4月9日 学生ローン債務免除新案
Source :Biden seeks student debt relief for millions (NPR)
4月8日、バイデン政権は、新たな学生ローン債務免除策を公表した(The White House)。

債務免除対象者は、次の4類型
  1. ローン返済を開始した時点よりも、現在の負債額が大きくなっている者。
    利払い免除額は最大$20,000で、所得制限はない。さらに、年間所得が$120,000以下(単身。既婚の場合は夫婦で$240,000以下)の場合には、債務全額を免除。申請は不要。

  2. 20年以上前に返済を開始した者。
    この場合にも、自動的に債務免除となる。

  3. 既存の免除プログラムで否認された者(「Topics2023年7月18日(2) 学生ローン債務の過誤是正」「Topics2023年2月22日(2) SAVE Plan債務免除開始」参照)。また、未申請の者。この場合も自動的に債務免除となる。

  4. 経済的に困難な状況にある者。
これは、昨年6月に連邦最高裁に否認された救済策に対する代替案である(「Topics2023年7月1日(2) 学生ローン返済免除案敗訴」参照)。もちろん、11月の大統領選を意識していることは間違いない。

今後は、パブリックコメントを求めた後、最終案を公表する予定だ。当然、司法の判断を求められることにもなろう。大統領選に間に合うのかどうか、というぎりぎりのタイミングである。

※ 参考テーマ「教 育

4月6日 足許雇用増上昇続く
Source :Construction boom helps fuel job gains in March (NPR)
4月5日、雇用統計が公表された(BLS)。3月の雇用増は30.3万人と、市場の予測を大幅に上回る増加となった(「Topics2024年3月9日 雇用増落ち着きか」参照)。足許上昇傾向が続いているように見える。
雇用者数は158.1M人となった(Table B-1. Employees on nonfarm payrolls by industry sector and selected industry detail)。業種別増加数は次の通り。相変わらずサービス業での需要が高い。この図でもわかるのだが、上記sourceによると、建設業での雇用増が目立っている。3月の建設業での雇用増数は39,000人。住宅ローン金利が6.8%もありながら、住宅建設での雇用増が14,000人もある。建設業では、今後半年間は雇用増が続くと見込んでいる業者が48%にものぼっている。住宅価格の上昇が続いていることも、この自信につながっているのだろう(「Topics2024年3月13日 CPI足許上昇」参照)。他に、医療、レストラン、地方自治体での雇用増が目立つ。
失業率は3.8%と低下した(Table A-1. Employment status of the civilian population by sex and age)。相変わらず4.0%を下回っている。
労働市場参加率は今月62.7%に上昇。
25~54歳の労働市場参加率は83.4%とわずかに低下したものの、高水準で推移している(BLS)。
労働市場に参加していない人の中で仕事を得たいと考えている人数は減少が続いている。労働供給制約の一因になっているようだ。
長期失業者(27週以上)の失業者全体に占める割合は、19.5%と上昇した。
雇用増加が強く、政策金利引き下げは少し遠のいている(「Topics2024年3月21日(1) 政策金利据え置き5回目」参照)。

※ 参考テーマ「労働市場

4月3日(1) 転職組強気が続く
Source :Job Openings and Labor Turnover Summary (BLS)
4月2日、BLSが、2月末の求人数を発表した。1月末の求人数は875.6万人で、前月比微増となった(「Topics2024年3月7日(2) 転職組は依然強気」参照)。
労働力人口に占める求人数の割合は5.3%で横ばい。
新規雇用数は581.8万人の微増となった。
失業者数/求人数は、0.7で横ばいだった。
2月の自発的失業(Quits)は348.4万人と、微増となった。
Quits level, Total nonfarm - 2019~2024年

Quits level, Total nonfarm - 2007~2023年
こうした中、2月の時間給をみると、引き続き5%前後の伸びが続いている(全体で5.0%増)が、転職組は5.3%増となった。

Federal Reserve Bank of Atlanta's Wage Growth Tracker
転職に伴う賃金上昇率は依然として高く、強気姿勢が続いていることが確認できる。

※ 参考テーマ「労働市場

4月3日(2) 2025年MA支払実質減
Source :CMS finalizes Medicare Advantage rate cut (Modern Healthcare)
4月1日、CMSは、2025年のMedicare Advantage(MA)に対する診療報酬支払いを発表した(CMS Press Release)。政府からの支払総額は3.7%増えるものの、昨年から採用しているリスク調整が3.86%と見込まれているため、実質的にはマイナス0.16%の改定となる(Fact Sheet)。2024年もマイナス改定(-1.12%)となっているため、2年連続の実質マイナス改定となる(「Topics2023年4月5日(2) 2024年MA診療報酬」参照)。
2024年2025年

これに対して、MAを提供する保険会社は怒っており、 などによって対抗する、と述べている。

※ 参考テーマ「Medicare

4月2日 Exchangeで不正アクセス
Source :ACA health insurance plans are being switched without enrollees' OK (NPR)
連邦立Exchangeで、加入者本人が知らない間に、勝手に保険プランに加入されていたり、保険プランが変更されたりしているという問題が起きている。特に、Florida州、Georgia州、Texas州で多発しているそうだ。どうも、保険加入に伴うコミッション($20~25)を目的に、保険代理店(人)が勝手に加入させたり、プラン変更したりしているらしい。

勝手に加入先を変更された加入者は、これまで利用していた病院が使えなくなったり、処方薬をもらえなくなったりして困っている。場合によっては、税金の追徴の可能性もあるという。

KFF
問題が起きているのは、HealthCare.govを利用している32州で、対策は採りつつあるようだが、実効性は見通せていない。6月からは、加入者本人の手書きの同意書などを求めることにしているそうだが、そんなものは一度も求めたことはないと、保険代理人の方は困っているそうだ。一方、州立Exchangeを運営する州では、個人のアカウントに接続する場合に、ワンタイム・パスワードを発行するなどの工夫をしているため、こうした問題は稀のようだ。

個人のアカウントへのアクセスに壁を設けることは、両刃の剣のところがあって、連邦政府側もなかなか思い切った措置は採れない。

※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル全般」、「無保険者対策/連邦レベル