7月30日 UAL労組が告訴 Source : 告訴状

UALが年金プランへの拠出を停止したことに対して、労組が告訴を行った。年金プランの受託者責任を果たしていないことを訴えたものである。訴えた労組は、International Association of Machinists and Aerospace Workersで、整備工を中心とした労組である。以前にも述べたが、整備工はつぶしが効くため、航空会社にしがみつくという意識が低い。会社が倒産すれば、他の業種も含めて転職先があるのが強みだ。そうした強硬な組合が告訴という手段に訴えたのは、当然といえば当然である。

7月29日 HSA税制が確定 Source : IRS Issues Final Rules for HSAs (Galen Institute)

「7月27日 HSA滑り出しは好調」で、『法案可決が年末であったために、2004年の導入に間に合った企業は少ないが、2006年までにはHSAを提供しようと考えている企業は、4分の3にのぼると見られる』との概要を紹介したが、それもそのはず、税制の詳細が確定していなかった。上記sourceは、その概要、ならびに最終ガイドラインへのリンクが張ってあるので、マニアの方はご覧になってみてください。

税制が確定したことで、保険会社や、HSAを利用した医療保険プランの詳細が固まり、企業へのプラン提示がこれから行われることになる。10月のオープン・シーズンを控えていることを考えれば、もうぎりぎりの時期に来ている。

HSAが大化けするかどうか、これからの実務の詰めが鍵となろう。

7月27日 HSA滑り出しは好調 Source : Health Savings Accounts: Myth vs. Fact (National Center for Policy Analysis)

昨年末に成立したMedicare改革法(「Topics2003年12月3日 Medicare改革法の企業への影響」参照)により、今年から導入された、HSAが順調な滑り出しを見せている。

そもそも、Medicare改革法は、高齢者医療保険で処方薬を保険対象にすることを主旨としてものの、その副産物であるHSAが、思わぬ効果をもたらしている。最も大きなインパクトは、無保険者対策に効果をもたらしている点である。

上記sourceは、NCPAというシンクタンクが、Assurant Health(医療保険会社)、eHealthInsurance(医療保険、情報提供会社)、Mercer Human Resource Consultingなどのデータから、HSAの導入状況を分析したものである。その概要は、次の通り。

  1. HSA加入申請者の43%が、無保険者であった。

    FIG1


  2. eHealthInsursanceのHSA加入申請者の32.8%が、加入前6ヶ月間、無保険であった。

  3. HSA購入者の46%が、年収5万ドル以下であった。

  4. HSA購入者の70%が、40歳以上であった。

    FIG2


  5. 法案可決が年末であったために、2004年の導入に間に合った企業は少ないが、2006年までにはHSAを提供しようと考えている企業は、4分の3にのぼると見られる。
本当にこんなにハッピーな制度となり得るかどうかは、今年秋のオープン・シーズン、つまり来年の医療保険を見直す時期になれば、明らかになってくるだろう。その時期とは、ちょうど大統領選挙の投票日の頃となる。こんなところまで、Bushチームは計算していたのだろうか。

7月26日 UALの年金拠出停止 Source : UAL Corporation Reaches Agreement to Amend Dip Financing Credit Facilities (UAL)

やはり、UALは、Chapter 11から脱出するまで、年金への拠出は停止することにしたようだ(「Topics2004年7月15日(2) UALが年金拠出を延期」参照)。

上記sourceにあるように、UALのプレスリリースによれば、当面の資金繰りについて債権者たる金融機関から新たな融資を受ける条件として、UALは、再建が成立するまで、年金への拠出を停止する予定だ。

もちろん、これによって、UALの資金繰りはかなり楽になるし、再建計画に対する債権者の信認も得やすくなる。

しかし、これで、UALのDBプランは、PBGC行きが確実となった。再建計画で、年金プランが考慮されることはないだろうと思われる。仮にUALの4つの年金プランがPBGCに吸収されることになると、積立不足規模としては、史上最大の$7.5Bとなる見込みである(過去最高は、Bethlehem Steelの$3.6B)(The New York Times)。

また、以前にも述べた通り、他の航空会社も、UALの動向を見守っており、UALの年金が停止となれば、右に倣え、という航空会社が出てくることも予想される。そろそろ、支払保証制度の限界が来ていると見るべきではなかろうか。

7月24日 下院が同性婚禁止法案を可決 Source : Marriage Protection Act of 2004 (HR3313) (The House of Representatives)

22日、下院は、同性婚禁止法案を、233対194の大差で可決した。

とはいっても、内容は、直接同性婚を禁止するものではなく、連邦裁判所がthe Defense of Marriage Act(「Topics2004年1月14日 Bushチームの結婚キャンペーン」参照)に関する解釈等に関与することを禁止する、というものである。

連邦裁判所の権限を制限する内容であるために、同性婚賛成者ばかりでなく、司法関係者からも反対が強いようである(Washington Post)。

当然だろう。改選が近くなると、こうしたポピュリズムが目立つようになるのが、下院の特徴だ。特に、今の時期は、夏休み直前の駆け込み的な要素がある。

先のストック・オプション会計に関する議決も同様と見ておいた方がよさそうだ。

7月23日 月刊テーミス

月刊テーミスから取材を受けていましたが、その一部が最新の8月号で紹介されました。記事のテーマは、アメリカの労働組合の経営努力です。日米とも、労働組合の加入割合がどんどん低下していますが、アメリカの労働組合、特にナショナル・センターであるAFL-CIOは、経営努力を重ねている点を強調しています。

お時間がありましたら、月刊テーミス8月号『労組はサラリーマンの「重荷」になった』(P.102)を読んでみてください。

7月21日 ストック・オプション会計法案 下院で成立 Source : FINAL VOTE RESULTS FOR ROLL CALL 397 (The House of Representatives)

20日午後3時、下院で、ストック・オプション会計法案(HR 3574)が、312対111の圧倒的多数で可決された。法案内容は、「Topics2004年6月18日(1) 連邦議会 vs FASB」の通りである。これにより、焦点は、上院での同法案の扱い(「Topics2004年6月22日 FASBの援軍」参照)に移る。

AP電によれば、同法案の賛成・反対に動いている企業、団体は、次の通り。

賛成派:
Agilent Technologies
Cisco Systems
Coors Brewing
Dell
General Mills
Intel
Sun Microsystems
Nasdaq Stock Market
National Association of Manufacturers
U.S. Chamber of Commerce
Business Roundtable
反対派:
Consumers Union
Federal Reserve Chairman Alan Greenspan
Securities and Exchange Commission Chairman William Donaldson
Billionaire investor Warren Buffett
The Big Four accounting firms
Institutional Shareholder Services