8月10日(1) Seattle市:ギグワーカー保護強化
Source :Seattle becomes first in U.S. to protect gig workers from sudden 'deactivation' (KUOW)
ギグワーカーが突然プラットフォーム側から契約を打ち切られるという問題が発生している。ギグワーカーが仕事をしようとアプリを開けようとすると、それが拒否されるということが頻発しているらしい。プラットフォーム側がギグワーカーを拒否する理由として、 などが考えられる。

これに対して、Seatlle City Councilは、8月8日、ギグワーカーとの契約を突然打ち切ることを禁じる条例案を可決した(News Release)。Seattle市長は署名するものとみられている。成立すれば、全米初の法制となる。条例案のポイントは次の通り。
  1. プラットフォーマーは、契約を打ち切る場合には、14日前に通告しなければならない。

  2. 受注量の少なさを契約打ち切りの理由にすることはできない。

  3. 施行日は2025年1月1日。
Seattle市は、他の条例で、ギグワーカーの最低賃金を引き上げたり、病気休暇の提供を義務付けたりしている。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「最低賃金

8月10日(2) I-9の簡素化実施
Source :I-9 Verification Just Got Easier (HR Daily Advisor)
アメリカ企業は、すべての従業員について、アメリカ国内で働く資格があるかどうかの確認書(I-9)をICEに提出しなければならない。8月1日、ICEはI-9の簡素化を実施した。
  1. 記述項目の統廃合

  2. 一定の要件の下での添付書類オンライン確認
2.の方は、E-Verifyを利用していることが条件となっている。言わばE-Vefiryの利用促進のためのインセンティブである(「Topics2022年9月9日(2) 移民制度改革は緊急課題」参照)。

※ 参考テーマ「移民/外国人労働者

8月8日(1) 在宅勤務と生産性
Source :Balancing Employees' Flexible Work Expectations with Productivity Goals (The Conference Board)
7月31日、The Conference Boardは、柔軟な働き方と生産性向上のバランスに関するアンケート調査結果を公表した("Balancing Employees' Flexible Work Expectations with Productivity Goals")。ポイントは次の通り。
  1. 従業員本人は完全在宅勤務の方が生産性は高いと思っているが、勤め先にとってはハイブリッドが高いと思っている。

    In general, employees say that fully remote work is best for their own productivity but that hybrid work best supports their company’s productivity

  2. そのように考えている傾向は、若い層(~35歳)、高齢層(55歳~)に強く見られる。逆に見ると、中堅層(35~55歳)は周りがよく見えているということかもしれない。

    Finding a Balance: Personal vs. Company Productivity

    Overall, 41% of respondents feel most productive when working fully remotely, but 35・5-year-olds, higher-income earners, and Asian Americans feel most productive with a hybrid model

    Employees of all ages, races, and income brackets consider hybrid work more productive for their company than fully remote work; Black and lower-income workers are most likely to suggest the opposite

  3. 在宅勤務を認められている従業員の割合は55%。意外と低い(「Topics2023年5月19日(3) 在宅勤務制度の存在感」参照)。

    Flexibility divide: the option to work remotely skews toward higher-income employees who likely work in offices; lower-income earners tend to work in jobs requiring on-site presence

  4. 在宅勤務が認められなくても今の職場を辞めない、との回答は48%とほぼ半分に達した。一方で、在宅勤務を認められなければ辞めるとの回答が30%も占めている。若い人については43%に達する。これは企業側にとっては結構由々しき事態である。

    People are most likely to say they wouldn’t quit their job if they were called back to fully in-person work

  5. 週4日勤務制になった場合の従業員の対応は、分かれている。今回の調査では給与水準が確保されていないことを前提にしているために、給与水準の確保や柔軟な働き方をあきらめるとの会合が多いようだ。給与水準が確保されている場合には、まったく異なる回答となろう(「Topics2023年8月1日(2) 週4日勤務試行に満足」参照)。

    Providing uninterrupted operations with a 4-day workweek would require significant coordination and employee flexibility

  6. 今後5年間のスキルアップに必要なことを尋ねている。生涯学習がより重要になるとする回答が多い一方、4年制大学を卒業するだけでは重視されなくなるとみている(「Topics2023年2月3日(1) 大学入学者数微減」参照)。面白いことに、オン・ザ・ジョブ・トレーニングに関心が高まっている。

    Qualifying in a trade is rising in importance compared to a 4-year college/university degree for job seekers

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「Flexible Work」、「教育

8月8日(2) 2024年Exchange保険料
Source :How much and why 2024 premiums are expected to grow in Affordable Care Act Marketplaces (KFF)
2024年のExchange保険プランの保険料申請が行なわれている。上記sourceは、320の保険会社(50州+D.C.)が申請した申請保険料について分析した結果である。
  1. 申請保険料伸び率は、本当に区々だが、中位数は6%となっている。ただし、Exchange加入者の多くが保険料補助金を受け取るため、それほど大きな負担増とはならない。

