10月31日 郊外の保険料は高め 
Source :Health Law Fails to Keep Prices Low in Rural Areas (New York Times)
上記sourceによると、郊外地域におけるExchangeで提供されるプランの保険料は高めになっているという。その主な理由として、次の2点を挙げている。
  1. 参入した保険会社数が少ない

    連邦立Exchangeが提供されているcountyは全米で約2,500あるが、その58%で、参入保険会社数は1〜2に過ぎない(New York Times)。

  2. CO-OPの参入が少ない(「Topics2013年10月9日 CO-OPとExchange保険料」参照)。
もちろん、保険会社の方は、今年は様子見で、来年以降の加入者数を見ながら考えていくだろう。しかし、医療機関が独占的になっている地域、住民が少ない地域、健康面で問題のある地域などは、もともと保険会社の参入があまり見込めない。こうした点を改善し、如何に保険会社の参入を増やし、保険料を抑制していくのか。PPACAの目指す所はまだ遠くにあるような気がする。

※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル全般」、「無保険者対策/連邦レベル」、「CO-OP

10月30日 公約違反 
Source :Health Policies Canceled in Latest Hurdle for Obamacare (Bloomberg)
個人保険プラン加入者を中心に、『現在の保険加入契約は継続できません』というお知らせが届けられているという。その規模は大きく、 とも言われている。実際、各州の保険会社も、万単位でこうしたお知らせを発出していることを公表している。

そして、このお知らせが、『Obama大統領は嘘つきだ』という国民感情を高めているという。

PPACAが成立する一年前、医療保険改革を提案するObama大統領は、各地の遊説で、繰り返し、次のように述べていた。
"Here is a guarantee that I've made. If you have insurance that you like, then you will be able to keep that insurance. If you've got a doctor that you like, you will be able to keep your doctor."
これらの証拠は、ご丁寧にも、White Houseのwebsiteに残されている(ビデオはこちら)。繰り返しこの言葉を大統領から聞いた国民は、今加入している保険プランは変わらない、と信じていた。そこに、こうしたお知らせが届いて、驚き、怒っている、という訳だ。

ただし、この一連の改革を見守ってきた当websiteとしては、一応、あり得べきObama大統領の弁明も理解できる。大統領は、正式な議会演説(2009年9月9日)で、次のように述べている(「Topics2009年9月10日 Game-time's over」参照)。
"First, if you are among the hundreds of millions of Americans who already have health insurance through your job, Medicare, Medicaid, or the VA, nothing in this plan will require you or your employer to change the coverage or the doctor you have. Let me repeat this: nothing in our plan requires you to change what you have."
ちゃんと、『企業提供プラン、Medicare、Medicaid、VAに加入している場合には』との条件を付けて、プランを変更する必要はない、としている。暗にではあるが、個人保険プランについては、変わる可能性があることを示している。

では、なぜ、このタイミングで、こうしたお知らせが発出されているのか。それは、PPACAにより、Exchangeで提供される個人保険、小規模グループ保険について、保険給付内容の義務付けを行なったからである(「Topics2013年8月29日 Bare Bones Health Plans」参照)。従来の保険プランで、この義務付けに適合していない保険プランはExchangeに提供できなくなる。従って、保険会社はそのプランを廃止することとし、お知らせを発出しているのである。

つまり、こういう事態になることはPPACAの規定上、想定の範囲内なのである。実際、当局は、『個人保険市場参加者の40〜67%は保険プランを切り替えざるを得なくなる』と推計していた(NBC News)。大規模なプラン切り替えが発生することは、政権としても分かっていたのである。

わかっていたのに国民には充分知らせなかったという意味では、罪は重い。しかも、10月1日以降、Exchangeのwebsiteがうまく運営されていないということが連日報道され、Exchangeでの保険加入が難しくなっていることを国民は知っている。お知らせを受け取った元加入者達にとっては、二重の意味で驚きである。
  1. 継続できると思っていた保険プランが廃止になる。

