2月20日 High-risk poolsへの評価 
Source :Why high-risk pools won't crack the pre-existing condition dilemma (Modern Healthcare)
連邦議会下院共和党は、PPACAに含まれている『既往症のある者への保険プラン加入拒否を認めない』という規定を廃止し、代替措置として各州に"High-risk pools"を設置することを提案している(「Topics2017年1月7日 共和党医療保険改革法案」参照)。

しかし、専門家の間では、"High-risk pools"はうまくいかないという評価に傾いている。
  1. PPACA施行前、35州で"High-risk pools"が設置されていたが、その多くはうまくいっていなかった。

  2. 加入者が少ない。全米でわずか22.6万人(2011年末)しかいなかった。

  3. 保険料が高い。

  4. 免責額が高い。

  5. 加入してから保険対象になるまでの待機期間が6ヵ月〜12ヵ月と長い。

  6. 年間、一生の給付上限が定められている。

  7. ほとんどの州で赤字になっていた。
共和党は、WI州がうまくいっていたと主張するが、それでも年間の赤字額は$6.9Mに達していた。

ある専門家の推計では、既往症を持つアメリカ人は最低400万人はいると見られ、彼らのための"High-risk pools"には$24B超の公費が必要とされている。Kaiser Family Foundationの推計では、65歳以下の成人の27%は既往症を持っており、『既往症のある者への保険プラン加入拒否を認めない』というPPACAの規定がなくなれば、無保険者になる可能性があるとしている。

共和党の提案では、10年間で$25Bを連邦政府から州政府に拠出するとしているが、それでは全然足りないことは明白だ。

保険料を安くするためにリスクの高い人を別途括り出すと、連邦支出が膨らむ。共和党にとってはジレンマだ。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「医療保険プラン

2月19日 共和党内の意見対立 
Source :House GOP discusses Obamacare replacement ideas - but doesn’t call them a plan (Washington Post)
上記sourceによると、2月16日、連邦議会下院共和党はPPACAの見直し論を議論したが、示された案はアイテムの羅列でしかなかったという。しかも、そのアイテムの賛否を巡って対立が明確になったそうだ。

最も対立が明確になったのは、次の項目。 新たにHHS長官として承認されたPrice長官ですら、議員時代とは異なり、曖昧な対応に終始したそうだ。

Ryan下院議長は、今月中に法案として提出するとしているが、これに基づいてCBOが財政影響の試算を示したところで、共和党内の意見対立はさらに深まると予想される。強硬派と穏健派の意見相違が明確になるからだ。

トランプ大統領は一体どういう指導力を発揮するのだろうか。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル

2月18日 Humana:Exchange完全撤退 
Source :Humana will exit ACA exchanges in 2018 (Modern Healthcare)
大手保険会社Humanaは、2018年、Exchnageから完全に撤退すると表明した(「Topics2016年7月24日 Humanaも撤退」参照)。Exchange外の個人保険市場からも既に撤退しており、これでHumanaは個人保険市場にまったくプランを提供しないことになる。

保険会社は、連邦議会がExchangeを巡る法制度をどのように変えるつもりなのかが見通せない限り、Exchange内外の保険市場にプランを提供し続けることはできないとしている(「Topics2017年2月2日 個人市場の安定策とは?」参照)。

さらに、コスト効率化を目指した合併も認められないということであれば、当然の帰結であろう(「Topics2017年2月15日 個人市場の競争」参照)。

※ 参考テーマ「医療保険プラン」、「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル全般

2月17日 労働長官指名交代 
Source :Andrew Puzder withdraws nomination for labor secretary (Washington Post)
2月15日、労働長官に指名されていたAndrew Puzder氏が、指名を辞退すると表明した(「Topics2016年12月9日 残業代新ルールの行方」参照)。かつて不法移民を雇っていたこともあったが、余りにも経営者寄りのスタンスを明確にし過ぎることから、上院共和党の中でも、最低12名は支持を表明できないとされていた。

代わって、翌16日、トランプ大統領は、R. Alexander Acosta氏を労働長官として指名した(LA Times)。同氏は、連邦司法省やNLRBのメンバー(12/17/02 - 08/21/03)として働いた経験があることから、ある程度のバランス感覚を持っているものと思われる。

