5月10日(1) HI州退職貯蓄プラン法案可決
Source :Hawaii May Say Aloha to Unique Auto-IRA Plan (AMERICAN SOCIETY OF PENSION PROFESSIONALS & ACTUARIES)
5月3日、Hawaii州議会(HI)は州立退職貯蓄プラン創設法案(SB 3289)を可決した。5/10現在、州知事はまだ署名していない。

制度の概要は次の通り。
  1. プラン名:Hawaii Retirement Savings Program

  2. 退職所得プランを提供していない企業の従業員が加入可能。

  3. 企業は、加入資格の有無を従業員に書面で伝えなければならない。

  4. 加入資格のある従業員が自ら加入申請をしなければならないのが特徴。

  5. 退職所得プラン勘定はRoth IRA。Roth IRAに加えて、IRAへの拠出も可能。

  6. 拠出率は、賃金の5%がデフォルト設定。税制上非課税の範囲内で従業員が増減可能。

  7. 企業が拠出額を天引きし、従業員勘定に払い込む。

  8. 企業の拠出はない。

  9. 加入後12ヵ月連続拠出した場合には、先着5万勘定まで、HI州政府が$500を各勘定に拠出する。

  10. プランの運営は、Hawaii retirement savings boardが行なう。
州知事が署名し、法案が成立すれば、施行方法の調査研究が開始され、その後、施行細則が検討され、タイムスケジュールが決定される。

※ 参考テーマ「地方政府年金

5月10日(2) 学生ローン金利上昇
Source :Beware, new student loan borrowers: Interest rates are about to jump (NPR)
FRBは金融引き締めを急いでいる(日経)。物価高騰が続いているからだ(「Topics2022年4月13日(2) CPI上昇率8.5%」参照)。

このため、住宅ローン金利、米国債の金利は上昇する。当然、学生ローン金利も上昇することになる。現行制度では、
  1. 学生ローンの金利は、10年米国債の利子率+αで決定

  2. 毎年5月に次年度の金利が決定される

  3. 新規の学生ローン借り入れの際に賦された金利は、完済するまで同じレートで適用される。
1.の10年米国債の利子率は、5月11日に決定する(Department of the Treasury)。現在の学生ローン金利3.73%から上昇するのは不可避である。

そんな状況になった時、学生ローン返済免除の議論はどうなるのだろうか。ここまで学生ローンを利用した世代は返済免除、これから大学に入学する世代は高い金利を負担、という構図になってしまう。

※ 参考テーマ「教 育

5月10日(3) 下院職員労組結成へ
Source :The House will vote on a measure to allow congressional staffers to unionize (NPR)
5月6日、連邦議会下院Pelosi議長は、下院職員に労組結成を認める決議案(H.Res.915)について、下院で投票を行なう予定であると発表した(Press Release)。 議会両院職員の労組結成を認める法律(Congressional Accountability Act)は、既に1995年に成立している。この法律の発効を認める決議が行われていなかったために、労組が結成できない状態が続いていた。

同決議に関する投票は、5/9の週に行なわれる見通しで、これにより、連邦議会下院職員は労組を結成することができるようになる。既に任意団体として"Congressional Workers Union"が2月に結成されており、今後はこの団体が主体となって労組を結成することになるのだろう。

一方の上院では、そのような決議案が可決される見通しは立っていない。

(5月17日追記)

なかなか可決されたというニュースが出てこないので、連邦議会下院のwebsiteを確認したところ、複雑な手続きを経て可決したようなので、一応まとめておく。いずれも日付は5月10日である。
  1. H.Res.1096(上記H.Res.915と同内容)を下院に提出。

  2. 次いで、H.Res.1097を提出。上記H.Res.1096を含むオムニバス決議案。

  3. H.Res.1097を可決(Roll Call 144)。
ということで、連邦議会下院職員の労組結成を法的に認めたことになった。当然、"Congressional Workers Union"は喜んでいる(Press Release)。

