8月31日(1) IL州:性自認トイレ使用判決
Source :Illinois Appellate Court Sides with Transgender Employee in Restroom Access Case (SHRM)
8月13日、IL州控訴裁は、職場において性転換者が自認するトイレの使用を認めるべきとの判決を下した。経緯は次の通り。
  1. ある男性が企業に就職。

  2. 就職数年後、この従業員は性転換治療を始め、2010年にホルモン投与等を終了。

  3. 性転換手術は受けなかったものの、法的氏名を変更、運転免許証などの公式書類上の性を変更(つまり女性に変更)。服装や仕草も女性とした。

  4. この間の変更について、従業員は企業に情報提供し、企業側もそれに合わせて企業内書類に変更を加えた。

  5. 従業員が女性用トイレを使用したいと申し出たことに対し、企業は、この従業員の女性トイレの使用を禁じるとともに、誰でも使用可能なユニセックスのトイレを設置した。

  6. 従業員は納得せず、訴訟を起こした。
裁判で、企業側は次のように主張した。
  1. 遺伝子、性器で定められた性は変更不可能。従業員は性転換手術を受けておらず、男性として扱うことは差別に当たらない。

  2. IL州人権法では、トイレや私的な場所を性別で分離することを認めている。企業の措置はこの法律に則ったものである。
これに対して、州控訴裁の判決理由は次の通り。
  1. IL州法は、性の変更を認めている。

  2. 企業が主張する「トイレは別」が適用されるのは、公的施設のみである。

  3. 性別での分離は、性自認と遺伝子上の性が一致しない人への差別を認めるものではない。

  4. ユニセックスのトイレを設置して性自認通りのトイレ使用を認めないというやり方は、問題解決にならない。
上記sourceは、性自認通りのトイレ使用を制限すべきでないとしつつ、そうした考え方に反対する従業員、公共施設利用者からの反発に予め備えておかなければならない、と示唆している。しかし、後者の場合、特に『女性を自認する男性が女性用トイレを使用する』ことへの反発は大きいと予想される。 究極の解決策は、男女別トイレを廃止して、すべてをユニセックス個室に作り替えるしかないのではないだろうか(「Topics2016年8月24日 CA州"All-gender" bathroom法可決」参照)。

※ 参考テーマ「LGBTQ

8月31日(2) 州でPBMs規制強化進む
Source :Pharmacy Benefit Managers Are Feeling a Push From States to ‘Turn the Lights on’ to Their Business Practices (Morning Consult)
州レベルでPharmacy Benefit Managementに対する監督、規制強化の動きが活発になっている(「Topics2021年6月22日 PBMs規制強化の動き」参照)。

下図で、濃い緑の州はPBMに関する州法案を可決した州、薄い緑の州は法案審議中の州である。提出された法案数は109にのぼる。

Lawmakers in Most States Are Looking to Address Pharmacy Benefit Managers in 2021

Map tracks state legislative action on PBMs. States in dark green have passed PBM legislation, and states in light green have introduced PBM legislation

National Academy for State Health Policy tracker; data as of July 7, 2021

取引実態の透明化、保険加入者の利益計算、処方薬提供のコスト、製薬会社からのリベートなどの情報を求める内容が多くなっている。

PBMの業界団体、"Pharmaceutical Care Management Association(PCMA)"は、処方薬の中でもブランド品に限定した監督、規制にとどめるよう、主張している。

このように各州で厳しい追及が起きている背景には、PBMの寡占状況が挙げられる。上位3社だけで、全体の77%を占めている。

Drug Channels
※ 参考テーマ「医薬品」、「医療保険プラン」、「無保険者対策/州レベル全般

8月30日 州レベルの接種義務化(2)
Source :State Efforts to Ban or Enforce COVID-19 Vaccine Mandates and Passports (National Academy for State Health Policy)
8月23日にFDAがファイザー製ワクチンを正式承認し、早速動きが出てきた(「Topics2021年8月24日 ファイザーワクチン正式承認」参照)。8月26日時点の情報を、8月20日時点と比較してみる(「Topics2021年8月26日 州レベルの接種義務化」参照)。

