9月9日 FTC:転職禁止規定廃止ルール見直し
Source :Under Trump, the Federal Trade Commission is abandoning its ban on noncompetes (NPR)
9月5日、FTCは、自ら定めた「競業転職禁止規定廃止」ルールを廃止するとの方針を開示した(FTC Press Release)(「Topics2024年4月24日(2) FTC:競業転職禁止規定廃止を決定」参照)。同ルールを巡っては、企業が大反発しており、司法闘争が続いていた(「Topics2024年7月4日(1) FTC競業転職禁止規定廃止に差し止め判決」「Topics2024年7月26日(1) PA州連邦地方裁はFTCを支持」参照)。今回のFTCの決定は、この司法闘争をやめ、ルール廃止の検討を行なうというものであった。

このFTCの方針転換は、FTCメンバー構成の変化によるもので、投票結果(3 vs 1)は、党派別にそったものであった。

今後、FTCがどのような理由でルール廃止を決めるのか、『競業他社転職禁止は、NLRA Sec.7違反である』との通知を出したNLRBはどうするのか、が注目点となる(「Topics2023年6月7日 NLRB:転職禁止はNLRA違反」参照)。もっとも、NLRB委員の指名審査は連邦議会上院で止まったままであり、これが承認されない限り、何もアクションは取れない(「Topics2025年7月22日 NLRB委員2名指名」参照)。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「労働組合

9月7日(1) 労働市場は買い手市場に
Source : Cracks in the U.S. economy: Job growth slows 75% from a year ago (NPR)
9月5日、8月の雇用統計が公表された(BLS)。8月の雇用増はわずか2.2万人(「Topics2025年8月3日(1) 雇用増3ヵ月大幅減」参照)。6月の雇用者数はマイナスに下方修正された。

雇用者数は170.7M人となった(Table B-1. Employees on nonfarm payrolls by industry sector and selected industry detail)。業種別増加数は次の通り。さすがのサービス業もゼロ近傍に近づいてきた。連邦政府職員数の減少は、年初からの合計で9.7万人に達した。製造業、建設業でもマイナスを記録した。
失業率は4.3%に上昇(Table A-1. Employment status of the civilian population by sex and age)。
労働市場参加率は今月も62.3%に上昇したが、低下傾向は続いている。
25~54歳の労働市場参加率は83.7%に上昇した(BLS)。
労働市場に参加していない人の中で仕事を得たいと考えている人数は急上昇した。労働市場の需給が緩和し、就職が厳しくなると見始めている。
長期失業者(27週以上)の失業者全体に占める割合は、25.7%と、こちらも急上昇している。
一方、外国人雇用者数は、わずかに上昇した。

FRED
労働市場は買い手市場になりつつあるようだ(「Topics2025年9月4日 企業の採用意欲低下」参照)。

※ 参考テーマ「労働市場

9月7日(2) 役員報酬の最近の傾向
Source :Executive compensation: 5 trends in 2025 to consider (HR Dive)
上記sourceによると、S&P500社のCEOの報酬は、平均$17.7M(2023年)。1978~2023年の45年間に1,085%以上の増加(年平均6.26%増!)になっている。
加えて、最近の幹部役員報酬の傾向を5点紹介している。
  1. 株式報酬は広まっているものの、従業員にも普及しているため、かつてのような魅力とはなっていない。

  2. 受給権の賦与に必要な勤務年数が短縮化している。

  3. マクロ経済の不確実性が高まっているため、報酬に関わる成果を計測しにくくなっている。

  4. 報酬とESG進展の関係性が強まっている(ただし、これはトランプ政権復活後の状況は含まれていないものと考えられる)。

  5. 役員報酬に関する透明性の一層の強化と、報酬の受け手への教育が必要。
※ 参考テーマ「経営者報酬

9月5日(1) 失業申請増勢を確認
Source :UNEMPLOYMENT INSURANCE WEEKLY CLAIMS (DOL News Release)
9月4日、労働省は、8月30日の週の新規失業保険申請件数を公表した(「Topics2025年8月22日(3) 失業保険申請増勢続」参照)。 やはり、労働市場の緩和が進んでいるようだ。

