2月8日 Tipped Minimum Wage 
Source :It Is Time to End Subminimum Wages (New York Times)
上記sourceをきっかけにいろいろ調べてみたところ、恥ずかしながら、連邦レベルの最低賃金(minimum wage)は3通りあることがわかった。 このうち、Tipped Minimum Wageについて、連邦レベル、州レベルで制度概要を確認しておく。 次にNew York州(NY州)を例にとって、Tipped Minimum Wageの構造をまとめてみる。
一般最低賃金Tipped Minimum WageMaximum Tip Credit備 考
連邦レベル$7.25/h$2.13/h$5.12/h$30/M以上
New York州$8.75/h$5.00/h$3.75/hFood service workers
$5.65/h$3.10/hService Employees
$4.90/h$3.85/hService Employees in Resort Hotels
このような最低賃金制度の中、NY州ではチップを受け取る労働者は被用者の1/4超を占め、しかも、貧困率も一般労働者の倍以上となっている(Community Service Society of New York)。
 
このような状況下、チップ労働者の処遇改善を図るため、NY州賃金審議会はTipped Minimum Wageの引き上げを勧告した。 いずれも州議会の承認が必要になるのだが、上記source、New York Timesの社説は、『もうTipped Minimum Wageなど廃止してしまえ』と主張している。廃止反対論者は、『Tipped Minimum Wageがなくなると雇用が失われる』と主張するが、チップとは無関係に州最低賃金を支払わなければならない7州(上述類型i.)においては、チップ労働者の時間当たり所得はその他類型州よりも高く、貧困率も低い(Community Service Society of New York)。Tipped Minimum Wageが存在するから貧困率が高まるのだ、と言っている。
 
7州だけで断じるのは統計上はどうかと思うが、先進的な地域であるNY州なのだから、試してみてもいいのではないだろうか。

※ 参考テーマ「最低賃金

2月7日 CA州不法移民免許証発行 
Source :More than 50,000 undocumented California immigrants get driver’s licenses (Sacramento Bee)
CA州が今年1月2~30日に発行した不法移民免許証は、57,000件となった(「Topics2014年12月15日 CA州:不法移民免許証発行間近」参照)。 当初の予想通り、大盛況のようだ。

※ 参考テーマ「移民/外国人労働者

2月6日 19回目の"doc fix"? 
Source :A Primer on Medicare Physician Payment Reform and the SGR (Brookings Institution)
18回目の"doc fix"の期限は今年3月末となっており、それまでに何らかの恒久措置が採られなければ、19回目の"doc fix"を実施せざるを得なくなる(「Topics2014年4月3日 17回目の"doc fix"」参照)。その際のMedicare診療報酬カット率は21.2%となっている。

上記sourceは、SGR(Sustainable Growth Rate)の問題点を挙げている(「Topics2013年11月2日 さらばSGR」参照)。
  1. 医療の質向上と何等関係性がない。

  2. 医療機関への支払いが不安定になる。

  3. 連邦議会が無駄な時間を費やすことになる。

  4. 本格的な改革を遅らせる。

  5. 加入者のアクセスを制限しかねない。

  6. 医療機関のMedicare提供を抑制しかねない。
最後の6点目は、下図を見れば一目瞭然で、2000年代に入ってからのほとんどの期間、SGRは実際の医療コスト上昇率を下回っている。このため、医療機関としては、Medicare提供がだんだん採算に合わなくなってきているのである。
Medicare診療報酬の本格的な改革に向けた課題は、次の2点に絞られている。 ※ 参考テーマ「Medicare

2月5日 FL州:PPACA優等生に 
Source :Why Florida Is No. 1 In Obamacare Enrollment Despite GOP Opposition (Kaiser Health News)

A snapshot of the "heat map" of a four-county area around Tampa
used by Obamacare outreach workers.
The darker the dots, the higher the percentage of enrollments
in that zip code. The darker the green color, the more residents
who received outreach.
(Source: Family Healthcare Foundation)
これまでPPACA優等生はCA州と認識してきた(「Topics2014年8月3日(1) CA州:無保険者減少は予想以上に」参照)。しかし、上記sourceによると、Florida州(FL州)はCA州を上回るExchange加入者を集めているそうだ。1月央時点で、CA州のExchange加入者数は120万人なのに対し、FL州のそれは127万人に達している。

ただし、無保険者割合は、CA州17%に対してFL州22%と、いまだFL州が劣勢である。

FL州と言えば、当初から州政府はPPACAに反対(「Topics2010年4月17日 連邦政府 vs 州政府」参照)してきたし、Exchangeも州立を拒否し、連邦立となっている。また、Medicaid拡充も決定していない。それなのに、Exchange加入者はCA州を上回っているのである。