  1. 民間企業におけるワクチン接種義務化を容認:1州(←20日:0州)
    民間企業におけるワクチン接種義務化を禁止:3州(←20日:5州)
    AZ州が民間企業のワクチン接種義務化を容認した。一方、接種義務化を禁止する州が5から3に減少した。
  2. 州政府職員のワクチン接種義務化:19州(←20日:17州)
    州政府職員のワクチン接種義務化を禁止:7州(←20日:7州)
    義務化は、2州増えた。
  3. 医療機関職員のワクチン接種義務化:22州(←20日:21州)
    医療機関職員のワクチン接種義務化を禁止:5州(←20日:4州)
    ワクチン接種義務化禁止の例外:3州(←20日:4州)
    接種義務化が1州増えたが、禁止も1州(TX州)増加。
  4. ワクチン・パスポートの利用許可:3州(←20日:3州)
    ワクチン・パスポートの利用禁止:20州(←20日:21州)
    利用禁止が1州(NH州)減った。
※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「人口/結婚/家庭/生活

8月28日(1) ワクチン接種義務化:採用で先行
Source :Indeed: Job posts requiring vaccination jumped 90% between early July, August (HR Dive)
ワクチン接種義務化は、既に採用の場面で急増していた。Indeedが自社に提出された求人票を調査したところ、
  1. 8月第1週末の時点で、明示的に対コロナワクチン接種を条件としている求人は、前月の同時期に較べて34%増。

  2. 同時期に、一般的なワクチン接種を条件としている求人は90%増。

  3. ソフトウェア開発の求人でも、ワクチン接種を条件としているのは、2月時点で100万件に3.5件だったが、7月には100万件に437.9件となった。

  4. そのほか、経理、小売り、マーケティングなどの分野でも急増している。
多くの企業が、現在の従業員に先んじて、新規採用でワクチン接種義務化を進めている。その背景には、8月半ばにワクチン2回接種を終えた人が50%を超えたことにあると見られている。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「人口/結婚/家庭/生活」、「労働市場

8月28日(2) USCC:医療費開示令を提訴
Source :US Chamber of Commerce Files Lawsuit Challenging HHS's Health Plan Price Transparency Rule (Troutman Pepper Hamilton Sanders LLP)
先日紹介した医療費開示令に対して、8月10日、全米商工会議所(USCC)が訴訟を起こした(「Topics2021年8月25日 医療費開示拒否」参照)。その主張のポイントは次の通り。
  1. 処方薬価格のネット価格の推移をすべて情報開示せよ、というのはCMSの越権行為だ。

  2. 営業上の秘密を公開せよというのは、間違ったルールだ。

  3. "Self-insured"を採用している企業にとっては、保険者としての開示に膨大な事務作業を強いられる。
最後の事務作業については納得できるものの、保険プランを提供している企業や加入者である従業員の利益については何も考えなくてよいのだろうか。

※ 参考テーマ「医療保険プラン

8月28日(3) CO州:Vacation没収禁止
Source :Colorado high court bans use-it-or-lose-it vacation policies (Mercer)
Vacationの金銭償還に関して、CO州で最高裁判決が下された。経緯は次の通り。
  1. 解雇された従業員が、既に賦与されていたvacationの買取を拒否されて、提訴した。

  2. 企業側は、
    ・就業規則に『解雇された従業員、または2週間前に辞職届を出さずに退職した従業員の、未使用のvacationについては買い取らない』と書いてある、
    ・CO州賃金法ではvacationの買取も保護されるとされているが、就業規則で没収するとの規約があるので、受給権は発生していない、
    と主張した。

  3. 州裁判所は、一審、二審(2019年)とも、企業側の主張を認め、原告は敗訴した。

  4. 二審判決(原告敗訴)後、CO州労働省は、『企業は従業員の退職時にvacationを買い取らなければならず、いかなる没収規定も認められない』と規則を明文化した。

  5. 2021年7月14日、CO州最高裁は、原告の主張を認める判決を下した。
    1. CO州賃金法は、vacationの金銭償還権を創出しているわけではない。
    2. しかし、企業が従業員に対して有給vacationを賦与すると決めた以上、それは賃金、その他報酬と同様、保護されなければならない。
    3. 企業は、未使用のvacationを買い取らなければならず、いかなる没収規定も無効である。
一審、二審をひっくり返して、従業員の勝訴となったわけだが、CO州法とは平仄が合った判決だ。

上記sourceによれば、California、Montana州は、CO州と同様、未使用のvacationは没収不可となっているが、まだまだそこまで明確なルールを確立している州は少ないようだ。

State

Payout due at termination?

