2月20日 Disney週4日出勤要請
Sources : Disney employees fight mandate to work at offices four days a week (Washington Post)
Amazon will send workers back to the office under a hybrid work model (NPR)
コロナ禍が落ち着きを見せ始め、緊急事態ではなくなるとの認識が広がっている。そうした中、ハイブリッド勤務のあり方を具体的に見直そうとする動きが本格化し始めた(「Topics2022年8月19日(4) 出勤/在宅はtrade-off?」参照)。

先ず、現状を確認しておこう(「Topics2022年8月24日 在宅勤務はベネフィットか」参照)。
  1. 在宅勤務日は、週のうち27%程度(1月下旬時点)。約1.35日にあたる。昨年7月から若干低下している。

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  2. フルタイマーのうち、フル出勤の割合は59%。ハイブリッド型の割合は28.2%

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  3. 在宅勤務ができる従業員について、企業側は週2.2日の在宅勤務を計画している。一方、従業員の方は週2.7日程度を希望している。

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  4. 大都市におけるオフィス出勤率を見ると、1月下旬に50%を超えたものの、2月に入って再び50%を割っている。

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こうした状況の中で、2月17日、Amazonは『3月1日以降、週最低3日は出勤するよう求める』と通知した。同社は、2021年10月、出勤頻度は部署ごとに判断するとの通達を出した(「Topics2021年10月17日(1) Amazon:出勤頻度は部署ごとに」参照)。今回の通知では、これまでの方針を一部変更して最低出勤日数を決める一方、ハイブリッド勤務の部分もある程度残そうとしている。

一方、その少し前に、Disney社は『3月から、週最低4日は出勤するよう求める』と通知した。これに対して、2,300人以上の従業員が署名して、週最低4日勤務を撤回するよう、嘆願書が提出された。上記のハイブリッド勤務の状況からすると、少しきつめの出勤要請である。従業員からすると、在宅勤務でも充分によい仕事をしていたのに、週4日オフィスに出てこいというのは、裏切られたような感覚らしい。この措置によって、従業員の士気が低下したり、大量の離職者が出てくることが懸念されている。

働き方の枠組み作りは、一筋縄ではいかない。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「Flexible Work

2月15日 CPI足許上昇続く
Source :Inflation eased again in January - but there's a cautionary sign (NPR)
2月14日、BLSは1月の消費者物価指数(CPI-U)を公表した(News Release)。前年同月比6.4%の上昇と、僅かに伸び率が低下した(「Topics2023年1月13日(1) CPI高水準継続」参照)。ところが、前月比では+0.5%となり、年率換算では6%以上となり、足許物価上昇の勢いが衰えていない。また、昨年12月の前月比も+0.1%に改訂されている。
ガソリン価格は再び上昇(前月比+2.4%)となった。
エネルギー全体の価格指数も前年同月比で伸び率は再び上昇し、8.7%の伸びとなっている。
食料品価格の伸び率は、前年同月比10.1%増と5ヵ月連続の微減となったものの、依然として高い水準が続いている。上図でもわかるように、卵の値上がりが続いている。
エネルギー、食料品を除くCPI上昇率は前年同月比5.6%と、若干の低下が続いている。
住居費は前年比7.9%増と、上昇率の高まりが止まらない。
1月の実質時給は、前月比-0.2%、前年同月比で-1.8%となった(Real Earnings News Release)。
労働市場の過熱状態とサービス業の価格上昇(下図)を見ると、FRBの警戒感はしばらく継続せざるを得ないと思われる(「Topics2023年2月5日 労働市場過熱状態継続」「Topics2023年2月2日(2) FRB依然として警戒」参照)。
※ 参考テーマ「労働市場

2月13日(1) Medicare薬価抑制策検討開始
Source :Medicare announces plan to recoup billions from drug companies (NPR)
昨年8月、インフレ抑制法が成立した(「Topics2022年8月17日(1) インフレ抑制法成立」参照)。そこには、Medicare処方薬の価格抑制策が盛り込まれていた(「Topics2022年8月8日 インフレ抑制法案:上院可決」参照)。この点について、バイデン大統領は先の一般教書でも触れている(「Topics2022年2月12日 一般教書で超党派連携提唱」参照)。

そのポイントは次の通り(再掲)。
○Medicare処方薬価格の抑制
  1. Medicare対象処方薬について、毎年、HHS長官が直接価格交渉をできるようにする。2026年に10品目から始めて、2029年までに20品目に拡大する。

  2. 処方薬価格の上昇分のうち、物価上昇率を上回る部分はMedicareに返還する。2019-20でみると、Medicare処方薬の半分は、インフレ率を上回る価格上昇となっている。

  3. 2025年以降、Medicare加入者の自己負担額は、年間上限額$2,000とする。

  4. 上記i~ⅲは、BBB法案の内容を縮小したものとなっている(「Topics2021年11月24日 BBB:薬価抑制策」参照)。
これらの措置により、今後10年間で約$170Bの支出を削減できるとしている。その内訳は、ⅰが$100B、ⅱが$70Bとなっている。

そのうち、上記ⅱの「物価上昇率を上回る部分はMedicareに返還する」規定について、CMSは2月9日、最初のガイドライン案を公表した。

上記sourceによれば、2009年のMedicare処方薬の支出は$85Bだったものが、2020年には$240Bと3倍近くになった。加入者一人当たり年平均$2,700を支出しているという。物価上昇率を上回る分を返還することにより、今後10年間で約$70Bの支出削減が見込まれる。対象品目は1,000品以上になると見られている。

本件に関するパブリックコメントの募集は3月11日まで続けられ、4月1日には、いくつかの処方薬の価格が引き下げられる見込みである。急な日程感に思われるが、同様の制度は、Medicaidにおいて、既に30年間執行されているため、関係者の間ではほぼ行き筋が見えているということなのだろう。

今後は、上記ⅰの直接価格交渉に焦点が移っていきそうだ。まず、対象となる処方薬は何か、その対象品はどれなのか、交渉のルールは、等々、様々な論点が存在する。執行も2026年とかなり先が予定されている。

※ 参考テーマ「Medicare」、「医薬品

2月13日(2) 25州が労働省ESG投資を訴え
Source :Half of all States Sue DOL over ESG Rule, Foreshadowing Challenges to the SEC’s ESG Agenda (Katten)
1月26日、25州政府ほかが、連邦政府労働省を相手に訴訟を起こした。労働省が昨年11月に『企業提供退職所得プランの投資決定に関して、ESGを考慮することを認めるとの規則を公表した』ことは、恣意的で、ERISAが求める受託者責任と矛盾する、との主張である(「Topics2022年11月30日 企業年金 ESG投資を是認」参照)。

その主張に一理あることは認められるが、ERISAは連邦政府が所管する州際活動を律する法律であり、州政府が訴えるのはお門違いのように思うが、どうなのだろうか(「Topics2022年8月19日(3) ESGと受託者責任」参照)。

※ 参考テーマ「受託者責任

2月12日 一般教書で超党派連携提唱
Source :5 takeaways from Biden's State of the Union address (NPR)
2月7日、バイデン大統領の一般教書演説が行なわれた(State of the Union)。昨年同様、当websiteの関心事項は次の通り(「Topics2022年3月3日 バイデン初の一般教書演説」参照)。
  1. 大統領に就任し2年間で1,200万人以上の雇用を創出した。

  2. 大統領に就任してから、300本以上の超党派法案に署名した。その一つが、Respet for Marriage Actだ(「Topics2022年12月14日(1) Respet for Marriage Act成立」参照)。

  3. 失業率は3.4%に達し、製造業で80万人の雇用を創出した(「Topics2023年2月2日(1) 労働市場過熱は天井か」参照)。

  4. 昨年成立したインフレ抑制法は、Medicareの処方薬薬価を抑制する手段を盛り込んだ「Topics2022年9月20日(5) Medicare薬価抑制策課題山積」参照)。

  5. Exchange加入者1,600万人を超えた「Topics2022年1月27日(2) Exchange加入登録過去最高」参照)。保険料補助金の拡充策は2025年に失効してしまうので、これを恒久法にし直そう。加えて、Medicaidの資格要件を緩和して、その加入者を増やそう。

  6. 共和党議員の一部は、Medicareと公的年金を5年ごとに廃止することを提唱している。議会で制度維持を可決しない限り、制度がなくなることを意味する。また、他の共和党議員は、Medicareと公的年金の給付を削減しなければ、連邦財政は破綻すると主張している。しかし、私は決して制度を廃止したり、給付を削減したりはしない。来月の予算教書で、両制度の改善策を提案する。

  7. 企業が労組結成を妨害していることに心を痛めている。PRO法案を成立させよう(「Topics2022年3月12日 "PRO Act"下院可決」参照)。

  8. FMLPを広めよう。また、ECTC制度を維持しよう(「Topics2022年9月15日(2) ECTC延長なし」参照)

  9. 若者にcommunity collagesで就学する機会を提供しよう。

  10. 国境線の警備を強化するとともに、Dreamersや国内で就業する人たちに市民権を賦与しよう。

  11. LGBTQが平穏に暮らせるよう、超党派での公正法案を可決しよう。
"Let's finish the job"という、共和党への連携よびかけが、目立った演説であった。

※ 参考テーマ「一般教書演説