そして、何よりの売りは、ラテン系ということである。同氏が承認されれば、唯一のラテン系出身者となる。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制

2月15日 個人市場の競争度 
Source :The $54 billion deal would have created the largest health insurance company in the nation (Denver Post)
上記sourceでは、AnthemとCignaの経営統合によるColorado州(CO州)における影響について述べている(「Topics2017年2月10日 保険会社の統合を認めず」参照)。
  1. Connect for Health Colorado(CO州Exchange)における両社の加入者数は、それぞれ2位、3位。合計すると約1/3のシェアを占めている(2016年)。

  2. 他の大手保険会社2社が撤退を表明しているため、2017年については、両社しか保険プランを提供していないcountyが2つ出てきている。

  3. 一方、個人保険プランが全体の保険プランに占める割合は約8%に過ぎない。

  4. 両社とも企業提供保険プランに注力しており、両社合わせて約50%のシェアを占めている。

  5. CO州全体の保険市場でみると、両社のシェアは17.5%に過ぎず、大手Kaiserよりも10%ポイント低い程度である。
こうしてCO州全体を見てみると、Exchangeで代表される個人保険プランは両社の業務全体の一部分でしかない。その狭い領域の中でプラン提供者数が少ないから競争度が低下するという議論をしても始まらない。

両社は、 と主張している。こちらの方が理屈に適っているように思える。

※ 参考テーマ「医療保険プラン」、「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル全般

2月12日 労働組合員減少の理由 
Source :Union Membership Down; Experts Say HR’s Responsiveness May Be a Reason (SHRM)
1月26日、2016年の労働組合加入率、組織率が発表された(BLS)。加入率、組織率とも低下が続いている(データ)。
上記sourceでは、労働組合の加入率が低下している理由を3つ指摘している。
  1. 州政府職員団体交渉権を制限する動きが続いている(「Topics2014年8月5日(2) WI州:労組権限制約に合憲判断」「Topics2015年8月4日 MI州最高裁:労組にダブルパンチ」参照)。

  2. 2014年の連邦最高裁判決(Harris v. Quinn)により、労組を支持しない職員は組合費の支払いを強制されないことが認められたため、SEIUの加入者が大きく減少した。

  3. 従業員との関係を重視して、人事制度、処遇、不満解決などに力を入れる経営者、企業が増えている。
まさに、3点目は労働組合対策の王道である。

※ 参考テーマ「労働組合」、「人事政策/労働法制

2月11日 不法移民の居住地 
Source :20 metro areas are home to six-in-ten unauthorized immigrants in U.S. (Pew Research Center)
上記sourceは、政府統計を利用して大都市圏別にまで落とし込んで不法移民の居住地について推計した初めとの試みだそうだ。ポイントは次の通り(2014年)。
  1. 全米の不法移民数は約1,110万人。全人口の3.5%、外国生まれの住民の26%を占める。

  2. 20大都市圏に住む不法移民は約680万人で、全国の不法移民のうち61%に相当する。全米住民のうち、同じ20大都市圏に住む割合は36%しかないことから、不法移民の居住地が大都市圏に集中していることがわかる。

  3. 合法移民の65%が同じ20大都市圏に住んでいることから、不法移民も合法移民も同じような割合で大都市圏に居住している。

  4. 不法移民居住者数が多いのは、上からNew York, Los Angeles, Houston。また、州別に見ると、CA州(5大都市圏)、TX州(3大都市圏)が多い。

  5. ただし、Phoenixを除く19大都市圏で不法移民が居住しているのは、大都市圏の中心市の外(郊外)が大半である。

  6. 不法移民というと、田舎に住んで農業、精肉等に従事しているというイメージがあるが、多くの不法移民は大都市圏の郊外に住み、建設、サービス、レジャー施設などで働いている(レポート著者談)(NPR)。
トランプ大統領は、1月25日、不法移民が多く居住すると言われる地域("sanctuary jurisdictions")に対する連邦政府補助金を削減するとの大統領令を発している。多くの市長達は、大統領令に拘わらず不法移民を保護すると主張しているが、実際に不法移民が市の外(郊外)に住んでいるのであれば、保護の手立ては限られてくる。

※ 参考テーマ「移民/外国人労働者