3月18日 州政府の窮状:無保険者急増 
Source :With Medicaid Cuts, Doctors and Patients Drop Out (New York Times)
州政府は、大変な窮状に陥っている。経済危機に伴う税収不足=大幅財政赤字と、失業者の急増とそれに伴う無保険者の急増である。

本来であれば、景気悪化、失業に伴い無保険者が増えてくれば、Medicaidで救済するはずである。しかし、財政赤字回避のために、Medicaidへの支出を抑制せざるを得ない。抑制策としては、加入資格を制限したりして加入者を抑制することに加え、Medicaid診療報酬を削減したりしている。この診療報酬削減が医療機関のMedicaid離れをさらに加速させ、本当に困っている低所得者層は、Medicaidに入れない、入っていても医者が見つからない、という大変な状況に追い込まれている。

上記sourceによれば、IL州Flintでは、65歳未満の4人に1人が無保険者となっている。また、CA州では、州全体で65歳未満の4人に1人が無保険者となっている(Los Angeles Times)。

こうした州内事情を踏まえ、各州知事は、Medicaidに対する連邦政府支出を大幅に増加させるよう求めている。しかし、連邦議会は、そうした現実に直面している課題に応えないばかりか、今週末(20日といわれている)に行なう投票の形式についての議論ばかりしている。肝心の法案の内容を公開しないまま・・・。

そうした連邦議会の姿勢に、知事達は焦燥感を露わにしている(Kaiser Health News)。

※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル」、「無保険者対策/連邦レベル

3月15日(1) 州政府年金のポートフォリオ 
Source :Public Pensions Are Adding Risk to Raise Returns (New York Times)
金融危機とそれに続く経済危機の中で、民間企業の年金プランは、運用ポートフォリオを株式から債券に動かしている。持ち切りにしてしまえば、リスクは相当軽減されるからである。

ところが、上記sourceによれば、州政府の年金プランは、より高いリターンを求めて、ということは同時にリスクを高めるようなポートフォリオに移行しているという。州政府の予算制約上、年金への拠出を簡単には増やせない、という事情があるようだ。確かに、州職員の年金拠出のために(州税を)増税します、とはなかなか言えないだろう。

おそらく、州政府年金を維持できなくなるところも出てくるのではないだろうか。

※ 参考テーマ「地方政府年金

3月15日(2) 離職手当ては在職者のため 
Source :Spending More on Separation May Cost Less (HR Daily Advisor)
上記sourceは、離職手当の位置付けについてコメントしたものだが、最も印象に残ったのは、次の一文である。
"Most organizations (81%) believe that providing better, “richer” separation benefits has a beneficial effect on the morale and productivity of the survivors."
リッチな離職手当は、レイオフされなかった在職者によい効果をもたらす、ということである。経済状況が厳しい中で、全体の傾向として離職手当を削減する方向にあるだけに、人事部門としては再考すべき課題と思われる。

※ 参考テーマ「解雇事情/失業対策

3月12日 Medicare課税強化案 
Source :Five Questions About President Obama's Proposed Changes To The Medicare Payroll Tax ( Kaiser Health News)
上記sourceでは、Obama大統領の医療保険改革提案のうち、財源対策としてのMedicare課税強化案について解説している。そのポイントは次の通り。
  1. 提案概要

    • 課税対象者:給与、利子・配当所得等(インカム・ゲイン)の合計が夫婦二人で$250,000以上(単身者は$200,000以上)

    • 課税強化策:(給与所得−上記課税最低限)×2.35% + インカム・ゲイン×2.9%

    • 課税例:夫婦二人で給与所得合計$275,000、インカム・ゲイン合計$150,000
      • 強化案:$250,000×1.45% + ($275,000−$250,000)×2.35% + $150,000×2.9% = $8,562.5
        (企業負担は1.45%で変更なし)
      • 現 行:$275,000×1.45% = $3,987.5

  2. 課税強化されるのは、家計の2.6%程度

  3. これらによる増税額は、2019年までの10年間で、約$184Bにのぼる。
それにしても、これだけ大きな変更にもかかわらず、議会ではほとんど議論されずに決選投票に持ち込まれるような事態は、本当に望ましいことなのだろうか。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「Medicare

3月11日 失業が長期化(2) 
Source :Unemployed wait longer and longer for jobs (Economic Policy Institute)
失業が長期化していることを別の角度から示した資料である(「Topics2010年2月23日(2) 失業が長期化」参照)。上記sourceでは、新たな職を見つけるまでにかかった期間の中位数を、経年変化で見ている。こちらも当然のことながら、1967年以降、最長を記録している。これをもって、失業給付の期間が短すぎると主張している。

いずれにしても、労働市場に大きな構造変化をもたらす可能性は否定できないと思われる。

※ 参考テーマ「労働市場