※ 参考テーマ「労働市場

9月5日(2) 退職後の備え
Source :Employers say their employees are prepared for retirement, but workers aren’t so sure (HR Dive)
8月27日、金融に関する企業、従業員を対象とした金融に関するアンケート調査(PNC Bank's third annual Financial Wellness)の結果が公表された。その中で、退職後所得に関する項目があったので、まとめておく。
  1. 従業員が退職後所得を充分に備えているかどうかを聞いてみると、多くの企業側が「備えている」との感触を持っている一方、従業員側はそれほどまで自信を持っているとは言い難い。
  2. このギャップが生じる理由として、コミュニケーションの室の問題が挙げられる。
  3. 従業員が考える退職年齢は、「65歳以上」がほぼ半分に迫っている。
※ 参考テーマ「DB/DCプラン」、「公的年金改革

9月4日 企業の採用意欲低下
Source :Job Openings and Labor Turnover Summary (BLS)
9月3日、BLSが、7月末の求人数を発表した。7月末の求人数は718.1万人で、前月比2.7%の減少となった(「Topics2025年7月30日(1) 労働需給は緩和方向」参照)。
労働力人口に占める求人数の割合は4.3%に低下。
新規雇用数は530.8万人と前月比若干の増加となった。
失業者数/求人数は、1.0に回復している。
7月の自発的失業(Quits)は320.8万人とほぼ横ばい。
Quits level, Total nonfarm - 2019~2025年

Quits level, Total nonfarm - 2007~2025年
アトランタ連銀による時間給のデータは、4月も前年比4%台ぎりぎりで概ね収束しており、低下傾向が続いている。

Federal Reserve Bank of Atlanta's Wage Growth Tracker
転職しても職に留まっても報酬の伸び率が同じということは、企業側の雇用意欲が強くなく、労働者もそれを感じ取って積極的に動こうとしていないことを示している。

※ 参考テーマ「労働市場

9月3日 人事部門とAI
Source :What HR pros need to know about AI in the workplace (HR Dive)
上記sourceは、人事部門とAIを巡る課題をテーマとしたレポートを集めたものである。アメリカ企業でAI、生成AIの導入は進んでいるものの、その活用方法、特に人事部門における活用については、まだ手探りの状況のようである。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制

9月2日 AFL-CIO:大統領と訣別
Sources : AFL-CIO President: ‘The State of Our Unions Is Under Attack and Fighting Back’ (AFL-CIO)
AFL-CIO Blasts New Trump Administration Union-Busting Executive Order Issued Ahead of Labor Day (AFL-CIO)
Has Trump kept his campaign promises to American workers? Here's what some say. (NPR)
労働組合は、とっくに目覚めていた(「Topics2025年9月1日(1) 団体交渉権剥奪対象追加」参照)。次は、最近のAFL-CIOのPresidentによる発言である。 少なくともAFL-CIOは、トランプ大統領とは訣別したようだ。

※ 参考テーマ「労働組合」、「政治/外交

9月1日(1) 団体交渉権剥奪対象追加
Source :A fresh executive order aims to ban unions at more federal agencies (Government Executive)
8月28日、トランプ大統領は、団体交渉権剥奪の対象となる連邦政府機関を追加する大統領令に署名した(「Topics2025年3月29日 連邦職員の団体交渉権除外」参照)。今回の追加対象となったのは、全部で6機関。 今回の大統領署名は、Labor Day(9月1日)の前の週というタイミング。やはり、トランプ政権はアンチ労働組合なのだろう。労働組合側もそろそろ目覚めた方がよいのではないか(「Topics2024年8月20日 候補者達の労働政策スタンス」「Topics2025年4月3日 団体交渉権大統領令への抗議」参照)。

※ 参考テーマ「労働組合

9月1日(2) コネは強力なツール
Source :Half of workers say they got a job through a connection (HR Dive)
アメリカ社会における職探しは、個人的なコネクション("コネ")が最重要ツールとなっている。上記sourceで紹介されているレポート(myperfectresume)のポイントは次の通り。
  1. 54%の労働者が、個人的または職業的なコネを通じて職に就いている。

  2. 職探しの際に最も役立つツールがコネであると考えている。
  3. ただし、コネに頼る頻度はかなり低い。
  4. コネを頼られた方も、信頼できる知り合いしか会社に紹介しようとしない。

コネは強力なツールであるものの、相互信頼がなければ実ることはない、ということか。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制