7月31日 医療保険改革法に懐疑的 
Source :Poll Finds Americans Gloomy On Some Promises In Health Law (Kaiser Health News)
上記sourceは、KFFが行った世論調査結果のサマリーである。特徴的なところを2点まとめておく。
1. 約半数の人が、医療保険改革法は無保険者対策として有効であろうとみているが、一方で、同じ数の人が、コスト抑制はできないとみている。この辺りは、同法の審議過程で何度も繰り返し指摘されてきたところである。

それよりも驚きは、消費者保護について、8割の人が改善しないとみているところである。ここには、既往症を理由とした保険加入拒否の禁止、生涯給付上限の撤廃などが含まれている。

Obama政権の広報が行き渡っていない実態が明らかとなっている。
 
2. 財政健全化策の一つとして、社会保障関連の歳出削減が検討されている。しかし、それらの大幅削減に対しては根強い反対があることがわかる。

なお、28日夜に予定されていた下院の債務上限引き上げ法案は、共和党内の賛成票が確保されない見通しとなったために、投票延期となった。歳出の大幅削減を不可欠とする「茶会」の強硬路線は、世間の認識とはかなり距離があるようだ。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「社会保障全般

7月30日 保険加入と労働組合 
Source :The Impact of the Recession on Employment-Based Health Benefits: The Case of Union Membership (EBRI)
労組があれば、職場を通じた医療保険プランへの加入割合は高くなるし、従業員の負担増も抑制される。ただし、民間企業では労組加入率が大きく低下しており、公的部門でも若干減少傾向がみられる。保険加入に関する労組の力は、その及ぶ範囲が徐々に狭まっている。 それにしても、民間労組の加入率の低下は著しいものである。

※ 参考テーマ「医療保険プラン」、「労働組合

7月29日 州政府の保険料監督をレビュー 
Source :Federal Auditors Will Soon Review Health Insurance Rates in 10 States (New York Times)
上記sourceによると、近々、CMSが、10の州の保険監督当局が行っている保険料監督についてレビューを行うという。保険料引き上げに関する監督ルールは、さる5月に定められたばかりである(「Topics2011年5月25日 10%の壁」参照)。このルールに基づいて、CMSがレビューを行うというのだが、州政府側には戸惑いも見られるようである。
Statesレビュー主体個別事情・反論
Small-group plansIndividual plans
Alabama連邦政府連邦政府
Arizona連邦政府連邦政府
Idaho連邦政府連邦政府保険料に関係する情報は、州法上は企業秘密であり、連邦政府が要求する情報公開はできない。
Louisiana連邦政府連邦政府州法で医療保険料を規制する権限が与えられていない。
保険会社に保険料を報告する義務がないため、引き上げが適正かどうかわからない。
Missouri連邦政府連邦政府州法上、保険料引き上げの申請を求めていないし、それを認可するかどうかの権限もない。
Montana連邦政府連邦政府保険料監督権限を州政府に賦与する法案が廃案となった。
Wyoming連邦政府連邦政府連邦政府の決定は州政府が医療保険市場を運営する自由を奪うものである。
Iowa連邦政府州政府CMSの決定に反発しており、再考を要求。
連邦政府の決定は恣意的である。
Pennsylvania連邦政府州政府州政府には、小規模グループ保険の保険料をレビューする権限がない。
Virginia連邦政府州政府州政府には小規模グループ保険の保険料を規制する権限がない。
元々、原則は、医療保険プランの監督権限は州政府にある。そこに、連邦政府が手を突っ込もうとしているのだから、反発は当然だろう。一方で、州政府が小規模グループ保険市場や個人保険市場を(言葉は悪いが)野放しにしてきた面もある。

それにしても、州政府が自主的にレビューを連邦政府に委ねるのであればわかるが、連邦政府の方から積極的に介入するというのは想定していなかった。

ここでも、連邦政府と州政府の緊張関係が生まれつつある。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル

7月28日 喫煙への許容度 
Source :Americans Don't Want Biases in Hiring Smokers, the Overweight (Gallup)
世論調査には、時々面白いものがある。上記sourceは、喫煙、肥満に対するアメリカ社会の許容度を示している。

大雑把に結果をまとめてみると、次のようになる。
質問項目喫 煙肥 満
〜〜を理由に追加保険料を課してよいか×
〜〜を理由に企業が雇用を拒否してよいか××
公共の場は禁煙にすべきか
法律で公共の場を禁煙にすべきか×
喫煙、肥満ともに、雇用を拒否する理由にするのは『差別』という認識があると考えられるが、雇用された後、喫煙を理由に高い保険料を課してもよい、という判断である。これは、
  1. 喫煙が病気を引き起こす原因になるとの認識が共有されている
  2. 既に喫煙に対する追加保険料が一般化している
といったことが背景になっていると考えられる。