  2. トラブルが続いているExchangeで新たな保険プランを見つけ、加入しなければならない。
また、現在診療中の人達は、同じ医療機関、ドクターが新たな保険プランのネットワークに入っているかどうか、また、そのプランが手の届く保険料になっているのかどうか、という 心配も新たに発生する。

Obama政権にとって厳しい向かい風となることは間違いなさそうだ。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル

10月29日 NJ州:14番目の同性婚認可 
Source :New Jersey Becomes 14th State to Extend Marriage Rights to Same-Sex Couples (EBIA)
10月21日、NJ州最高裁が、州法で定める"civil union"では連邦最高裁のDOMA違憲判決と矛盾する、との判決を下し、2006年に同性婚を認めた州最高裁判決が確定した。これにより、NJ州は、DOMA違憲判決後、初めて同性婚を認める州となり、全体では14番目の同性婚認可州(+D.C.)となった。
By NCSL
同性カップルの法的ステータス
MarriageCivil UnionDomestic Partnership他州の法的ステータスの承認
施行日州 法州最高裁判決
Massachusetts2004.5.17A@Same-sex marriage
Connecticut2008.11.10A@Same-sex marriage
Iowa2009.4.24Same-sex marriage
Vermont2009.9.1Same-sex marriage
New Hampshire2010.1.1Same-sex marriage
Washington, D.C.2010.3.3○ (1992.6.11)Same-sex marriage
New York2011.7.24Same-sex marriage
Maine2012.12.29○→×→○**○ (2004.7.30)Same-sex marriage
Maryland2013.1.1Same-sex marriage
Washington2013.6.12009.7.26〜2014.6.30:異性間は62歳以上のみ
2014.7.1〜:同性間、異性間とも62歳以上のみ
異性婚配偶者と同等権利賦与
Same-sex marriage
Delaware2013.7.1Same-sex marriage
Rhode Island2013.8.1Same-sex marriage
Minnesota2013.8.1Same-sex marriage
California2008.6.17〜11.4,
2013.6.28〜
○→×→○*○ (2005.1.1)
異性間は62歳以上のみ
異性婚配偶者と同等権利賦与
Same-sex marriage
New Jersey2014.10.21○ (2007.2.19)(同性間のみ)
異性婚配偶者と同等権利賦与
○ (2004.7.10)
同性間、異性間とも62歳以上のみ
Same-sex marriage
Illinois○ (2011.6.1)
異性婚配偶者と同等権利賦与
同性婚を含めて認知
Hawaii○ (2012.1.1)
異性婚配偶者と同等権利賦与
同性婚以外は認知
Oregon○ (2008.2.4)(同性間のみ)
異性婚配偶者と同等権利賦与
Same-sex marriag
Wisconsin○ (2009.8.3)(同性間のみ)認知しない
Nevada○ (2009.10.1)
異性婚配偶者と同等権利賦与
同性婚以外は認知

* CA州最高裁判決○ → Proposition 8× → 連邦地方裁判所○ → 連邦第9控訴裁判所小法廷○→ 連邦最高裁判所上告棄却、控訴審確定(2013.6.26)
**ME州議会可決(2009.5)○ → 州民投票(2009.11)× → 州民投票(2012.11)○
※ 参考テーマ「同性カップル

10月28日 公私Exchange 
Source :Health insurance buying power: Public marketplaces vs. private exchanges (William Gallagher Associates)
上記sourceは、Public ExchangeとPrivate Exchangeの違いを充分理解したうえで、どのように利用するのかを決定した方がよいと主張している。制度的な違いは次の通り。
Public Marketplace Private Exchange
Federal premium subsidies available No federal aid available
Available for individuals and small businesses Available for employees of a certain employer
Post-tax premiums (for individuals) Pre-tax premium payment allowed
Offer a variety of carriers and plans Single carrier or multiple carrier models
Individual policies, not protected under ERISA Group coverage protected under ERISA
最近は、private exchangesの動きが派手だが、そのメリット・デメリットも充分理解しておく必要がある。上記sourceが挙げているメリット・デメリットは次の通り。
メリットデメリット
・企業側の支出が予見可能となる。
・従業員の選択肢が増える。
・ERISAの対象となる。
・従業員のコスト意識を高めることができる。
・管理費用を節減できる。
・逆選択を防ぐことができる。
・大規模企業の利用に限られている場合が多い。
・企業の関与が薄まる。
・運営管理で想定外の協力が必要となる場合がある。
・従業員教育が決定的に重要となる。
上表のデメリットで、「大規模企業に限定される」とあるが、個人・小規模企業を対象としたものも出てきている(「Topics2012年6月2日 民間版Exchange」参照)。Private Exchangeも進化しているのだろう。企業も従業員も、医療保険の世界の進化について、理解を深めていかなければならない。

