9月30日 CA州:Public Optionの復活? 
Source :Remember The 'Public Option'? Insurance Commissioner Wants To Try It In California (Kaiser Health News)
Dave Jones CA州保険長官は、CA州への"Public Option"の導入を考えているという。

Public Optionとは、政府などの公的機関が運営する保険プランで、主に保険プランの選択肢を提供することが政策的意図である。PPACAの審議過程で検討されたものの、見送られた経緯がある(「Topics2009年12月14日 Liebermanが反旗」参照)。

Jones長官の意見は次の通り。
  1. 州レベルでpublic optionを導入したい。

  2. 特定の地域への導入から始めて、徐々に広げていってはどうか。

  3. CA州Exchange(Coverd California)には、競争が不足している。

  4. CO-OPsが失敗しているからPublic Optionも成功しないという批判があるが、CO-OPsが躓いたのは連邦議会が財政支援を絞ったからだ(「Topics2015年10月17日 CO-OP:CMSの締め付け」参照)。
民主党の強い州政府・議会だからこその発想だと思われる。また、こうした長官の構想の背景には、2017年のCoverd Californiaの保険料が13.2%アップとなったことがある(「Topics2016年7月21日 CA州保険料13.2%上昇」参照)。これだけ大幅な上昇となるのは、やはり競争が不足しているからだ、という考えだ。

Covered California全体で見れば、2016年は11の保険会社が参入している(2017年はUnitedHealthが退出、「Topics2016年4月21日 UnitedHealth全面撤退」参照)。また、その加入者シェアについても、バランスが取れている。

その一方で、Covered California加入者の7.4%、140万人にとっては、保険プラン選択肢が2つしかないという状況がある。おそらく、Jones長官が「特定の地域への導入から始める」との構想を示しているのは、こうした保険プランの選択肢が不足している地域を想定しているものだと思われる。

※ 参考テーマ「無保険者対策/CA州

9月27日 SSNの獲得 
Source :Self-Insured Plans May Struggle to Get SSNs from Employees (SHRM)
Self-insuredの保険プランを採用している企業にとって、自らプラン加入者のSocial Security Numberを獲得することが義務となっているそうだ。Insuredの場合には、保険会社がその義務を負う(「Topics2010年1月21日(2) 2つの企業提供保険プラン」参照)。

現在公開されているIRSの規則案では、次の3段階で加入者のSSNを獲得するよう求めている。
  1. 加入時

  2. 加入時から75日後

  3. 加入後最初の12月31日まで
さらに、この3段階の要請を踏まえてもなお、加入者がSSNを提供してくれない場合は、替わりに生年月日を提供することが可能としている。

つまり、全ての加入者からSSNを獲得することは初めから難しいと考えられている訳である。特にSelf-insuredの保険プランを採用している企業は大企業が多く、それでも難しいということである。きっとSSNを持っていない従業員、家族、つまりは不法移民の従業員がたくさんいることが想定されているということなのだろう。

※ 参考テーマ「医療保険プラン」、「公的年金改革」、「移民/外国人労働者

9月21日 個人保険市場の損益 
Source :The Unpredictable Individual Health Insurance Market (Mark Farrah Associates)
上記sourceでは、個人保険市場を州別に分析している。主な分析結果は次の通り。
  1. 2016年3月における個人保険加入者は、全米で2,020万人。そのうちExchange加入者が1,268万人、その他が7,52万人と推計される。

  2. 財務諸表により、州別の保険会社損益を試算してみた所、総体として赤字を計上しているのが41州+D.C.。その総赤字額は$6B近くに達する。

  3. 一方、黒字となった9州は、比較的人口の少ない州となっている。
これはちょっと面白い結果だ。通常、人口が多く、リスク分散ができるほど保険財政は安定するはずである。それがそうなっていないとの結果となっている。

考えられる理由としては、@保険料の設定を間違ったのか、A加入者となるべき母集団にリスクの高い人が多いのか、またはBその両方、ということが考えられる。もう少し、丁寧な分析が必要となろう。

※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル全般」、「無保険者対策/連邦レベル」、「医療保険プラン