Use-it-or-lose-it provision OK?

Citations

California

Yes

No

CA Lab. Code §§ 201(a) and 227.3; FAQs from regulators; Suastez v. Plastic Dress Up, 647 P. 2d 122 (1982)

Colorado

Yes

No

CO Wage Claims Act; Nieto v. Clark’s Market, Inc., 2021 CO 48 (June 14, 2021); 7 CO Code Regs. § 1103-7-2.17

Illinois

Yes

Yes

820 IL Comp. Stat. §§ 115/5, 300.520(e) and 300.520 (f)(3); and IL Lab. Dep’t FAQs

Iowa

Yes

Unclear

IA Code § 91A.4

Louisiana

Yes

Unclear

LA Rev. Stat. § 23:631(A) and (D); and Wyatt. Avoyelles Parish Sch. Bd., 831 So. 2d 906 (2002)

Massachusetts

Yes

Yes

Elec. Data Sys. Corp. v. Att’y Gen., 907 NE 2d 635 (2009); Att’y Gen. Advisory 99/1

Montana

Yes

No

Langager v. Crazy Creek Prods., 954 P. 2d 1169 (1998); Att’y Gen. Opinion No. 56, Vol. 23 (1949); MT Dep’t of Lab. & Indus. FAQs

Nebraska

Yes

Unclear

NE Rev. Stat. § 48-1229; NE Lab. Dep’t FAQs

North Dakota

Yes, with limited exceptions

Yes

ND Cent. Code § 46-02-07-02(12); ND Lab. Dep’t FAQs

Rhode Island

Yes (after one year on job)

Unclear

RI Gen. Laws § 28-14-4(b)

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「ベネフィット

8月27日(1) FDA正式承認の効果
Sources : Delta Air Lines Is Going To Start Charging Unvaccinated Employees $200 Per Month (NPR)
Full FDA Approval of Pfizer Vaccine Prompts Swift Mandates for State, Local Government Workers (Route Fifty)
Majorities support vaccine mandates for some activities amidst delta surge (AP)
8月23日のFDAファイザー製ワクチン正式承認を受けて、企業、州政府、自治体が動き出している。

まずは、航空業界だ。8月25日、Delta Air Linesは、ワクチン接種関連で次のような対策を発表した。
  1. ワクチン未接種の従業員には、企業提供医療保険プランの保険料に$200/Mを上乗せする。今年11月から実施。
    罹患者の入院費用は平均$40,000で、入院した従業員全員が未接種だったそうだ。

  2. これまではコロナに感染した従業員の費用負担を免除してきたが、ワクチン未接種の従業員については10月1日以降、免除対象外とする。

  3. ワクチン未接種の従業員は、9月12日以降、毎週検査を受けなければならない。ただし、検査費用は企業負担。
Deltaの従業員の75%はワクチンを接種しているそうだ。保険料上乗せによるワクチン接種促進は、企業としても取り組みやすい(「Topics2021年8月13日(2) ワクチン接種と保険料」参照)。

同じ航空業界では、United Arelinesがワクチン接種の義務化(9月27日~)を打ち出しており、従わなければ退職にするとしている。一方、American、Southwestは、奨励にとどめている。

上記sourceによれば、Chevron、CVSもワクチン接種の義務化を公表した。

また、NY州の公立大学の学生、NY市の教育関係職員も、ワクチン接種が義務付けられた。NJ州政府職員、Chicago市役所職員も同様だ。

こうした動きが進む背景には、アメリカ国民がワクチン接種義務化に対して理解を示していることがある。 ※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「人口/結婚/家庭/生活

