1月20日 ホンジュラス難民の波
Source :Migrant Caravan: Thousands Move Into Guatemala, Hoping To Reach U.S. (NPR)
1月15日以降、7~8,000人のホンジュラス人がグアテマラ国境を越えて来ており、17日にはグアテマラ警察と衝突した。彼らはグアテマラからメキシコに入り、最終的にはアメリカ国境を目指している。

昨年11月のハリケーンによる被害、暴力的犯罪の多発、そしてコロナ禍、不況で職がなく、これ以上ホンジュラスで暮らすことはできない、と訴えている。

そして、バイデン大統領が就任することにより、アメリカの難民政策が転換するのではないかと期待している。

グアテマラ、メキシコとも警戒を強めており、本国への送還のための準備を進めている。しかし、こうしたキャラバンは、次から次に押し寄せてくる可能性が高い。

キャラバンがアメリカ・メキシコ国境に到達するまでにはまだ時間がかかると思われるが、バイデン政権にとって、特にパンデミックの最中での判断は難しいものとなろう。メルケル独首相の失敗を繰り返さなければよいが…。

※ 参考テーマ「移民/外国人労働者

1月19日 H1B給与水準元に戻す
Source :DOL Reverts to Lower Wage Requirements After Courts Block H-1B Rule Changes (HR Daily Advisor)
昨年12月の連邦地方裁の判決を受け、労働省(DOL)は、H-1B保持者に対する給与の最低水準を元に戻した(「Topics2020年12月5日 H-1B規制強化無効判決」参照)。全米商工会議所(USCC)の全面勝利である(「Topics2020年10月30日 H-1B規制強化に訴訟」参照)。

※ 参考テーマ「移民/外国人労働者

1月17日 Exchange規制改正
Source :CMS Continues Building Better, More Affordable Insurance Marketplace with Payment Notice for 2022 Coverage Year (CMS)
1月14日、CMSは、Exchangeに関する規制改正を公表した。施行は2022年だ。規制改正の目的は、加入者負担の軽減、州政府の裁量拡大、イノベーションの促進、規制の明確化だ。
  1. 連邦政府が関与するExchangeの利用料を軽減する。これにより、保険料が下げられる。
    • 連邦立Exchange:保険料の3.0%⇒2.25%

    • 連邦システムを利用した州立Exchange:2.25%⇒1.75%

    Kaiser Family Foundation
  2. 1332 waiversをより一層活用して、州政府の裁量を拡大する(「Topics2020年11月3日 "Georgia Access"認可」参照)。

  3. 州政府に次世代Exchangeの開発という選択肢を認める。次世代Exchangeでは、webベースの保険会社等が直接適格保険プランを提供する。

  4. 個人HRA、小規模企業HRAで、保険料支払いを支出対象に含める(『医療貯蓄勘定 比較表』参照)。

  5. 医療機関ネットワークの内外で保険給付内容を区別していない保険プランにおいては、ネットワークに関する規制遵守を求めない。
トランプ政権の最後の最後まで、保険料の引き下げ、Exchangeの民営化を進めようとしている。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル全般

1月16日 バイデン$1.9Tプラン
Source :$1,400 Checks And Help For The Jobless: What's In Biden's Plan To Rescue The Economy (NPR)
1月14日、バイデン次期大統領は$1.9Tの経済対策案を公表した。当websiteの関心事項は次の通り。
  1. 家計への現金給付:昨年12月に決定した$600に、$1,400を追加する(「Topics2020年12月22日 9,000億ドル追加対策(COVID-19)」参照)。

  2. 失業保険給付:給付金の増額幅を$300から$400とし、期間も今年9月まで延長可能とする。

  3. 連邦最低賃金:$15/hに引き上げる。
バイデン氏は、先の現金給付$600は頭金だと発言していた。今回の提案により、$2,000給付を再び俎上に乗せることになる(「Topics2020年12月29日 現金給付$2,000法案」参照)。Pelosi下院議長は、早速、法案審議に入ると宣言している。

なお、プランの主な項目に関する財政インパクトは次の通り。

Committee for a Responsible Federal Budget
※ 参考テーマ「政治・外交」、「解雇事情/失業対策」、「最低賃金

1月15日 新規失業大幅増
Source :Jobless claims surge to highest weekly total since August (CNBC)
1月14日、労働省は新規失業保険申請数を公表した。今週は96.5万人、前週から18.1万人の大幅増となった(「Topics2021年1月8日 新規失業は横ばい」参照)。昨年12月26日分の下方修正が行われていたため、これで2週連続の増加となる。43週間で累計7,475万人となった(新規失業保険申請件数data)。

