9月30日 NLRB:共和党が多数 
Source :Newly Confirmed NLRB Member May Help Kill ‘Ambush’ Election Rule (SHRM)
9月25日、NLRB5人目の委員が上院で承認され、これでようやくフルメンバー体制が整った(「Topics2017年2月3日 NLRBのメンバー構成」参照)。
【2017年9月26日】
役 職氏 名政 党指名者任 期
ChairmanPhilip Andrew MiscimarraRPresident Obama2013.8.28〜2017.12.16
MemberMark Gaston PearceDPresident ObamaA2013.8.28〜2018.8.27
MemberLauren McFerranDPresident Obama2014.12.17〜2019.12.16
MemberMarvin E. KaplanRPresident Trump2017.8.10〜2020.8.27
MemberWilliam J. EmanuelRPresident Trump2017.9.26〜2021.8.27
事務局長Richard F. Griffin, Jr.(D)President Obama2013.11.4〜2017.11.3
NLRB委員の任期は原則5年だが、各委員の任期最終日を見るとわかるように、1年ずつずらしている。これから毎年一人ずつ交代していくことになる。

委員ではないが、年内に事務局長が任期終了を迎える。おそらく共和党寄りの人物が任命されるだろう。

次に、委員長の任期がやってくる。当然のように、共和党寄りの委員長が指名されるだろう。これは共和党から共和党なので、構成勢力に変化はない。

問題は、来年8月、中間選挙前に民主党寄りの委員が任期終了となる時である。その時点で、トランプ政権が共和党寄りを指名するのか、民主党寄りを指名するのか、注目である。

※ 参考テーマ「労働組合

9月29日 大統領令で州際保険販売 
Source :Trump plans to issue executive order allowing interstate sale of health insurance (FierceHealthcare)
トランプ大統領は、9月27日の記者会見で、大統領令により州際保険販売を認めることで準備を進めている、と表明した。
Q Are you considering an executive order?

THE PRESIDENT: I am considering an executive order on associations, and that will take care of a tremendous number of people with regard to healthcare.

And I'll probably be signing a very major executive order where people can go out, cross state lines, do lots of things, and buy their own healthcare.

And that will be probably signed next week. It's being finished now.

It's going to cover a lot of territory and a lot of people -- millions of people.
技術的には、法人が州際活動を行なっている場合にERISAが州法に優先するように、個人についても同様のことを認めるようにするらしい。

州際保険販売に対して、州の保険監督官は否定的だ。また、既に州際保険販売を認めている6州について行なった調査でも、ポジティブな効果は見出せていない(「Topics2012年11月5日 州際保険購入法の効果」参照)(「Topics2017年1月23日 州際保険販売の実現可能性」参照)。

来週にも大統領令に署名する予定だそうだが、どこまで進めることができるのか、見通しは暗い。

※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル全般

9月28日 保険料上昇率高まる 
Source :For 2018, Expect Steeper Health Plan Premium Increases (SHRM)
SHRMの中間集計によると、2018年の保険料の伸び率は4.3%と、2011年以来の最高の伸び率となりそうだ。企業努力を何も行なわない自然体であれば6.1%になるところを、制度変更等でここまで抑えた結果である。

そのうち、近年注目されている処方薬に関する伸び率だが、2017年よりは若干抑制されるものの、相変わらずの高い伸び率となりそうだ。
また、これは構造的な問題だが、小規模企業が提供する保険プランの保険料は大企業のそれを大きく上回っているという実態がある。こういう課題こそ、ExchangeやSHOPが解決策になろう(「Topics2014年6月14日 SHOP:スタートは斑模様」参照)。


※ 参考テーマ「医療保険プラン

9月27日 再挑戦を断念 
Source :GOP gives up on voting on Obamacare repeal, but bipartisan approaches remain stalled (LA Times)
Collins上院議員の反対意思表明を受け、上院共和党は再挑戦を断念した(「Topics2017年9月26日 再挑戦は失敗か」参照)。

上院、下院とも共和党議員達は、『オバマケア廃止を諦めない。来年再び挑戦する』と発言している。来年秋には中間選挙を迎えるため、特に下院共和党議員達はより大声でオバマケア廃止を訴えるだろう。アピールのための法案提出も相次ぐに違いない。