8月27日(2) 加入者負担復活(COVID-19)
Source :Large insurers have stopped waiving COVID-19 treatment costs, an analysis found. Hospitalization could cost you thousands. (PwC)
連邦政府の要請を受け、多くの大手保険会社はコロナ関連医療費の加入者負担を免除していた(「Topics2020年3月31日 加入者負担ゼロ(COVID-19)」参照)。また、州法によって加入者負担免除を義務付けるところもあった(Massachusetts, New Mexico, Idaho, Michigan, Minnesota, Rhode Island)。

Kaiser Family Foundation (KFF)の分析によると、大手保険会社は加入者負担の扱いを徐々に変更している。調査対象は、各州の保険会社上位2社、合計102社。 9月以降はコロナ関連で自己負担が発生するのが一般的となる。同じくKFFの推計では、コロナ関連の自己負担は、およそ$1,300とされている。コロナ感染が再び増えている中、医療費負担は重くなってくる。

Johns Hopkins University & Medicine
※ 参考テーマ「医療保険プラン

8月26日 州レベルの接種義務化
Source :State Efforts to Ban or Enforce COVID-19 Vaccine Mandates and Passports (National Academy for State Health Policy)
上記sourceは、州毎の医療政策を追跡しているサイトである。

8月23日にFDAがファイザー製ワクチンを正式承認したことから、今後、ワクチン接種の義務化やワクチン・パスポートの活用を巡る議論が活発化することが予想される(「Topics2021年8月24日 ファイザーワクチン正式承認」参照)。

改めて述べるまでもなく、医療政策は州レベルの動きが重要であり、企業活動もその制約を受けることになる。ワクチン接種義務化とワクチン・パスポートについて、州別の動向がまとめられていたので、定点観測的にまとめておく(8月20日時点情報)。
  1. 民間企業におけるワクチン接種義務化を禁止:5州
    意外に少ない。州法の面で企業がワクチン接種義務化に動くことに対する制約は小さい。
  2. 州政府職員のワクチン接種義務化:17州
    州政府職員のワクチン接種義務化を禁止:7州
    東西海岸で義務化が進んでいる。州知事の意向が一番出るところである。
  3. 医療機関職員のワクチン接種義務化:21州
    医療機関職員のワクチン接種義務化を禁止:4州
    ワクチン接種義務化禁止の例外:4州
    こちらは、思ったよりも少ない。もっと義務化が進んでいるものかと思っていた。
  4. ワクチン・パスポートの利用許可:3州
    ワクチン・パスポートの利用禁止:21州
    利用を許可しているのは、CA、HI、NY州で、いずれも観光ビジネスが大きなウェイトを占めている地域である。利用禁止が21州というのも、かなり広がっているという印象を持つ。
ワクチン正式承認後、どのような変化が生じるか。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「人口/結婚/家庭/生活

8月25日 医療費開示拒否
Source :Hospitals and Insurers Didn’t Want You to See These Prices. Here’s Why. (New York Times)
2019年6月の医療費開示大統領令について、本気にしていなかったのでちゃんとフォローできていなかった(「Topics2019年6月25日 医療費開示大統領令」参照)。大統領令後、CMSは、同年12月3日に最終ルール(Hospital Price Transparency Final Rule)を公表した。

医療機関、保険会社は、同ルール施行の差し止め請求を裁判所に対して行なっていたが敗訴し、2021年1月から施行されている。

しかし、上記sourceによると、医療機関はデータを公表しておらず、公表した場合でも全体像を示していないそうだ。

上記sourceは、わずかに開示されたデータをもとに分析してみたところ、医療機関と保険会社の間で契約された診療報酬が本当に区々になっている。場合によっては、保険適用せず、その場で現金払いした方がコストが安いという事例も見られたそうだ。

保険会社と契約している企業や個人は、こうした実態を知らされないまま、言われるがままにコストを負担しているというのが実態のようだ。確かに、かつて企業の医療保険プランはMedicarに較べて240%も払っているとの調査結果を紹介したこともある(「Topics2019年5月13日 企業プランは払い過ぎ」参照)。

これでは、保険会社は保険加入者のエージェントとは言えない。

医療機関がデータ公表ルールに従わないのは、ペナルティが小さいからだと言われている。ルールに従ってデータを公表しない場合、医療機関に課されるペナルティは、一日最大$300、年間でも最大$109,500にしかならない。