一方、肥満については、本当は様々な生活習慣病の原因になるということはわかっているが、自分のお腹を見ると保険料を高くされては困る、と思うのであろう。

別の言い方をすれば、『禁煙はできるが減量はできない』というアメリカ人が多いのであろう。

※ 参考テーマ「医療保険プラン

7月27日 NLRB権限抑制法案 
Source :Protecting Jobs From Government Interference Act (H.R. 2587)
経済界との対立が激しくなっているNLRBに対し、19日、その権限を抑制する法案が提出された。しかも、提出した議員は、SC州選出の共和党下院議員。共同提案者の中には、同じくSC州選出の共和党下院議員4人が含まれている。

法案の内容は至って簡単で、NLRBが、企業に対し、
  1. 雇用、生産、生産ライン、設備の回復を命じる
  2. 生産活動の移転を無効にする
  3. 設備投資を要求する
権限を認めない、というものである。

つまり、Boeing社のSC工場を閉鎖させたり、WA州に生産ラインを戻させたりはしないぞ、と言いたいのである(「Topics2011年7月3日 NLRB vs Boeing」参照)。民主党が多数を占めている上院で可決される見込みは低いが、こうした法案提出が地元のSC州へのアピールになる。逆に、SC州選出で唯一の民主党下院議員にとっては、苦しい立場に追い込まれることになる。

※ 参考テーマ「労働組合

7月26日 MLRの特例申請(2) 
Source :Medical Loss Ratio (CMS)
連邦医療保険改革法で定められたMLR(Medical Loss Ratio, 償還割合規制)(個人保険プラン:80%)について、新たに、KY、ND、IAの3州からの特例申請に対する結論が示された(「Topics2011年5月29日 MLRの特例申請」参照)。これまでの結果をまとめると次のようになる。
州・地域申請内容HHS決定
2011年2012年2013年2011年2012年2013年
Maine 65%65%65%65%65%65%
New Hampshire 70%70%70%72%75%80%
Nevada 72%--75%--
Kentucky 65%70%75%75%80%
Florida 保険会社65%
HMO 70%
保険会社65%
HMO 70%
保険会社65%
HMO 70%
(審査中)
Georgia 65%70%75%(審査中)
North Dakota 65%70%75%80%(特例申請却下)
Iowa 60%70%75%67%75%80%
Louisiana 70%75%-(審査中)
Guam 65%65%65%(審査中)
Kansas 70%73%76%(審査中)
Delaware 65%70%75%(審査中)
Indiana 65%68.75%72.5%(審査中)
2014年:76.25% 2015年:80%(審査中)
やはり、2013年には80%に持って行きたいという政権全体の意思が感じられる。2012年11月の大統領選を念頭に、その前にできる限り医療保険改革の成果を実感してもらいたいということなのだろう。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル

7月22日(1) 超党派G提案の中身は? 
Source :Gang Of Six Deficit Plan: Executive Summary (Kaiser Health News)
連邦債務上限引き上げのタイムリミットが8月2日に迫る中、下院共和党は、大幅な財政支出削減策を盛り込んだ法案を可決した。Obama大統領は拒否権を発動する意向を表明しており、対立はますます激化している。

そうした中、今週に入って、Gang of Sixが復活し、上院両党議員に妥協案を提示した。上院では支持が広がっており、Obama大統領も評価している。しかし、肝心の中身はなかなか報道されず、おそらく上記sourceが初めてと思われる。

当websiteとしての関心事項に関する言及は次の通り。 他の政策分野についても同様なのだが、歳出削減のための具体策がなく、すべてを先送りする内容となっている。これでは、下院共和党を突き動かしている財政健全化理念を揺さぶることはとてもできまい。Gang of Sixの提案としても相当後退した感がある(「Topics2011年4月13日(2) Obama vs 上院6人組」参照)。とにかく債務上限引き上げだけを先行させましょうと言っているのに等しいのではないか。

本当にこれで上院議員達や大統領が支持しているのだろうかと首を傾げたくなる。

※ 参考テーマ「社会保障全般

7月22日(2) DOMA廃止法案 
Source :Obama backs repeal of Defense of Marriage Act (Los Angeles Times)
民主党のDianne Feinstein上院議員が、DOMA廃止法案を提出した。しかし、 などから、同法案の成立見込みはまったく立っていない。

にもかかわらず、Obama大統領が同法案への支持表明を行なったという。上記sourceによれば、連邦議会のどちらの院でも可決していないような段階から大統領が支持を表明するのは異例だそうだ。

NY州同性婚法案成立の際に、Obama大統領は同性婚に対して消極的であると、リベラル派から批判された(「Topics2011年7月1日 同性婚議論に与える影響」参照)。今回のDOMA廃止法案支持表明は、そうした批判を打ち消すための政治ショーの色彩が濃いようである。いや、こうした政治的パフォーマンスを演じるために、大統領側からFeinstein上院議員に法案提出を依頼した可能性が高い。

※ 参考テーマ「同性カップル