5月9日(1) 就労義務規定再チャレンジ
Source :States try to revive Medicaid work requirements, worrying some low-income Americans (NPR)
一旦はとん挫していたMedicaidの就労義務規定導入だが、州レベルで再チャレンジする動きが出ている(「Topics2021年12月26日 就業義務規定に終止符」参照)。

上記sourceでは、Arkansas州(AR)の州知事が就労義務規定を再導入しようとしていることを紹介している。ただし、前回の失敗を踏まえ、今回は、先ずは就職活動を支援することとし、それを拒否した場合にのみMedicaid加入資格を停止することとしている(「Topics2018年11月16日 AR州:就業義務が果たせない」「Topics2018年12月17日 AR州:就労報告を電話でも」参照)。

AR州は、連邦政府からの最終ゴーサインを待っている状況だという。また、OH州、AZ州も同様の認可待ちとのこと。さらに、SC州、ID州、IA州などが導入を検討中という。

他方、連邦議会でもMedicaid就労義務規定導入を目指して法案(H.R.1059)が提出されているが、その審議はほとんど進んでいない。仮にこの法案が成立すると、500万人が加入停止になるとの推計が出ている(The Urban Institute)。

※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル全般」、「無保険者対策/AR州」、「無保険者対策/連邦レベル

5月9日(2) EEOC委員指名
Source :Trump to name Florida DOJ attorney Brittany Panuccio to EEOC (HR Dive)
5月6日、トランプ大統領は、Brittany Panuccio氏(現在フロリダ州教育省顧問弁護士)をEEOC委員に指名した(PN141-33)。2024年7月に退任したKeith Sonderling氏の後任との位置づけとなるため、任期は2029年7月1日までとなる(「Topics2022年11月20日 EEOC保守派委員退任」参照)。

Panuccio氏の指名が承認されれば、
【2025年5月9日時点】
役 職氏 名政 党指名者任 期
Acting Chair
2025.1.20~
Andrea R. LucasRPresident Trump2020.9.22~2025.7.1
Commissioner(Charlotte A. Burrows)(D)(President Obama)(①2014.9.12~2019.7.1
②~2023.7.1
③~2028.7.1)
Commissioner(Jocelyn Samuels)(D)(President Trump)(①2020.10.14~2021.7.1
②2021.7.14~2026.7.1)
CommissionerKalpana KotagalDPresident Biden2023.8.9~2027.7.1
Commissioner(Brittany Panuccio)RPresident Trump ~2029.7.1(PN141-33
Acting General CounselAndrew RogersRPresident Trump
※ 参考テーマ「人事政策/労働法制

5月8日 FRB 3回連続据え置き
Source :The Fed holds interest rates steady as Trump's tariffs spark uncertainty (NPR)
5月7日、FRBは政策金利の据え置き(4.25~4.50%)を決定した。3回連続の据え置きである(「Topics2025年3月21日(1) FRB連続据え置き」参照)。反対票はなかったようだ(Statement)。トランプ大統領からの強烈な圧力も何するものぞ、という感じである。

今回も"Uncertainty about the economic outlook has increased further. "という表現を使っており、2ヵ月前よりも不確実性が高まっているとの認識が示されている。最悪のシナリオは、トランプ高関税がインフレと失業増加(=景気後退)の両方を引き起こすというものである。

トランプ大統領とFRBの睨み合いは、しばらく続きそうである。

※ 参考テーマ「労働市場

5月7日 保険料補助金:迫る刻限
Source :Historic Numbers Enroll in Health Insurance through State-Based Marketplaces, With Consumers Benefitting from Premium Tax Credits (NASHP)
2024年のExchange加入者は、過去最高の2,420万人に達したことは既に紹介した(「Topics2025年1月23日(3) Exchange加入者大幅増」参照)。そこまで増えてきた最大の要因が"Tax Credit"の拡充であった(「Topics2025年4月1日 PPACAの政策効果」参照)。これは、下図を見ても明らかだ。
上記sourceは、州ベースのExvhageシステムを構築している20州について、その加入状況、保険料の負担状況などをまとめたものである。いずれも、"Tax Credit"の効果が高いことがわかる。

State Marketplace Network
2026年保険料について、保険会社から州政府に申請する時期となっていることから、連邦政府は"Tax Credit"のレベルを早々に決める必要に迫られている(「Topics2024年7月29日 Exchange補助金のインパクト」「Topics2024年11月7日 大統領選と医療保険」参照)。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル全般

5月3日(1) 労働市場に若干の陰
Source :The U.S. job market cooled slightly as Trump's trade war heated up (NPR)
5月2日、4月の雇用統計が公表された(BLS)。4月の雇用増は17.7万人となり、微減ながら堅調な雇用増加が確認された(「Topics2025年4月5日(1) 労働市場堅調も不安も広がる」参照)。2~3月の合計で5.8万人の下方修正が行なわれた。
雇用者数は171.1M人となった(Table B-1. Employees on nonfarm payrolls by industry sector and selected industry detail)。業種別増加数は次の通り。相変わらずサービス業での需要が高い。上記sourceによれば、医療機関、レストラン、物流倉庫での雇用が増え、連邦政府の雇用が減少している。また、製造業工場では1,000人の減少であった。
失業率は4.2%で横ばい(Table A-1. Employment status of the civilian population by sex and age)。
労働市場参加率は今月も62.6%と若干上昇した。
25~54歳の労働市場参加率は83.6%と上昇傾向が続いている(BLS)。
労働市場に参加していない人の中で仕事を得たいと考えている人数は減少した。
長期失業者(27週以上)の失業者全体に占める割合は、23.5%と大幅上昇した。
労働市場の需給は依然として締まっている感じであるが、連邦政府の大量リストラ、トランプ関税発動の影響がこれから発現する。

