but life there is tough (NPR)
Texas州は、アメリカ・メキシコ国境を越えてきた移民を、D.C.ばかりでなく、NY市にも送致している(「Topics2022年8月6日(2) 越境移民をバス移送」参照)。NY市はできるだけの援助をしようとしているそうだが、今年5月から累計4~5,000人にのぼるため、送致された人々の今後の生活は不透明だ。

TX州のHPでは、NY市への言及は以前はなかった。こうした事態も、移民への共感低下に影響しているかもしれない(「Topics2022年8月21日(1) 移民への共感低下」参照)。

※ 参考テーマ「移民/外国人労働者

8月21日(1) 移民への共感低下
Source :A majority of Americans see an 'invasion' at the southern border, NPR poll finds (NPR)
上記sourceは、アメリカ南国境を越えてくる移民に対するアメリカ人の意識について調査した結果を紹介している。ポイントは次の3点。
  1. アメリカ国境を越えてくる移民について、過半数が"invasion"と感じている。日本語では侵入、侵略ということだが、敵意または被害を感じているということだろう。特に共和党支持者の間では、3/4を超えている。
  2. 国境を越えてくる移民について、間違った認識を持っているアメリカ人が一定の割合で存在する。しかも、特定の情報ソースに依存している人が間違った認識を持つ傾向にあるという。
  3. こうした移民に対して共感を持つアメリカ人の割合が大幅に低下している(「Topics2018年2月8日 若い不法移民には寛容」参照)。他方、国境に壁を築くべきだとする意見が増えている。
※ 参考テーマ「移民/外国人労働者

8月21日(2) Walmart中絶支援拡大
Source :Walmart, largest U.S. private employer, expands abortion coverage for staff (Washington Post)
全米に店舗を展開するWalmartは、自社の医療保険プランを拡大し、人工妊娠中絶のための交通費を一定条件の下で支出する。Walmartの医療保険プランは"fully insured plan"であり、支援プログラムを導入しやすい(「Topics2022年7月13日(1) 中絶支援策は区々(3)」参照)。中絶支援拡大の大きな一歩になりそうである。

※ 参考テーマ「医療保険プラン」、「ベネフィット