※ 参考テーマ「Private Exchange

10月27日 病院で前払い増加 
Source :Patients Pay Before Seeing Doctor as Deductibles Spread (Bloomberg)
アメリカの病院で、窓口負担の前払いを求められることが多くなっているそうだ。 こうした動きが顕著になってきている理由の一つが、高免責制の保険プランが普及していることである。Kaiser Family Foundationの調査によると、個人加入で免責額が$1,000以上の保険プランに加入している勤労者の割合は、2007年の12%から2012年には34%に急増している。また、America’s Health Insurance Plansという保険会社団体の調査では、免責額が$1,250以上の高免責制プラン(IRSの定義)に加入している個人は、2005年の100万人から2013年には1,550万人となっている。

これだけ自己負担が必要となっていることにより、2011年に医療機関が回収できなかった医療費は$41Bと、1980年の$3.9Bの10倍以上になっている。また、これらの未回収費用のうち、25%は保険加入者が負担すべきものであったという。医療機関で前払いを求めるようになったのは、この25%を防ごうという考えからである。

医療機関での支払い手続きは面倒くさい。保険加入しているのかどうか、保険プランはどういうものなのか、自己負担の支払い方法はどうするのか。長い長い問診票への記入前に済ませなければならない。それが、前払いで支払い手続きを踏まないといけなくなっているということである。医師による診療がどんどん遠くなっているような感覚である。

※ 参考テーマ「HSA

10月26日 不法移民の現実 
Source :Crossing Over (日本語公式ホームページ)
雨の休日、上記sourceのアメリカ映画(2009年)を観た。あらすじを読むにはこちらのサイトの方が適切かもしれない。

ハリソン・フォード主演だが、とても抑制の効いた流れである。複数の移民、不法移民家族にまつわるストーリーが同時並行で進んでいく。

当websiteでも移民の話題を採り上げているが、やはり現実の不法移民の生き様を見せつけられると、深刻な想いが胸に刻まれる。この映画を観た高校生の双子も『面白かった』と感想を述べていた。

アメリカには不法移民が1,100万人いると言われている。彼らは、常にここで描かれた現実と直面しているのである。

映画中、主人公が何度か国境を越えてTijuanaに入るシーンがある。アメリカ側から国境を越えてメキシコに入る際の容易さと、国境を越えてから目の前に広がる光景の落差は、10年前に経験した時と変わっていないようである。この落差がある限り、不法移民の問題は続くことになるのだろう。

※ 参考テーマ「移民/外国人労働者

10月25日(1) Exchange:西海岸の好対照 
Source :A Tale Of Two State Exchanges (Kaiser Health News)
Exchangeのスタートに関し、西海岸の2つの州が好対照となっている。
Washington州Oregon州
Washington HealthplanfinderCover Oregon
・最初の2週間で25,000人が加入。
・うち22,000人弱がMedicaidに加入。3,000人強が民間保険プランに加入。
・加えて、37,000人が、最初の保険料支払い(12月23日まで)により加入手続きを終える予定。
・Exchangeを通じた保険加入はまだ一件もない。
・Websiteによる加入が可能となるまで最低でもあと2週間は必要。
WA州は、10月1日こそひどかったようだが、すぐにシステムが改修され、力強いスタートになったとの評価が定まっている(「Topics2013年10月11日 州立Exchangeは健闘」参照)。

どちらも州立Exchangeであり、州知事・州議会両院とも民主党が押さえているのに、隣同士が全く異なるパフォーマンスとなっている。CA州も順調な滑り出しとなっており(「Topics2013年10月11日 州立Exchangeは健闘」参照)、好調な両州に挟まれたOR州の担当者達は、気まずい思いをしていることだろう。そう言えば、今夏、OR州の担当者は『もう一年あれば』とため息をついていたような・・・(「Topics2013年7月10日 もう一年あれば・・・」参照)。

※ 参考テーマ「WA州」、「OR州」、「州レベル全般

10月25日(2) デッドラインを6週間延期 
Source :Consumers Who Sign Up For Health Coverage By March 31 Will Avoid Penalties Under New Obama Administration Plan (Kaiser Health News)
上記sourceによれば、10月23日、HHSは、『3月31日までに保険加入すれば、PPACAが規定するペナルティは課されない』と明言した。

このペナルティ回避のためのデッドラインは、つい最近、『2月15日』との統一見解が示されたばかりであった(「Topics2013年10月14日 デッドラインは2月15日」参照)。HHSは、『Exchangeのwebsiteの大混乱とは無関係』としているそうだが、連邦議員達からの圧力もあったようで、関係ないということはないだろう(「Topics2013年10月22日 完治には数週間」参照)。

加えて、PPACAの規定上、『無保険期間が3ヵ月未満であればペナルティは課されない』との表現になっているので、額面通り受け取っている国民が圧倒的多数いる中で、IRSが求める技術上の理由でそのデッドラインを早く設定する訳にはいかない、というのが本当のところであろう。

いずれにしても、こうした実務上のルールがふらついていることは国民にとって大迷惑である。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル

10月24日 力不足が続く労働市場 
Source :Statement by Chad Stone, Chief Economist, On the September Employment Report (Center on Budget and Policy Priorities)
連邦政府機関の一時閉鎖で発表が遅れていた9月の雇用統計が、10月22日、公表された。相変わらず、力強さの伝わってこない結果であった。
  1. 失業率は微減で7.2%となったが、「実感失業率」も同じ下がり方だったため、不本意ながらパートタイマーとなった者、就職を諦めた者等の割合は、6.5%近傍で横ばい状態が続いている。
  2. 9月の雇用者の増加数は、14.8万人。民間は126,000人増、連邦政府は6,000人減、州政府は22,000人増、地方自治体は6,000人増となった。

  3. 2010年2月以降の民間部門の雇用増総数は760万人、月平均で17.6万人となっている。一方、政府部門は同時期に59万人減らしている。民間部門はそれだけ増えてはいるものの、景気の山であった2007年12月と較べると、依然として130万人少ない状況である。

  4. 労働参加率は63.2%と、今年初めからは0.4%ポイント下がっており、この低落傾向は止まっていない。

    Labor Force Statistics from the Current Population Survey - BLS
    Data extracted on: October 22, 2013 (10:09:53 PM)

    Series Id:           LNS11300000
    Seasonally Adjusted
    Series title:        (Seas) Labor Force Participation Rate
    Labor force status:  Civilian labor force participation rate
    Type of data:        Percent or rate
    Age:                 16 years and over

  5. 27週以上失業状態の者は、減ってはきているものの、依然として歴史的にみて高水準にある。労働力全体のうち2.7%、失業者全体のうち36.9%を占めている。
上記sourceは、最後の5.をとらえて、失業給付の延長策を止めるべきではない、と主張している(「Topics2013年10月8日 失業保険の効力低下」参照)。

※ 参考テーマ「労働市場」、「解雇事情/失業対策

10月23日 OH州:奇策でMedicaid拡充 
Source :Ohio governor John Kasich's Medicaid expansion passes in 5-2 vote (AP)
21日、Ohio州の"Controlling Board"は、Medicaid拡充と連邦政府からの負担金受け入れについて投票を行い、5対2の賛成多数で可決・承認した。これにより、OH州は、2014〜2015年の2年間、PPACAに規定するMedicaid加入資格の拡充を行ない、それに必要となる連邦政府負担金を受け入れることになる。

この"Controlling Board"とは何か。州政府機関の日々の歳出について、必要があれば承認を与える機能を持っていて、州議会議員6名とOBM職員(事務局長)の7名で構成されている。