しかし、法案の影響として無保険者が百万人単位で出てきたり、保険料が高騰するような予測が示されれば、共和党内でも現実的な解を求めるべきとの意見が強まるだろう。やはり、連邦議会議員たるもの、しっかりと委員会で議論を重ね、本会議で堂々と論戦し、投票で意思決定していくべきだろう。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル

9月26日 再挑戦は失敗か 
Source :3 GOP Senators Oppose Graham-Cassidy, Effectively Blocking Health Care Bill (National Public Radio)
9月25日、Collins上院議員が『今の法案に賛成できない』と意思表明し、各紙が一斉に3人の共和党上院議員が反対に回り、GCPは暗礁に乗り上げそうだと報じた(「Topics2017年9月21日 上院共和党の再挑戦」参照)。Collins上院議員は、『これほどの大改正をこのタイムスケジュールで充分に審議できない。それに、法案の内容も日々変更が加えられている』として、審議過程が充分に確保できないことを大きな理由として挙げている。

実は、GCP提案議員達は、反対に回りそうな議員の出身州への連邦拠出金が大幅に増えるように法案内容を変更した。Collins上院議員のMaine州もその対象となっていたのだが、懐柔に失敗したようだ。 これまで反対の意思表示をしたのは次の3人。いずれも審議プロセスが不適切であることを理由にしている。CBOの推計もまだ公表されていない。 さらに、次の2人も反対に傾いているようだ。 デッドラインは今週末である。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル

9月21日 上院共和党の再挑戦 
Sources : Last-Ditch Effort By Republicans To Replace ACA: What You Need To Know (Kaiser Health News)
Winners and losers in GOP's last-ditch health overhaul (ABC News)
PPACA廃止について、上院共和党が新法案(Graham-Cassidy Proposal, GCP)を提出し、再挑戦を図っている。これまで3度の投票でいずれも賛成多数を得られず、共和党単独での法案作りは既に終わった話かと思っていたところ、正直驚いている(「Topics2017年7月28日 上院共和党の試行錯誤」参照)。しかも、下述するように、かなり過激な内容となっている。

上院共和党が焦って再挑戦を試みているのは、9月30日(連邦年度最終日)を過ぎると、予算関連法案を可決するためには60票が必要になるためである。それまでの間であれば、共和党が先に通した特別ルールにより、単純過半数で可決することができる。

上記sourcesに示されているGCPのポイントは次の通り。
  1. PPACAで導入された、保険加入促進のための財源措置(ただし医療機器課税は廃止)は残しながら、その財源を一定のルールに基づいて州政府に配分する。州政府はその財源を元に、医療保険制度を構築する。

  2. 連邦Exchange(Healthcare.gov)を廃止する。それに伴い、補助金や保険料補助金(tax credits)も廃止する。

  3. 個人の保険加入義務とペナルティ、企業の保険提供義務を廃止する。

  4. 保険給付内容に関する規制、既往症を持つ加入者・高齢者の保険料に関する規制については、州政府の裁量に委任する。

  5. PPACAに基づくMedicaid加入者拡充策を廃止し、それらに要した財源を新規加入者数に従って州ごとに配分する。ある意味、州政府の間の平等化を図る。

  6. これらの制度変更は2020年から。
大雑把に言ってしまえば、PPACAの柱となる制度を全部やめて、州政府に財源ごと丸投げしようということである。これは、共和党本来の州政府に権限を持たせるべきとのプリンシプルに適っている。

CBOは、来週までに冒頭のルールに適っているかどうかの判断を下すとしている。しかし、無保険者数や保険料水準に関する分析は、最低数週間が必要としている。上院共和党が採決しようとするならば、CBOの政策分析がないままに投票しなければならなくなる。

GCPに対する反発は大きい。

まずは民主党。ろくな議論もせずに法案の採決を強行することは認められないと主張している。

次に、Medicaid拡充を行なってきた州政府。連邦政府からの拠出金が大幅に削減される可能性が高い。超党派で10州の知事が、上院議員に対してレターを発出し、「超党派での合意を模索すべき」と訴えている。

最後に、"skinny repeal"法案に反対票を投じた共和党上院議員3人はどうか(「Topics2017年7月28日 上院共和党の試行錯誤」参照)。ここが最も注目される所である。彼らの現時点でのコメントは次の通り(National Public Radio)。 ※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル