2月28日(1) CA州最低賃金の課題
Source :California's $15 minimum wage begins this year. Debate on the next increase has already begun. (HR Dive)
今年に入って、CA州で最低賃金$15/hが始まった。今年は従業員26人以上の企業が対象だが、従業員25人以下の企業も来年には適用される(「Topics2016年4月7日(1) CA州:最低賃金$15」参照)。

来年以降は、全米CPI-Wの上昇率でスライドされる。

ところが、昨年春以降の高い物価上昇率を受けて、2025年までにCA州最低賃金を$18/hに引き上げる法案(the Living Wage Act of 2022)が議論されている(「Topics2022年2月11日(1) CPI7.5%上昇」参照)。州民の必要署名数が集まれば、今年の11月8日に予定されている州民投票にかけられることになる。

ただし、こうした最低賃金引き上げに課題も指摘されている。上記sourceの指摘事項は次の2点。
  1. 現行法でも規定されている通り、物価スライドが適用される指数が、CPI-Wであるという点である。CPI-Wは、"the national consumer price index for urban wage earners and clerical workers"と定義されており、都市部の労働者にとっての物価インデックスなのである。そうなると、CA州の郊外にある企業にとっては、実感としてかけ離れた上昇率になってくる可能性があるということだ。

  2. 地方自治体にも適用されるとなると、自治体職員の人件費が上昇する。その分、自治体収入、例えば税や公立施設利用料などを引き上げざるを得なくなる。
簡単にいけいけどんどんという訳にはいかないようだ。

※ 参考テーマ「最低賃金

2月28日(2) 週休3日制の課題
Source :This company switched to a 4-day workweek - and 91% of its workers say they're happier (CNBC)
上記sourceは、週休3日制を導入した企業が直面した課題とその解決手段を紹介している。紹介されている課題は次の通り。
  1. 週休3日制になっても、週休2日制の時と同じ様に仕事をこなさなければならないとの思い込みが従業員にあった。やがてそれでは持続可能ではないと気付き、会議の時間を短くしたり、オンラインに変更したりして、短い日数で仕事を終えられるように工夫し始めた。

  2. 新たな休日を何曜日に取るか。最初はチーム毎の自主判断に任せていた。しかし、チーム同士の協働が不足するようになり、全社員が金曜日に休日を取るようにした。

  3. 顧客対応は週7日となっているため、顧客対応チームのスタッフを新規に雇うこととし、全員週休4日制を実現した。

  4. 従業員のエンゲージメントに不安が生じたため、仕事の会議以外に従業員同士がコミュニケーションをとれるようなオンラインイベントを企画した。
個人的な経験では、やはり水曜日に休むと楽なんだけどね。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「Flexible Work

2月27日 K.B.Jackson判事を指名
Source :Ketanji Brown Jackson, Biden's Supreme Court nominee, has blazed trails all her life (NPR)
2月25日、バイデン大統領は、連邦最高裁Breyer判事の後任判事として、Ketanji Brown Jackson判事を指名した「Topics2022年1月30日(1) Breyer判事引退表明」参照)。候補者リストのトップが指名された形だ。

順調に承認プロセスが進めば、連邦最高裁判事のリストは次のようになる。

Current Justices of the US Supreme Court (as of February 27, 2022)

Name Born Appt. by First day University
John G. Roberts
(Chief Justice)
01955-01-27 January 27, 1955 George W. Bush 02005-09-29 September 29, 2005 Harvard
Clarence Thomas 01948-06-23 June 23, 1948 George H. W. Bush 01991-10-23 October 23, 1991 Yale
(Stephen Breyer) 01938-08-15 August 15, 1938 Bill Clinton 01994-08-03 August 3, 1994 Harvard
Samuel Alito 01950-04-01 April 1, 1950 George W. Bush 02006-01-31 January 31, 2006 Yale
Sonia Sotomayor 01954-06-25 June 25, 1954 Barack Obama 02009-08-08 August 8, 2009 Yale
Elena Kagan 01960-04-28 April 28, 1960 Barack Obama 02010-08-07 August 7, 2010 Harvard
Neil McGill Gorsuch 01967-08-29 August 29, 1967 Donald Trump 02017-04-10 April 10, 2017 Harvard
Brett Kavanaugh 01965-02-12 February 12, 1965 Donald Trump October 6, 2018 Yale
Amy Coney Barrett 01972-01-28 January 28, 1972 Donald Trump 02020-10-26 October 26, 2020 Notre Dame Law School
Katanji Brown Jackson 01970-09-14 September 14, 1970 Joe Biden Harvard
※ 参考テーマ「司 法

2月25日(1) WI州:有給FMLA法案
Source :State lawmakers try again for paid family medical leave program (Wisconsin Examiner)
2月21日、Wisconsin(WI)州議会に家族傷病有給休暇保険法案(Wisconsin Family Medical Leave Insurance Act)が提出された。主な骨格は次の通り。
  • Make all Wisconsin workers eligible for up to 12 weeks of paid leave for personal or family illness, or to care for a new child
  • Provide workers with paid leave insurance coverage through an employee contribution of between $2 - $3.50/week
  • Provide job protection for qualifying workers
  • Provide income replacement between 66% of wages for most workers and up to 95% of wages for those with lower incomes
ポイントは、財源が従業員拠出のみであることである。所得に応じて負担が増加し、源泉徴収される。州政府、企業の負担は求めない。