    Most proposed rate increases for 2024 ACA Marketplace plans fall between 2% and 10%, with a median increase of 6%

  2. 詳細が公開されている58の保険会社(11州+D.C.)について分析してみると、これらの申請保険料伸び率は中位数で9%。

  3. その上昇要因の大半は、インフレである(「Topics2023年7月13日(2) CPI3.0%」参照)。医療機器、医療サービスの値上がり(中位数は約8%)のほか、人件費を含む保険会社のプラン管理費の高騰が反映されている。

  4. 新型コロナウィルスについては、感染検査が有料になることが保険料押し下げ要因になる一方、ワクチン接種が保険対象となるために保険料押し上げ要因となる。全体では保険料引き下げの方向とみられる(「Topics2023年5月10日(1) PHE終結とMedicaid」参照)。

  5. Medicaid加入資格確認が求められたことにより、少なくともこれまでに389.8万人(2023年8月7日現在)がMedicaidから離脱した(「Topics2023年5月10日(1) PHE終結とMedicaid」参照)。一部には、健康状態がよくない人達がExchangeに加入してくるために保険料増加要因となるとの見方はあるが、全体での影響は見通せない。

2024年の保険料に関するキーワードは、『インフレ』となりそうだ。

※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル全般」、「無保険者対策/連邦レベル」、「医療保険プラン

8月7日 労働供給が限界か?
Sources : The case for a soft landing in the economy just got another boost (NPR)
The U.S. added jobs at a solid pace in July, reinforcing hopes about the economy (NPR)
8月4日、雇用統計が公表された(BLS)。7月の雇用増は18.7万人となった。また、5月、6月については、合計で4.9万人の下方修正となった(「Topics2023年7月9日 サービス労働需要は堅調」参照)。
雇用者数は156.3M人となった(Table B-1. Employees on nonfarm payrolls by industry sector and selected industry detail)。業種別増加数は次の通り。相変わらずサービス業での需要が高い。上記sourceによれば、医療、教育、宿泊・飲食などで雇用が増えている。
失業率は再び3.5%に低下した(Table A-1. Employment status of the civilian population by sex and age)。ここのところ、狭いレンジで行ったり来たりしている。
労働市場参加率は今月も62.6%と、5ヵ月連続の横這い。依然として、コロナ禍以前と比べて低水準が続いている。
25~54歳の労働市場参加率も83.4%と、若干の低下となった(BLS)。
労働市場に参加していない人の中で仕事を得たいと考えている人数は、若干減少した。
長期失業者(27週以上)の失業者全体に占める割合は、19.9%に上昇した。
2023年1~3月の平均が31.2万人、4~6月が21.7万人と、雇用者数は落ち着いてきたものの、労働供給はもう限界に近づいているように見える。労働供給がタイトなために、サービス産業の人手不足はさらに継続するように思える。

※ 参考テーマ「労働市場

8月3日 PBGC MEプラン厳しい見通し
Source :PBGC’s FY 2022 Projections Report Shows Continued Strength in its Pension Insurance Programs (PBGC)
8月2日、PBGCは、長期財政見通し(2022年版)を公表した(「Topics2022年9月11日(1) PBGCまだまだ不安」参照)。ポイントは次の通り。
  1. 2032年末のネット資産残高予想は、複数事業主プラン勘定は、予想平均で辛うじてプラスになっているものの、予想中位数ではマイナスに陥っている。
  2. それでも、2021年版での予想よりは、若干マイナス幅が縮小した。
  3. 同勘定の見通しが大きく改善したのは、SFAプログラムのお蔭だが、その適用状況は次のようになっている。対象となり得るプランの過半は、既に適用を受けた模様だ。
  4. 10年後(2032年末)に資産残高がプラスになっている確率は、若干上昇して69%(昨年は65%)となった。
  5. 単独事業主プラン勘定は、順調に資産残高を増やしていく見通しだ。
あれだけテコ入れしても、複数事業主プラン勘定の見通しは暗い。

※ 参考テーマ「PBGC/Chapter 11

8月2日(1) Medicare Part D保険料抑制へ
Source :CMS Releases 2024 Projected Medicare Part D Premium and Bid Information (CMS)
7月31日、CMSが2024年のMedicare Part D保険料の目安を公表した。2023年のPart D保険料平均は月額56.49だったが、2024年は$55.50と見込まれている。1.8%の低下である。

The chart below shows average total and supplemental Part D premiums are projected to decrease in 2024: 

