Source : | When hospitals and insurers fight, patients get caught in the middle (NPR) |
医療機関と保険会社の間の契約が更新・継続されないケースが増えているという。上記sourceでは、具体的な事例として、次の3件が紹介されている。
- 2021年6月から2025年5月の4年間に、連邦医療機関を除く医療機関のうち18%が、保険会社との契約更新ができない可能性に局面を経験した。
- 同時期、8%の医療機関が保険会社との契約を破棄し、ネットワーク外の医療機関となった。
このように、医療機関と保険会社の契約更新が揉めている要因は、次の3点とされている。
- MO州:MU Health CareとAnthem
MU Health Careは今後3年間で診療報酬を39%引き上げることを主張。他方、Anthemは1~2%を主張。更新期日の4月1日以降、MU Health Careはネットワーク外医療機関となった。州議会の調停を経て3ヵ月超後に、4月1日の更新期日に遡って妥結。
- NY City:Memorial Sloan Kettering Cancer CenterとUnitedHealthcare
契約更新期日の翌日にようやく妥結。
- NC州:Duke HealthとAetna
Duke Healthがネットワーク外機関になると主張したが、Aetnaが診療報酬を引き上げることで解決。医療機関と保険会社がむき出しの奪い合いをしているようだ。
- 医療機関の統合が進んでいる。
保険会社の統合の動きは、長期にわたって進んできた(「Topics2022年11月2日(2) 保険市場の占有度」、「Topics2022年11月8日 保険市場の占有度(2)」参照)。これに対して、医療機関の統合は、ここ30年間全米で徐々に進んできた。1998年以降では、2,000超の統合が発表されてきたが、2018~2023年の統合件数は428件にのぼる。これにより、医療機関の交渉力が高まったと言える。
- 医療費が増加している。
2024年の医療機関の医療コストは、5.1%上昇した(「Topics2025年7月28日(2) 医療保険プランの見直し」参照)。これは一般的な物価上昇率2.9%を大きく上回っている。その最大の要因は人件費上昇である。
- H.R.1 - One Big Beautiful Bill Actにより、連邦政府の医療支出が大幅に削減される(「Topics2025年7月4日(2) HR1は大統領へ」参照)。
Medicaid支出について$911Bが削減される。また、無保険者が1,000万人増加する(「Topics2025年7月3日 HR1修正法案で無保険者拡大」参照)。
※ 参考テーマ「医療保険プラン」
Source : | Employers are undecided about Trump Accounts, poll finds? (Mercer) |
Trump Accountsに関するMercerの調査結果が公表された(「Topics2025年7月15日(2) Trump Accounts」参照)。8月7日に670の企業を対象に実施された。制度が発表されたばかりのうえ、実際に制度が施行となるのが2026年7月以降と、まだ制度設計が未確定なところもあり、60%が「知らない」、「検討していない」と大半を占めた。
他方、企業拠出はしないと決めたところは36%にのぼっている。その理由としては、投資先が限られていたり、他の拠出の選択肢に較べて魅力的でないことが、考えられる。
※ 参考テーマ「人口/結婚/家庭/生活」、「ベネフィット」、「DB/DCプラン」
Source : | 移民減、米労働市場に異変 (日経) |
上記sourceに触発されて、外国人労働者の動向を確認してみた。 2025年7月は3,076.4万人であるが、2025年3月がピーク(3,222.5万人)であったことが明らかだ。4ヵ月間で4.5%も減少している。
※ 参考テーマ「移民/外国人労働者」、「労働市場」
Source : | Texas passes midterm redistricting sought by Trump as California plans to counter (NPR) |
8月22日、TX州議会上院は、選挙区見直し法案(HB 4)を可決した(「Topics2025年8月22日(1) TX州下院:新選挙区案可決」参照)。投票結果は、18 vs 11であった。あとは、TX州知事が署名するだけで成立する。
一方、CA州も、8月21日、新選挙区割提案に署名した(「Topics2025年8月19日 選挙区見直し前倒し」参照)。
※ 参考テーマ「政治/外交」、「中間選挙(2026年)」
Source : | The Texas House just passed a new district map designed to give Republicans an edge in Congress (The Texas Newsroom) |