WI州議会は上下両院とも共和党が多数を握っているが、共和党から法案支持者になった議員はいない。

※ 参考テーマ「FMLA

2月25日(2) AL州:Tトイレ使用禁止法案
Source :Alabama lawmakers advance transgender students bathroom ban (NPR)
2月22日、Alabama(AL)州議会下院は、トランスジェンダーの小学生が性自認と同じトイレを使用することを禁じる法案を可決した。出生時の性と同じトイレを使用するよう義務付けるものだ。AL州議会は、上下両院とも圧倒的多数で共和党が握っている。州知事も共和党だ。

しかし、同様の州法に対する訴訟が相次いでいる。昨年、連邦最高裁は、トランスジェンダーに対する性自認トイレ使用を禁じるVA州の措置を否定し、トランスジェンダー側に軍配を挙げた。FL州の事案は第11控訴裁判所で争われている。

AL州の法案が成立したとしても、連邦最高裁まで争われる可能性が高い。

※ 参考テーマ「LGBTQ

2月23日(1) 再び宗教か差別禁止か
Source :Supreme Court to reconsider religious objectors' refusal to serve same-sex couples (NPR)
2月22日、連邦最高裁は、個人の信仰は州法の差別禁止に優先すると主張する事案を審査することに合意した。事案の概要は次の通り。
  • Lorie Smithは、婚礼に関するwebsiteデザイン事業を始めたいと考えていたが、それができないでいる。

  • 理由は、Colorado州法が、一般に提供されるサービスにおいて、同性カップルに対する差別を禁止しているためである。

  • Lorie Smithは、同性カップルにサービスを提供することは神の意志に反すると信じている。
まさに、個人の信仰が優先されるべきか、法の差別禁止が優先されるべきかという課題が、再び連邦最高裁の場で議論されることになる。しかも、同じCO州法を巡って(「Topics2018年6月5日 宗教か差別禁止か」参照)。

2018年の事案は、2015年の連邦最高裁判決(同性婚は基本的権利)以前に、同性婚を認めていなかったCO州で発生した事案だ(「Topics2015年6月27日 最高裁判決:同性婚は基本的権利」参照)。しかし、今回の事案は、連邦最高裁判決後の事案である。

2018年の判決では、『CO州市民権保護委員会がパン屋の店主の宗教的信条を尊重しなかったことを問題視して』個人の信仰を優先する判決を下したが、今回はどのような議論が行われ、判決が下されるのか。全米が注目している。審議は今年秋に始まる。

※ 参考テーマ「司 法」、「LGBTQ

2月23日(2) 学生ローン詐欺横行
Source :Student loan scams are on the rise as the pause on payments is due to expire (NPR)
今年の5月1日に、連邦学生ローンの返済、利払い停止措置が終了する(「Topics2021年12月23日(2) 学生ローン返済停止措置再延長」参照)。ローン債務を抱えている人達は、いよいよ返済、利払いを再開しなければならなくなる。

そうした不安な状況につけ込んで、詐欺話が横行しているそうだ。電話で『5月にローン返済停止措置がなくなる。今ならローン返済をちゃらにすることができる。そのためにはクレジットカード情報が必要になる』と持ちかけてくる。こうした詐欺話が多発する理由の一つが、情報不足とされている。バイデン大統領は選挙でローン債務を帳消しにすると主張し、その後、次々と返済・利払い停止措置を延長し続け、昨年末になって、この措置を終了することを発表した。しかし、その措置終了というメッセージが国民に行き届いていないために、こうした詐欺電話がかかってくると、不安になって騙されてしまう。

それだけ学生ローン問題は深刻になっているということである。2021年の残高は総額$1.75Tと、2020年を上回った。

source:Student Loan Debt Statistics
また、債務を抱えている人は4,340万人で、一人平均$40,904の債務残高を抱えている。

結局、バイデン政権は、学生ローン問題に手を付けられずにいる。

※ 参考テーマ「教 育

2月23日(3) WA州Public Option一年目
Source :The 1st public option health plan in the U.S. struggles to gain traction (NPR)
Washington州のの公的医療保険プラン(public option)は、初年度を終えた(「Topics2019年12月23日 WA州のPublic Option」参照)。施行一年を経て、課題が明らかになってきた。
  1. 各county毎に最低一つのpublic optionプランを提供する予定であったが、実際に提供されたのは39のcountyのうち29にとどまった。

  2. Public optionの保険料は、Exchange提供民間プランの5~10%安くなる見込みであったが、実際には、最も安いsilber planよりも平均11%高かった。ただし、免責額が低かったり、診療によっては免責額が適用されなかったりするので、長期的に見れば加入者の負担は安くなるかもしれない。

  3. Exchangeでpublic optionプランを購入した人は、わずか1%であった。Public optionのnetworkに参加した医療機関が少なく、加入者にとって医療機関の選択肢が小さかった。
WA州public optionの特徴は、『州政府が診療報酬に関与する、民間保険会社運営保険プラン』である。このため、医療機関の参加が義務付けられておらず、『保険料を安く、医療機関ネットワークは広く』というpublic optionの利点が弱くなってしまう。一年目の実績は、まさにその弱点が具現化した形となった。

WA州は、州別public optionの第1号である(「Topics2019年6月5日 州のACA防衛策」参照)。これに続いて、
  • Colorado州:2023年
  • Nevada州:2026年
の実施が予定されている。さらに、Connecticut, Oregon, New Jersey, New Mexicoの各州が続こうとしている。Washington州の成否を各州が見守っている。

※ 参考テーマ「無保険者対策/WA州」、「無保険者対策/州レベル全般