※ 参考テーマ「労働市場

5月3日(2) 2026年HSA拠出限度額
Source :IRS Announces 2026 Limits for Health Savings Accounts, High-Deductible Health Plans, and Excepted Benefit HRAs (McDermott Will & Emery)
5月1日、IRSは2026年のHSA等の非課税拠出限度額を公表した(「Topics2024年5月14日(1) 2025年HSA拠出限度額」参照)。
HEALTH AND WELFARE PLAN LIMITS 2025 Δ 2026
HDHP - Maximum annual out-of-pocket limit (excluding premiums)
Self-only coverage $8,300 $8,500
Family coverage $16,600 $17,000
HDHP - Minimum annual deductible
Self-only coverage $1,650 $1,700
Family coverage $3,300 $3,400
HSA - Annual contribution limit
Self-only coverage $4,300 $4,400
Family coverage $8,550 $8,750
Catch-up contributions (ages 55 and older) $1,000 = $1,000
Excepted Benefit HRA
Annual contribution limit $2,150 $2,200
※ 参考テーマ「HSA

5月2日(1) 労働需給状況は安定
Source :Job Openings and Labor Turnover Summary (BLS)
4月29日、BLSが、3月末の求人数を発表した。3月末の求人数は719.2万人で、前月比3.9%の減少となり、減少傾向が続いている(「Topics2025年4月2日(1) 労働需給状況は変わらず」参照)。
労働力人口に占める求人数の割合は4.3%と低下した。
新規雇用数は541.1万人と微増だった。
失業者数/求人数は、1.0と上昇した。
3月の自発的失業(Quits)は333.2万人と微増。全体を見ると、上昇傾向に入っているように見える。
Quits level, Total nonfarm - 2019~2025年

Quits level, Total nonfarm - 2007~2025年
アトランタ連銀による時間給のデータは、3月も前年比4%台前半で概ね収束している。

Federal Reserve Bank of Atlanta's Wage Growth Tracker
※ 参考テーマ「労働市場

5月2日(2) ECI伸び率3.6%
Source :Employment Cost Index Summary (BLS)
4月30日、3月のEmployment Cost Index(ECI)が公表された。
  1. 雇用市場全体の雇用コストは前年同期比3.6%増と、若干の伸び率低下が続いている(「Topics2025年2月4日(2) ECI伸び率3.8%」参照)。
  2. 民間セクターの賃金の伸び率は、低下基調を続けている。
  3. 足許の3ヵ月前との比較では、公的部門、民間ともに低下基調が続いている。
    労働市場の落ち着きを反映している状況が続いている。

    ※ 参考テーマ「労働市場

5月2日(3) Auto-IRA Consortium
Source :Nevada Joins Interstate Auto-IRA Consortium Led by Colorado Treasury (PLANSPONSOR)
4月30日、Colorado州(CO)財務省は、同州のAuto-IRAプログラム(Colorado SecureSavings)にNevada州が参加すると表明した(Press Release)。

これで、Auto-IRA共同機構(Auto-IRA Consortium)の参加州は5州となった。 州で同様のシステムを共有することができれば、その維持、管理費が節約できるばかりでなく、新規参入者にとっても制度設計が容易になる。

Georgetown Universityによれば、上記5州のほかに、 している。

※ 参考テーマ「地方政府年金

5月2日(4) Nonbinary削除
Source :Set to open May 20, EEO-1 filing process will remove nonbinary categorization (HR Dive)
2024年の従業員に関する報告がまもなく始まる。100人以上の従業員を擁する企業は、従業員の性別、人種その他の情報を、EEOCに提供しなければならない(EEO-1 Component Data Collection)。今回の特徴は次の通り。
  1. 2024年に関するデータの提出期間は、5月20日~6月24日。昨年よりも5週間短縮されている。

  2. 企業側が"nonbinary"と認識している従業員を報告できなくなる。
2023年のデータ提出の際は、企業側の任意でコメント欄に記入することができていた(2023 EEO-1 Component 1 Data Collection Instruction BookletのP.15 "Reporting by Sex")。上記2.の措置は、これを禁じるものである。 データ提出のための情報は、今後、EEO-1 HOMEに掲載される予定だ。

こうなってくると、パスポート、運転免許証にも影響が出てくるのではないだろうか(「Topics2022年4月12日 Gender'X'」参照)。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「LGBTQ

5月2日(5) トランプ評価二極化
Source :More give Trump an F than any other grade for first 100 days, poll finds (NPR)
あまり真剣に分析するつもりはないのだが、あまりにも見事に二極化している世論調査だったので、備忘録として残しておく。記事のタイトルは「トランプ大統領にFを付けた人が多かった」とあるのだが、ちょっと言い過ぎではないか。わざと、保守派の見方をコメントしておく。
  1. 共和党支持者の中には、「A」を付けた人が50%超。
  2. 移民政策、外交、経済で共和党の8割以上が評価している。
医療政策の変更が現実的になってくると、また評価が変わってくるかもしれない。

※ 参考テーマ「政治/外交