OH州議会は、両院とも共和党が圧倒的多数を占めている。そのために、州知事(R)がMedicaid拡充を提案しても通らなかったのだが、州知事は、HHSの了承を取り付けてから、連邦政府からの負担金の使い方だからということで、この"Controlling Board"の了承を取りつけ、Medicaid拡充のお墨付きをもらった形にしたのである。"Controlling Board"の党派構成は共和党4、民主党2だから、共和党議員のうち2人は賛成に回ったことになる。

これに対して、共和党議員達は怒っており、間違いなく訴訟に持ち込むことになりそうだ。

それでも、行政執行は粛々と進められるようであり、今月から加入申し込みを始め、来年1月から保険給付が受けられるようにしたいとしている。
Exchange & Medicaid (2013.10.21.現在)

State Health Insurance Marketplaces (CMS)
Health Reform's Medicaid Expansion (Center on Budget and Policy Priorities)
Status of State Action on the Medicaid Expansion Decision (Kaiser Family Foundation)
※ 参考テーマ「無保険者対策/OH州」、「無保険者対策/州レベル全般

10月22日 完治には数週間 
Source :Contractors See Weeks of Work on Health Site (New York Times)
21日、Obama大統領が、連邦政府のwebsiteを通じたExchange加入がうまくいっていないことを認めた。Exchangeを通じた保険加入手続きがスムーズになるには、まだ数週間程度かかるらしい。連邦政府は11月1日までに何とかならないか、と業者に相談したが、業者側からすると、『とんでもない』というのが現実感覚だそうだ。

連邦政府担当者は、『既に50万人程度がExchangeを通じて申請手続きを行なった』と公言しているが、では、『そのうち何人が正式に加入者となったのか』との問いには答えられない。実際、保険会社の経営者達は、『実際に保険加入手続きが完了したとして受け取ったファイルは、まだまだ少ないまま』と述べている。

このように、websiteによる加入手続きがスムーズに進まない原因として、上記sourceは次の2点を指摘している。
  1. CMSが、データベースのデザインとソフトウェアを別々に発注し、しかも、全部で55の業者に分割発注していた。

  2. 最近の10ヵ月間に、Exchangeのためのハードとソフトの仕様を、合計7回も変更している。
おそらく、残された期間が短い中で、何とか10月1日に間に合わせようとして、たくさんの業者に細分して発注したのであろう。申請書を短くしろ、という大統領府からの要請も、影響しているであろう(「Topics2013年5月3日 Exchange申込用紙の簡素化」参照)。

そうなってしまった最大の要因は、州立Exchangeを創設した州が、予想以上に少なかったということに尽きる。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル全般

10月21日 年金buyoutはタイミング待ち 
Source :Pension buyouts expected to surge — but not yet (Pensions & Investments)
企業年金プラン(DB)は、"de-risk"の観点から、凍結、一時金払い、民間保険会社への移管(buyout)などの措置が採られつつある。

そのうち、buyoutについては、2012年にGM、Verizonなどが実施したが、今年は様子見の企業が多く、条件が良くなるタイミングを見計らっているという状況だという(「Topics2012年6月6日 一時金払い:GM先行」「Topics2012年10月24日 Pension Buyoutへの警告」参照)。

そのような状況となっている理由は次の2点。
  1. 金利上昇が期待されている。

  2. 積立比率の上昇が期待されている。
1.の金利が上昇すれば、給付債務の割引現在価値が縮小し、資産の運用益が増え、2.の積立比率が上がる。また、最近の株高も好影響をもたらしている。

このように、積立比率が上昇することが見込まれれば、今すぐ売却するよりも、売却時のコストが少なくて済む。民間保険会社に売却する際には、当然のことながら、積立不足分は穴埋めしなければならないからである。従って、積立比率の高いプラン、凍結プランが先ずは対象となるだろう。

専門家は、売却条件が改善してくる今後数年間に一気に進むのではないかと見ている。売却規模の見通しは次の通りと示されている。 まさに、企業年金プランに大きな地殻変動が起きようとしている。

※ 参考テーマ「DB/DCプラン