Source: CMS Part D bid and enrollment data, 2020-2024

保険料見込みが低下した理由は、主に2つある。
  1. インフレ抑制法に基づき、2024年から基礎給付保険料(base beneficiary premium)の伸び率を6%以下に制限することとしている(「Topics2023年2月13日(1) Medicare薬価抑制策検討開始」参照)。この制限がなければ、基礎給付保険料は$39.35/Mで20%近い伸び率となるところを、6%増の$34.70/Mに抑制している。

  2. 特定の処方箋の自己負担分に上限を設けるとともに、価格交渉で安くなった分を加入者に還元することとしている。
なお、付加給付(Supplemental Part D)の利用率は、約75%となっているそうだ。

個別のPart D保険料は、例年9月に決定、公表される。

※ 参考テーマ「Medicare

8月2日(2) 求人が埋まらない
Source :Job Openings and Labor Turnover Summary (BLS)
8月1日、BLSが、6月末の求人数を発表した。6月末の求人数は958.2万人で、前月比3.4万人の微減となった(「Topics2023年7月7日(2) 労働市場は徐々に収束」参照)。
労働力人口に占める求人数の割合は5.9%と、横ばいとなった。
新規雇用数は590.5万人と、減少が続いている。
失業者数/求人数は、0.6と横ばい。
6月の自発的失業(Quits)は377.2万人と、大幅減となった。
Quits level, Total nonfarm - 2019~2023年

Quits level, Total nonfarm - 2007~2023年
こうした中、6月の時間給をみると、伸び率の収束がより明らかになってきた。

Federal Reserve Bank of Atlanta's Wage Growth Tracker
なかなか求人が埋まっていくような状況ではなさそうだ。

※ 参考テーマ「労働市場

8月1日(1) 年金支給年齢引上げ提案
Source :The Case for Raising the Social Security Retirement Age (Committee for a Responsible Federal Budget)
上記sourceは、公的年金の持続可能性を回復するための施策の一つとして、支給開始年齢の引き上げを提案している。現在の制度では、標準支給開始年齢を67歳とし、62歳(早期支給開始)から70歳(支給開始遅延)まで選択できるとしている。

支給開始年齢の引き上げは、次の3点でメリットがあると論じている。
  1. 現状では、2033年に基金が枯渇すると予測されている(「Topics2023年4月3日(1) 年金/Medicareの余命は10年」参照)。標準支給開始年齢を68歳に引き上げることで、基金不足の12%を確保できる。標準支給開始年齢を69歳に引き上げ、早期選択開始年齢を62歳から64歳に引き上げると、基金不足の25%を確保できる。

    Options to Raise the Social Security Age

    Proposal % of Solvency Gap Closed % of 75th Year Gap Closed
    Raise normal retirement age (NRA) from 67 to 68 (1 mo/2 yrs) 12% 16%
    Index NRA to life expectancy  (1 mo/2yrs)* 19% 40%
    Raise NRA to 69 (2 mo/yr), then index (1 mo/2 yrs) 38% 57%
    Raise EEA from 62 to 64 and NRA from 67 to 69 (3 mo/yr) 25% 25%
    Raise ages by one year then index, count all years of work equally toward benefits, establish an age 62 poverty protection benefit 15% 25%

    Sources: Social Security Office of Chief Actuary, Committee for a Responsible Federal Budget. *This would maintain constant ratio of years in work to retirement, so years in work and retirement could both grow.

  2. 支給開始年齢を引き上げると、引退する時期も遅れることから、長期的にみてGDPを押し上げる効果が期待できる。
  3. 退職後の生活が豊かになる。支給開始年齢を1歳引き上げると、退職後資産は5%、退職後所得は10%増加する。社会的なネットワークも広がり、豊かな社会生活が可能となる。
※ 参考テーマ「公的年金改革

8月1日(2) 週4日勤務試行に満足
Source :Major 4-day workweek study suggests that when we work 5 days we spend one doing basically nothing (Fortune)
週4日勤務トライアルの結果が出てきた(「Topics2022年4月10日 CA州:週4日勤務法案」参照)。このパイロット・プログラムでは、
"100% pay for 80% of the time, in exchange for 100% productivity"
という原則で施行されている。

従業員側からは、ワーク・ライフ・バランスが改善した、精神的にも肉体的にも健全になった、と好評で、89%が週5日勤務に戻りたくないと回答している。

一方、企業側も、売上高が15%増加しており、週5日制に戻したいと回答した企業はなかった。

上記原則に基づく施行に、労使ともに満足しているのであれば、戻る必要はないだろう。逆から見れば、丸一日分は無駄な勤務だったということになる。

専門家によると、フルタイマーはこれで目途がついたとしても、課題はパートタイマー、有期雇用労働者、独立契約者だとしている。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「Flexible Work