8月21日、TX州議会下院は、選挙区見直し法案(HB 4)を可決した(「Topics2025年8月1日(2) TX州共和党 新選挙区割り提案」、「Topics2025年8月19日 選挙区見直し前倒し」参照)。投票結果は88 vs 52と圧倒的多数での可決である。
今後、同法案は州議会上院に送付される。上院の勢力図も、共和党20、民主党11と、共和党が有利な状況だ。ただし、上院共和党が描いている選挙区見直し案は、下院が可決した案とは異なっている。上下両院が可決、または特別委員会を設置したうえで合意する必要があり、まだ一波乱あるかもしれない。
※ 参考テーマ「政治/外交」、「中間選挙(2026年)」
Source : | Walmart says tariff costs are rising 'each week' and will continue (NPR) |
8月21日、WalmartのCEOは、決算発表の中で、トランプ関税の影響について次のように述べた(Walmart Releases Q2 FY26 Earnings)。また、Home DepotのCEOは、
- We've continued to see our costs increase each week, which we expect will continue into the third and fourth quarters,
- Tariffs haven't prompted "dramatic shifts" in shopping behavior.
[Home Depot] would avoid "broad" price increases due to tariffs (in the previous quarter), but this week explained that some prices did have to increase a bit, given tariff rates are "significantly higher" now than they were in the spring.と述べている。
上記sourceでは、小売業や製造業で大幅な価格上昇を回避できている主な理由として、次の2点を挙げている。ということは、小売りや製造業では、これからじわじわと価格を上げていることになる。関税引き上げに伴う物価上昇は、これから徐々に本格化してくることになる。
- 関税引き上げが段階的になっている。
- 関税引き上げを見越して、大量の在庫を積み上げている。
※ 参考テーマ「労働市場」
Source : | UNEMPLOYMENT INSURANCE WEEKLY CLAIMS (DOL News Release) |
8月21日、労働省は、8月16日の週の新規失業保険申請件数を公表した(「Topics2025年8月17日(2) 継続失業保険申請増勢続く」参照)。失業保険申請件数は増加を続けている。
- 週末が8月16日の週の新規失業保険申請件数:1.1万人増加して23.5万人
Federal Reserve Bank of St. Louis- 週末が8月9日の週の継続失業保険申請件数:3万人減少して197.2万人
Federal Reserve Bank of St. Louis
※ 参考テーマ「労働市場」
Source : | Some Florida farmers reduce crops as deportation fears drive workers away (NPR) |
上記sourceは、FL州でイチゴ農園を経営している農家の現状を紹介している。ポイントは次の通り。この経営者は、『トランプ政権は農業を潰しにかかっている』と表現して憚らない。実際、最近4ヵ月で、農業分野における雇用者数は15.5万人減っており、過去10年間で最大の減少幅となっている。
- 1980年代からFL州中央部でイチゴ農園を経営している。
- 農園で働く従業員の半分は、不法移民。残り半分は、H-2Aを取得したゲストワーカー。
- しかし、今年は不法移民を従業員として雇用しなかった。農園に対する不法移民捜査が厳しくなっているからだ(「Topics2025年6月17日(1) Worksite Enforcement:農業」参照)。
- 一方、H2A取得者の雇用費用は高水準にあり、近年さらに上昇している。ゲストワーカーの採用も絞らざるを得ない。
- 結果、来年の生産量は、通年の35%程度にならざるを得ない。
農業が外国人、特に不法移民に頼らざるを得ないのは、根本的にはアメリカ人が農業に従事したがらないから、というのが根本原因である。従って、このような農業従事者不足、労務費上昇、その結果による農産物の価格上昇は、構造的な問題として発生してくる。
FRED
※ 参考テーマ「移民/外国人労働者」、「労働市場」