3月10日 雇用回復の足枷 
Source :Beige Book (FRB) (Summary)
6日に公表されたFRBのBeige Bookでは、雇用回復の足枷となっている政策を2つ指摘している。
  1. 公的年金保険料率の引き上げ
  2. PPACAの本格施行
前者は消費に悪影響を及ぼす可能性があり、後者は雇用コストそのものを引き上げる可能性がある。なかなか力強い景気上昇局面に入れないまま、雇用の回復は遅れそうである。

※ 参考テーマ「労働市場」、「公的年金改革」、「無保険者対策/連邦レベル

3月9日 退職年齢の後ろ倒し 
Source :For U.S. Workers, No End in Sight (The Conference Board)
株は上昇し、失業率も下がり、経済指標は改善しているものの、退職年齢を後ろ倒しにしようと考えている労働者が増えているという。上記sourceはその背景を探っている。ポイントは次の通り。
  1. 多くの労働者が労働市場にとどまることになれば、労働力不足の解消や技術の伝承という意味ではプラスとなるが、個別企業にとってみると、人件費を抑制することが難しくなる。

  2. 45〜60歳の間に失業、報酬削減、住宅価格の急落などを経験した労働者の間で、退職年齢を後ろ倒しにしようとする傾向が強まっている。

  3. その最大の要因は、貯蓄の減少である。

    1. 株式市場の指標は回復してきたが、個人が保有する金融資産の総価値はまだまだ景気後退以前のレベルには回復していない。金融ショックの爪痕はまだまだ深く残っている。

    2. 強力な金融緩和の影響で利子率が低位に抑制されている。このため、DC等の残高が伸びていかない。

    3. 企業年金がDBプランからDCプランに移行している。確実な「年金額」を受け取る確率が大きく低下している。

    4. 平均余命が伸びているために、必要となる貯蓄目標額自体が高まっている。
従って、アメリカの労働者たちは働くことを止めるにやめられないのだ、との説明である。 太平洋のこちら側から見ている立場から、感じるところを2点。

  1. 見事に自立しているな、と感心する。寿命までの年数を考えて、必要となる分を蓄えようとしている。

  2. 老後はなるべく早く退職することが理想的、というライフスタイルが主流なのだろう。働くことに対する執着心が違うように感じる。


※ 参考テーマ「労働市場」、「DB/DCプラン

3月8日(1) 一時帰休は国境業務から 
Source :Furloughs bite for Customs workers (CNN)
強制支出削減の発動に伴い、7日、国境業務労働組合は、加入員24,000人に対し、一時帰休発動の可能性がある旨通知した(「Topics2013年3月5日 一時帰休の影響」参照)。また、関税を扱う業務に従事する労働組合も通知の検討をしている。

今回の一時帰休は、最大14日間、約6万人が対象になる可能性があるという。入国管理・関税業務が滞れば、人・モノの流れに支障が生じるほか、今やホット・イシューである不法入国問題が悪化する可能性が出てくる。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「移民/外国人労働者

3月8日(2) MA州:医療費抑制法への批判 
Source :Now for the Rest of the Story on Massachusetts Cost Control (Health Affairs Blog)
上記sourceは、MA州の医療費抑制法について、
  1. 関連する委員会が乱立し、官僚機構が複雑化している
  2. 供給サイドの抑制(提供体制や診療報酬の抑制)に重点が移り過ぎており、需要サイドからのアプローチが不足している
と指摘している(「Topics2012年8月4日 MA州:医療費抑制法案」参照)。

1点目の指摘にある関連委員会の乱立は凄まじい。医療費抑制法に関連する委員会の一覧表は次のようになっている。
これでは、どこの委員会が何を議論しているのかもわからなくなるし、仮にどこかの委員会が政策提言を出したとしても、それらの間の整合性を取るのは至難の業である。

ただし、今回のMA州医療費抑制法は、可決成立前から、これが決め手、ということはなく、"spaghetti approach"でいく、つまり何でもやってみよう、というやり方を採用している(「Topics2012年5月15日 Spaghetti approach:MA州」参照)。従って、委員会が乱立しても、そこから少しでも何かが得られればいい、ということなので、MA州政府、州議会とも、そうした批判は覚悟のうえであろう。