雇用保険被保険者の中の失業者数は527.1万人と、こちらも19.9万人の大幅増となった。
また、COVID-19対策で導入された追加失業給付(「Topics2020年3月30日 2兆ドル対策(COVID-19)」参照)の新規申請数は、
5/30: 79.9万人
6/ 6: 70.0万人
6/13: 77.4万人
6/20: 88.1万人
6/27: 99.7万人
7/ 4:104.6万人
7/11: 95.5万人
7/18: 96.0万人
7/25: 90.9万人
8/ 1: 65.6万人
8/ 8: 49.0万人
8/15: 52.5万人
8/22: 60.8万人
8/29: 75.1万人
9/ 5: 86.8万人
9/12: 67.5万人
9/19: 61.6万人
9/26: 50.8万人
10/3: 37.9万人
10/10:33.7万人
10/17:34.5万人
10/24:35.9万人
10/31:36.2万人
11/7: 29.6万人
11/14:32.0万人
11/21:31.9万人
11/28:28.8万人
12/5 :41.5万人
12/12:45.4万人
12/19:39.7万人
12/26:30.8万人
1/ 2 :16.1万人
1/ 9 :28.4万人
と、同じく大幅増となった。

一方、COVID-19感染状況を見ると、大きく振れながらも増加傾向は続いている。

Johns Hopkins University Health
また、現時点で手が付けられない状況に陥っている州は、ほぼ全州という状況が続いている。

COVID Exit Strategy
※ 参考テーマ「労働市場

1月14日 不法移民作業中止
Source :Census Bureau Stops Work On Trump's Request For Unauthorized Immigrant Count (NPR)
Census Bureauは、1月12日夜、センサスにおける不法移民のカウント作業を止めたそうだ(「Topics2021年1月6日(1) センサス結果公表は2月」参照)。同職員が上記sourceに語ったと報じられている。

同職員達からは、トランプ大統領から指名された高官達は不正確な数字でも公表しようと躍起になっているとの内部告発が多数寄せられているらしい。

この報道が正しければ、センサスにおいて不法移民の数字が合わせて発表されるという前代未聞の状況は回避される(「Topics2020年7月25日 センサスから不法移民除外」参照)。そして、従来通りのセンサス結果によって連邦下院議員、大統領選挙人の割り当てが行なわれることになる。

これは、連邦最高裁のファインプレーということになるだろう(「Topics2020年12月21日 最高裁:センサス大統領令を棚上げ」参照)。

※ 参考テーマ「人口/結婚/家庭/生活」、「政治/外交」、「司 法

1月12日 TN州:Medicaid連邦負担包括化
Source :Trump Officials Approve Tennessee's Controversial Request To Revamp Medicaid Funding (NPR)
1月8日、CMSは、Tennessee州(TN)が求めていたMedicaid連邦政府負担包括払いを認可した。

まず、TN州のMedicaid(TennCare)の現状について確認しておく。
  1. 現在、TennCareが扱う医療費の2/3が連邦負担となっている。

  2. PPACAで認められたMedicaid加入者拡充については実施していない。実施していないのは、TN州を含めて12州だけである(「Topics2020年8月6日 MO州:Medicaid拡充可決」参照)。

    Kaiser Family Foundation
  3. 就労義務規定の導入については、連邦政府に対して申請中である(「Topics2018年10月1日 4州が就労義務規定提案」参照)。

    Kaiser Family Foundation
次に、今回の認可の内容についてポイントをまとめておく。
  1. TennCareに対する連邦政府負担額を、年間定額(包括払い)とする。

  2. TennCareの年間支出計画額は、これまでの医療費、インフレ率、TennCare加入者数により決定される。

  3. 適用期間は10年間。

  4. 給付拡充についてTN州の裁量は広がるが、一定水準の給付内容を確保しなければならない。

  5. 実際の支出額が年間支出計画額を下回り、かつ一定に給付水準を確保した場合、余剰額の55%を州政府が受け取ることができる。

  6. その余剰額については、州政府が様々な州民サービスやMedicaid周辺サービス(移動、教育等)の拡充に利用できる。
今回の認可通りに施行するためには、制度運用に関して州議会の承認が必要となる(州知事、州議会上下両院とも共和党が握っている)。また、司法の場に提訴される可能性もある。実際の運用開始までにはしばらく時間を要することになろう。

Kaiser Family Foundation
※ 参考テーマ「無保険者対策/TN州」、「無保険者対策/州レベル全般