そこで、CMSは、7月19日、ペナルティの引き上げを提案している(CMS Press Release)。 この提案は、現在、60日間のパブリック・コメントにかけられているが、これでも大病院にとっては大した金額ではない。

※ 参考テーマ「医療保険プラン

8月24日 ファイザーワクチン正式承認
Source :Pfizer-BioNTech's COVID Vaccine Gets Full Approval From The FDA (NPR)
8月23日、FDAはファイザー製ワクチンを正式承認した(FDA News Release)。12~15歳についてはまだ緊急承認の状態で、今後の正式承認に向けた見込みは立っていない。また、モデルナ製についても、近く正式承認される見込みとなっているそうだ。

これを受けて、バイデン大統領は、企業に対してワクチン接種義務化を一層進めるよう、強く訴えかけた(The White House)。
Today, I’m calling on more country - more companies, I should say, in the private sector to step up with vaccine requirements that’ll reach millions more people.

If you’re a business leader, a non-profit leader, a state or local leader who has been waiting for full FDA approval to require vaccinations, I call on you now to do that - require it. Do what I did last month and require your employees to get vaccinated or face strict requirements.
さあ、アメリカ企業はどう動くだろうか。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「人口/結婚/家庭/生活

8月22日 Prop.22 違憲判決
Source :Prop. 22 is ruled unconstitutional, a major blow to California gig economy law (Los Angeles Times)
8月20日、州地方裁判所は、「昨年11月に州民投票にかけられたProposition 22の内容は、州議会の立法権を侵すものであり、州憲法違反である」との判決を下した。本訴訟は、SEIUが再チャレンジで起こしたものである。

今年2月、州最高裁は、Prop.22に対する訴訟の上告を棄却している(「Topics2021年2月9日 Prop.22訴訟棄却」参照)。Uber等は当然控訴審に訴える考えである。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制

8月21日(1) Google:在宅勤務給与減額
Sources : Google introduces Work Location Tool to let employees calculate pay and benefits for remote work (AFP)
Pay cut: Google employees who work from home could lose money (Reuters)
今年5月、Googleは、ハイブリッド勤務、完全リモートワークという勤務形態を認めると公表した。想定する割合は次の通り(「Topics2021年5月14日 Google:ハイブリッド勤務」参照)。 その後、6月22日、Googleは、"Work Location Tool"を導入すると発表した。これは、従業員が完全リモートワークを選択した場合、その居住地によって給与はどうなるのかを従業員自身で確認できるシステムである。従業員の居住地の物価がオフィス所在地の物価よりも安ければ、出勤する場合よりも給与を減額する。

Reutersの記者がGoogleの従業員に取材したところ、最大25%減額される可能性があることがわかったそうだ。ある従業員は、「減額されるなら出勤する」と漏らしている。

上記sourceによれば、Facebook、Twitterも同様の措置を採るという。在宅勤務普及のディスインセンティブになりかねない。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制

8月21日(2) SF市:CEO高額報酬に課徴金(2)
Source :San Francisco Will Tax Employers Based on CEO Pay Ratio (SHRM)
全米と初となる、自治体ベースでのCEO高額報酬に対する課徴金制度が、2022年から施行される。実施するのは、San Francisco市だ(「Topics2020年11月14日 SF市:CEO高額報酬に課徴金」参照)。

少し内容が不正確だったので、改めてまとめておく(Proposition L)。
Gross Receipts Tax(GRT)Administrative Office Tax(AFT)
現行制度総売上の0.16~0.65%・総売上$10B以上
・全米従業員1,000人以上
・SF市に本社機能
3要件すべてを満たす企業はGRTに代えて負担
給与総額の1.4%
Measure L TaxCEO報酬/従業員報酬中位数(C/M)≧100となる企業に追加課税
SF市売上の0.1~0.6%
C/M100毎に0.1ppt引上げ
C/M600が上限
SF市給与総額の0.4~2.4%
C/M100毎に0.4ppt引上げ
C/M600が上限
税収額($60~140M)はSF市一般税収

Source:Proposition L Digest
※ 参考テーマ「経営者報酬