上記sourceでは、FL州Exchange加入者が多い理由をいくつか挙げている。
  1. 州民に対する普及・広報活動が活発である。

    人が集まるところ(ショッピングセンターなど)で広報したり、相談を受け付けたりする活動を展開しているほか、加入者数と広報活動の実績を組み合わせた地図を作成して、次の活動焦点を絞っていく手法を取り入れている。

  2. 保険者間の競争が激しい。

  3. Exchange加入手続きを支援する団体が協調している。

  4. Medicaidを拡充していない。
上記sourceを読んでいると、結構皮肉な因果関係が浮かび上がってくる。PPACAに反対する政府高官、政治家によって州政府の職を追われた元職員が、一所懸命PPACAの効用を説いたり、手続きの手助けをしたりしていることが、1.や3.となって成果をあげている。

また、Medicaidを拡充していないために、一定の低所得者層はExchange保険プランに加入せざるを得ない状況に追い込まれているというのも、一見矛盾するような関係である。

それにしても、上記のような地図を作成するアイディアは、FL州に地域コミュニティ機能がかなり残されている証左だと思う。

※ 参考テーマ「無保険者対策/FL州」、「無保険者対策/州レベル全般

2月4日 2016年度予算教書 
Source :The President's Budget for Fiscal Year 2016 (The White House)
2月2日、2016年度予算教書が公表された。当websiteの関心事項は次の通り。 全体に、中産階級にアピールするために教育に力を入れている姿勢が顕著である。

また、最後の2つは、これまでのObama政権の看板政策で、それぞれMedicare、公的年金の持続可能性を高めると主張している。

※ 参考テーマ「一般教書演説

2月3日 CO-OPs:1年目の成果と課題 
Source :Health CO-OPs of the Affordable Care Act (JAMA)
上記sourceは、"Consumer-Oriented and -Operated Plan (CO-OP)"参入1年目の成果と、今後の課題をまとめている。

まず、1年目の成果として、次の3点を挙げている。
  1. 新規参入者の中では、最も多くの保険プランを提供した。

  2. 各州で提供された最低価格の保険プランのうち、37%がCO-OPsが提供した保険プランである。

  3. CO-OPsが参入した州の保険料は、参入していない州よりも9%低い。
しかし、Exchange機能の効率化に貢献しているかどうかの評価では、良い成果を挙げていると評価されているのは3州のみであり、5つの州は悪いとの評価になっている。 また、今後の課題として挙げられているのは、加入者数が想定を下回っていることである。CO-OPs加入者総数は想定の80%にしか達しておらず、個別のCO-OPsでは60%が目標に達していない。想定した加入者数が集まらないとなると、設立当初に連邦政府から借り入れた資金の返済が滞ることになりかねない。先のIA州CO-OPの破綻も、加入者数が想定を大幅に下回ったことが要因となっている(「Topics2015年1月16日 IA州:CO-OP破綻」参照)。

※ 参考テーマ「CO-OPs

2月2日 大学生の働く能力喪失 
Source :Why are so many college students failing to gain job skills before graduation? (Washington Post)
『今の大卒はなっとらん』という評価が増えているそうだ。今企業が大卒に求めている能力とは、 といった事項なのだが、アメリカの大学は学生に対して先にメニューを提示してしまうので、勉強の仕方を学んでいないとされている。

その結果、大学生の能力に関する自己評価と企業側の評価は大きくずれてしまっている。
学問としてクラスルームで学ぶことと、インターンや部活で体験することをうまくバランスさせることが求められているようだ。これはどこの世界でも共通する課題だと思われる。

※ 参考テーマ「教育

2月1日 Medicare:出来高払いを半分に 
Source :Better Care. Smarter Spending. Healthier People:?Paying Providers for V alue, Not Volume (CMS Press Release)
1月26日、CMSは、Medicare診療報酬のうち、出来高払い方式を今の80%から2018年までに50%に引き下げる計画を公表した。
また、その50%の出来高払い方式のうちの40%分についても、何らかの質の評価を加味した報酬体系を取り入れるとしている。

一方、出来高払い方式以外の報酬体系としては、包括払い(Bundled Payments)、ACOなどの他に、人口に応じた支払い(Block Payment)までも視野に入っている(下表 Category 4)。このblock paymentは、Medicaidの世界では議論されてきた課題(「Topics2011年4月7日 下院予算委員長提案」参照)であるが、Medicareにも取り入れようとする提案には驚きである。
Obama政権は、本気でMedicare支出抑制に取り組もうとしているのかもしれない。

※ 参考テーマ「Medicare」、「ACOs