※ 参考テーマ「労働組合

5月9日 雇用者数ほぼ回復
Source : The U.S. jobs market continues its strong comeback from the pandemic (NPR)
5月6日、雇用統計が公表された(BLS)。4月の雇用増は42.8万人となった。2月の雇用増は71.4万人と上方修正、3月は42.8万人の下方修正となった(「Topics2022年4月3日 働き盛りは就労回復」参照)。これで12ヵ月連続の40万人超となった。

4月も幅広い業種で雇用増となった。
失業率は3.6%で横ばい。
パンデミックにより失われた雇用の95%が回復した。
長期失業者(27週以上)の割合は再び上昇し、25.2%となった。
労働市場参加率は下落して62.2%となった。
一方で、労働市場に参加していない人の中で仕事を得たいと考えている人数は増加が続いている。
※ 参考テーマ「労働市場

5月4日 求人数最高水準
Sources : Job Openings and Labor Turnover Summary (BLS)
Job openings hit new records, while 4.5 million Americans quit or changed jobs in March, reflecting labor market strength (Washington Post)
5月3日、BLSが、3月末の求人数を発表した。3月末の求人数は1,154.9万人で、記録更新の高水準となった(「Topics2022年3月30日 離職増勢が続く」参照)。

BLS
労働力人口に占める求人数の割合は、昨年12月と同じ最高水準の7.1%に達した。

BLS
また、新規雇用数は674万人となり、若干の減少となった。

BLS
失業者数/求人数は、一段低下し、0.5となった。

BLS
3月は453.6万人(P)の増加と、最高水準となった。
Quits level, Total nonfarm - 2019~2022年

Quits level, Total nonfarm - 2007~2022年
こうした中、時間給は前年比6.0%増と大幅に上昇している。特に、転職した人達の賃金は7.1%増で、まだまだ増加率は高まりそうな勢いだ。

Federal Reserve Bank of Atlanta's Wage Growth Tracker
※ 参考テーマ「労働市場

5月3日 ALUは1勝1敗
Source :Amazon Labor Union fails to repeat victory in Staten Island Amazon warehouse election (NPR)
5月2日、NY州Staten Islandの集配施設での労組結成を巡る投票の結果が公表された。約1,600人の従業員の投票結果は、賛成380、反対618で、労組結成は否決された。Staten Islandでの労組結成投票は2ヵ所目で、Amazon Labor Unionにとっては1勝1敗ということになった(「Topics2022年4月4日(2) Amazon初の労組結成」参照)。

AL州Bessemerにおける労組投票の結果は、まだ決まっていない。

※ 参考テーマ「労働組合

5月2日 労組を巡る環境の変化
Source :Starbucks workers drive nationwide surge in union organizing (NPR)
Starbucksの労組結成が、勢いづいている(「Topics2022年4月26日 SB 労組 NLRB訴訟合戦」参照)。これを受けて、労組結成投票を求める申請が急増している。
もちろん、SBの店舗ごとの申請があるので、労働者全体で労組加入者が大きく増加している訳ではない。

それでも、労組結成を巡る環境が変化しつつあることは確かである。
  1. 労組を支援する民主党政権が誕生し、NLRBの多数派がリベラルになった(「Topics2021年9月1日(2) NLRB委員変更確定」「Topics2022年2月8日(2) 労組支援TF報告第1弾」参照)。

  2. 労働市場の需給逼迫が続いている(「Topics2022年3月30日 離職増勢が続く」参照)。

  3. 労組結成を模索する産業が、製造業中心からサービス産業に移っている。10年前の2012年と比較すると、労組結成申請数は大きく変わらないが、その産業別の割合が大きく変化している。
  4. Amazon、SBの労組結成の動きは、若者世代が主導している。若者世代の労組に対する意識が変化している。

  5. 若者世代だけではなく、アメリカ社会全体の労組に対する支持率も68%と、1965年以来の高さとなっている。

    Approval of Labor Unions at Highest Point Since 1965 (Gallup)
アメリカ社会で労組の存在感は高まるのだろうか。

※ 参考テーマ「労働組合