2点目は、医療費の伸びがGSPの伸びを上回っている以上、致し方あるまい。
いずれにしても、フロントランナーであるMA州は、医療費抑制のための試行錯誤に取り組んでいるのである。

※ 参考テーマ「無保険者対策/MA州

3月7日 MAP-21は効果なし 
Source :The new MAP-21 interest rates and pension funded status (Milliman)
2月11日、IRSより、2013年のDBプランの給付債務を計算するための利子率が公表された。上記sourceによれば、全体として約0.7%低下したとのことである。これにより、通常のDBプランの給付債務は膨らみ、株価上昇等により収入が改善しているにも拘わらず、積立不足は拡大するものとみられている。

給付債務計算のための利子率について、昨年、連邦議会はMAP-21法により、過去25年間の平均を用いるよう変更したところである(「Topics2012年7月5日 PBGC保険料大幅引上げ」参照)。この変更は、強力な金融緩和に伴い、長期金利が低下しているため、給付債務が急増しないようにという主旨で導入されたものである。

法案成立当初から、その給付債務抑制効果はいずれ剥落すると言われていたが、ふたを開けてみれば、1年ももたずに債務が膨らんでしまった(「Topics2012年7月9日 救済策の副作用」参照)。それほど、金融緩和が強力であったということである。

この結果、スポンサー企業は、追加拠出または給付削減措置を採らざるを得なくなる。DBプランを凍結しようとする企業も増えるだろう。強力な金融緩和の副作用が、DBプランの持続可能性を阻害している。

※ 参考テーマ「企業年金関連法制」、「DB/DCプラン

3月6日 雇用増なき利益改善 
Source :Recovery in U.S. Lifting Profits, Not Adding Jobs (New York Times)
アメリカ企業の収益は順調に改善している。それは株価に順当に反映されており、S&P 500でみると、既にリーマンショック前、景気の山の時点を上回る指標となっている。

一方、労働市場において、雇用の改善は捗々しくない。
株主と就業者、それと失業者または潜在失業者の間の溝は拡大しつつある。昨日紹介した、連邦政府職員の一時帰休者は、この溝を飛び越えさせられるかもしれない訳だ。やはり影響は大きいと思われる。

※ 参考テーマ「労働市場

3月5日 一時帰休の影響 
Source :How Furloughs Will Affect Pay and Benefits (GovExec.com)
3月1日、アメリカ連邦政府の強制支出削減策が発動された。どこまで深刻化するのかは、今後の連邦議会での交渉次第だが、このまま手を打たれずに時が過ぎていくと、連邦政府職員の一時帰休が現実のものとなってしまう。上記sourceによれば、早ければ今月か4月には発生するのではないか、という。

上記sourceでは、あくまでも一般論としながら、一時帰休が発動された場合の連邦政府職員の給与、ベネフィットに関する影響を示している。 こうしてみると、一時帰休が適用されると、連邦職員の収入は直撃を受ける。また、職場復帰した後も、一時帰休期間中に支払えなかった医療保険料などを負担しなければならない。消費に対して一定のマイナス効果となることは明らかである。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制

3月4日 同性婚裁判:2つの"amicus" 
Sources :Justices Should End California Gay Marriage Ban, U.S. Urges (New York Times)
Corporate Call for Change in Gay Marriage Case (New York Times)
連邦最高裁で争われている同性婚裁判について、2つの意見書が提出された。

一つは、2月28日、連邦政府が提出したもので、CA州Proposition 8に反対する、というものである。本件について、連邦政府は意見書を提出する責任はないものの、立ち位置を明確にするために、敢えて提出することになったようだ(「Topics2013年2月7日 Solicitor Generalの悩み」参照)。

もう一つは、2月27日、企業が連名で提出したもので、DOMAが企業活動に煩雑な手続きと多額のコストをもたらしている、という主張である。これは、DOMAの合憲性について争われている事案に関連するものである。この意見書には、合計200社以上の経営者達が署名しているそうで、同性婚の扱いが人事管理に影響を及ぼしていることが明らかになった。

今後、連邦裁判所で意見陳述が行われる。前者のCA州Proposition 8については3月26日、後者のDOMAの合憲性については3月27日が予定されている。

※ 参考テーマ「同性カップル